今回の参詣は、新宿区市谷柳町の試衛館稲荷神社へ。
ここは地下鉄大江戸線『牛込柳町駅』から東へ200メートルほどにある柳町病院の南側。
北側の弁天町の寺院めぐりしていた時、グーグルマップには、見慣れない場所に稲荷社の表示があり、行ってみた。
由来
マンションの間にある下り坂の先に鎮座しています。
ここには幕末に活躍した新選組局長・近藤勇が開いた道場「試衛館」があった地。それ以前(江戸中期ごろ)は江戸城や日光東照宮の造営に関わった大棟梁甲良家の屋敷があった場所で、その頃からこの稲荷が祀られていたようです。
門には鍵が架けられチェーンに南京錠と、なかなかの拒みっぷり。
立てかけられた看板は全く字が読めない。
木材は野ざらしであっても50年程度ではなかなか腐食しないもので、ひょっとしたら100年以上前からずっと立てかけてあるんじゃないかと思うほど古い。
御由緒は無いのですが、新宿区地域振興部四谷地区協議会「第3期四谷地区協議会会議録(平成21年度)」に由来がありました。
「沖田総司関連(試衛館稲荷の開門)情報について先日来会した歴史研究家 あさくらゆう氏より下記の情報提供を協議会にお伝えして下さいと事務局に連絡があった。
開催日:平成22年(2010)1月1日開門時間 13:00~16:00
場所:新宿区市谷柳町25番地内 稲荷社(普段は境内に入ることは出来ませんが、この日、この時間のみ境内敷地に入ることができます。)
試衛館跡があるこの地にあることから、最近では「試衛館稲荷」の愛称で呼ばれるようになっている。
建物は大正以降に建造されておりますが、建物の一部は江戸期のもので、敷石等も当時のものが存在。試衛館があった当時の名称、市谷甲良屋敷の中心部にこの稲荷は建立されており、最初の建物は明暦大火(1657)以降、火伏、町内安全を祈願して、当時の地主、甲良家が建立されたものと思われる。以後はこの地守として永年居住した山田屋権兵衛がこの稲荷を管理。」以上
山田屋権兵衛と升本喜兵衛
稲荷を守ってきたという地主山田屋権兵衛を調べてみたら、代々この地で米・味噌・麹の製造販売をしていた味噌問屋で、13代目権兵衛が天然理心流近藤周助(近藤勇の養父)に店を貸し出していたといいます。14代目が牛込区議員や東京市議会議員を歴任し、縁戚の升本喜兵衛(同じく市議会議員)とともに土地開発をし、酒造業も大規模化していったそうです。
山田屋(後の山権商店)は戦後廃業しますが、この升本は土地開発で旧旗本屋敷を買い占め不動産業で成功し、現在は牛込神楽坂にある升本酒店や神楽河岸の升本ビルとして残っています。
そしてこの升本酒店のブログに福升稲荷が創業地神楽河岸にあるそうなのですが、どんなに探し回っても見当たらない。屋敷神なのかな。
どのようなお稲荷さんか、またその開門日にどういったことが行われるのか興味はあるけど、正月元日の昼間の3時間しか開いていないなんて、近隣住民以外なかなか訪れられないと思う。何より10年前の情報だし、文面からして毎年開催されているとは断定できない。
写真はすべて、2018.1.13 撮影
備考
社号 稲荷神社
創建
祭神
祭日
末社
社務所
所在地 東京都新宿区市谷柳町25
その他 甲良家屋敷跡、近藤勇武衛館跡