元祖山手七福神めぐり
毎年1月1日から数日間開催される七福神めぐり。都内(23区内)には22の地域で七福神めぐりが開催されています。今回はその中の一つ、『元祖山手七福神』を掲載します。
この七福神めぐりは目黒区と港区を股にかけてお詣りするコース。墨書も朱印も一段とかっこいい。「都心にこんな立派なお寺が!」と思うほど壮観な禅宗の瑞聖寺さんが印象的。ルートの大部分が白金と目黒なのですが、とくに白金はほぼ住宅街なのでいわゆるおしゃれなレストランやカフェは天現寺方面まで行かないと出会えないかも。巡拝の小休止にはホテルのロビーラウンジ、見どころも庭園美術館か旧大名庭園を有するホテルぐらい。
23区で開催される七福神の情報のまとめはこちら。
総延長 約3.5km
所要時間 約55分+参拝時間
歩数 約5400歩
費用 色紙代200円、御朱印各300円
期間 正月元日から7日まで
巡拝のポイント
妙圓寺さんに福禄寿と寿老人があるので、巡拝するのは全部で6ヵ所です。どこも行列ができることは無いので御朱印の待ち時間は数分程度、アップダウンがあまり無い地域なので、道のりも3.5kmと短めで巡りやすいコース。すべてお寺です。
①覺林寺 かくりんじ 港区白金台1-1-47
日蓮宗の寺院。戦国時代の名将加藤清正の位牌や像を祀ることから”清正公(せいしょうこう)”と称されていますが、開扉されていないので本堂前からはまるで見えないです。
境内にある毘沙門堂(稲荷堂なども)は堂内の撮影不可であるうえ、お正月期間中ですら開いていないし覗いても見られません。
毘沙門天
②瑞聖寺 ずいしょうじ 港区白金台3-2-19
黄檗宗系禅宗寺院。白金の台地を上がると、眼前に広がる境内と中央にそびえる御本堂がいかにも禅寺らしいたたずまい。布袋尊は本堂内(大雄宝殿)右側にあります。この建物は東京都指定有形文化財。
柵が設けられていて本堂の中に入ることはできませんが、御本尊や布袋尊像がとても美しく独特の世界観があります。
布袋尊
③妙圓寺 みょうえんじ 港区白金台3-17-5
室町幕府第十三代将軍足利義輝より拝領の妙見大菩薩を祀る日蓮宗の寺院です。
ご本堂右手側にある妙見堂に福禄寿と寿老人の二体を安置。肉眼で見える距離ではない。
福禄寿・寿老人
④大円寺 だいえんじ 目黒区下目黒1-8-5
寛永元年(1624)に創建した天台宗の寺院。境内左の釈迦堂には国の重要文化財登録を受ける「生身の釈迦像」があり、胎内に五臓六腑が納められた清凉寺式の貴重な御像です。
本堂右隣に祀られている大黒天は、当山が江戸城裏鬼門に当たるため徳川家康を模して造られたといいます(後ろの像も釈迦如来)。
大黒天
⑤蟠竜寺 ばんりゅうじ 目黒区下目黒3-4-4
慶安元年(1648)に開創した浄土宗の寺院。明治の廃仏毀釈の煽りで、フランスに目黒大仏を流出させてしまったことでも有名です。本堂右の弁天堂に弁財天が祀られていて、さらに奥へ進むと岩屋(洞穴)があり、石造の岩屋弁財天が祀られています。
岩屋の中にその八臂弁財天が祀られています。こちらも江戸城裏鬼門の鎮守として安置されたそうです。石造とは思えないほど精緻で柔和な表情です。
弁財天
⑥瀧泉寺 りゅうせんじ 目黒区下目黒3-20-26
大同三年(808)の創建といわれ、五色不動または江戸三不動のひとつとして有名な目黒不動がある天台宗の寺院です。徳川家光の愛鷹が行方不明になったものの、当山の御祈祷によってここに戻ってきたという伝承があります。霞ヶ丘にあった遊女の松や上大崎の重箱稲荷にも同じ伝承があるので家光は3回も鷹に逃げられていることになる。
池の中にあって見た目は弁天堂ですが、恵比寿さまが祀られています。いつ行っても開いてないけど、お正月には開いているようです。御朱印は阿弥陀堂脇の御朱印所でいただくので、こっちまで参拝に来たことが無い。
恵比寿
すべて集めるとこんな感じ。
瑞聖寺さんの綺麗さと蟠龍寺の岩屋弁天の珍しさは格別でした。
※写真はすべて2017.1.5 撮影
東京23区内の七福神巡りや、それに似たイベントをまとめ、グーグルマップにて公開しています。参拝順路やその地域のグルメやカフェ、名物店などまとめてあります。ご参考にどうぞ。
周辺散歩
五百羅漢寺
元祖山手七福神のルートには名物・名所が少ないけど、目黒不動から近いここ五百羅漢寺と目黒雅叙園は名所かな。
本来は大阿羅漢寺や羅漢寺といい、五百羅漢寺は通称。かつてはその名の通り500体以上の羅漢を安置していたといいます。
ホテル雅叙園東京
昭和の実業家・細川力蔵が経営した同名の料亭「目黒雅叙園」が起源。破綻や売却などいろいろあって今はホテルというより豪華な結婚式場というイメージ。
彩色が施された鏝絵のある回廊
言わずと知れた「百段階段」
階段自体は普通なんだけど、当時としては珍しい百段(実際は99段)であることから、雅叙園の代名詞として知られます。建物はホテルのビルの中に移築して再現されているもので、ホテルや旅館で言うところの“離れ”とかがあるわけではないです。
「昭和の竜宮城」と賛美された百段階段の内部。
すごいとか綺麗を通り越して異常。
彫刻は尾竹竹坡(おたけちくは)の絵を元に盛鳳嶺(さかりほうれい)が手掛け、天井絵は菊池華秋の作。
一番気に入ったのはこの日本画なんだけど、誰の作かの説明が無い。鏑木清方っぽいかな。
百段階段に入れるのは企画展がある時だけだと思いますが、割とよくイベントがあるのでお正月に限らず観覧するチャンスはあります。