今回の参詣は、港区芝の御穂鹿嶋神社へ。

ここは都営三田線三田駅の南側、日比谷通りと第一京浜が合流する交差点。

また、ここは慶応四年(1868)に勝海舟と西郷隆盛が江戸無血開城へ向けて会談をした薩摩藩屋敷があったところ。

 

 

 

そこから南側のJR田町駅方面へ向かって50mほどのところに鎮座。

当地は旧鹿嶋神社の境内で、2005年に付近にあった御穂神社を併合して、現在の御穂鹿島神社となった。宗教法人として登録されている正式名称は御穂神社。

旧御穂神社境内があった地には、現在幸久稲荷神社が鎮座している。

 

 

 

左が前回訪れた2009年4月7日、右が2016年6月18日に撮影したもの。

7年程度ではそんなに劇的な変化は無いかな。神前幕の色と植木が成長しているぐらい。

 

 

 

石碑

大鳥居の両側に三つの石碑があり、一つは最近造られたっぽい「芝濱囃子の碑」、その左が欠損があるのと、篆書体で読めないけど、「浅草 銘生野亭」と刻まれているように見える。が、浅草に生野亭という演芸場は過去にも無いようで、なんの記念碑かわからない。ちゃんと文面を撮っておけば良かった。

 

 

 

石柱

鳥居の右側に建つ石柱には『大乗妙法蓮華経全部一石一字六万九千三百八十四謹写之』と刻まれている。一字一石とは、石ころ一つに経典の字を一字刻んで、お経の文字数分、数千から数万刻むというもので、その石を「経石」という。穴を掘ってその経石を埋めて祈願するというもの。

御穂神社と鹿島神社のどちらかの造営落成か修繕の際に、大乗妙法蓮華経の全部69,384文字分を作成して、埋めたか塚を造ったんじゃないかと思うけど、何の説明も、検索しても情報がない。それに両社とも旧別当は正福寺だったのだけど、このお寺は天台宗。謎。

 

 

 

狛犬

右が阿形で左が吽形。共に子を抱え、左の方はさらに背中に子供を乗せている。

ふくぶくしいお顔で、よく見ると、前足に手根球(腕の肉球)が表現されている。当社の狛犬はきっとネコ科。

 

 

 

手水舎

境内左側にあり。

自然石をくり貫いた鉢で、水がとても綺麗。

 

 

 

御穂鹿嶋神社

東京都神社庁では、当社の御祭神が藤原藤房卿と武甕槌命になっているも、江戸名所図会には、御穂神社の祭神は駿河国清水の御穂神社と同じ御穂津彦・御穂津媛の二神、鹿嶋神社の祭神は鹿嶋明神(武甕槌命)

藤原藤房(万里小路藤房)は実在した公卿で、建武政権に失望して出家した後は消息不明となり、各地に伝承が残っている。江戸に滞在していたかはわからないけど、藤房が祭神として祀られているのはとても珍しい。

 

 

 

江戸名所図会には、手前の芝浦の波打ち際に「鹿嶋社」、その彼方に「三穂(御穂)社」が描かれている。

 

江戸名所図会

巻之一 天枢之部より

御穂神社

本芝通りより西の横町にあり、本芝の産土神にして祭礼は三月十五日なり、

別当は正福寺と号す、天台宗にして東叡山に属す、伝へいふ、往古駿河国

三穂の海人この浦に来り住す、ゆゑに古郷の御神なればとて文明十一年

庚子のとし、ここに当社を勧請せしとなり、祭神御穂津彦・御穂津媛等の二

神なりといへり、土俗当社をもつて痘瘡の守護神とし、祈願するもの多し、

 

鹿嶋神社

同所海浜にあり別当は御穂神社に相同じ、祭礼もまた同じく三月十五日な

り、土人伝へいふ、寛永年間この浦に一の小祠漂流して汀に止まるあり、

漁人これを揚げてその本所を尋ぬるに、常州鹿島大神宮の社地にありし

子祠なりけるよし、またその頃、十一面観音の木造同じ海汀に流れよりし

かば、鹿島明神も十一面観音をもつて本地仏とせしなれば、これにもとづ

きて当社の御神を勧請せしとなり、

 

 

 

力石

境内左側奥、社務所の前にある。

7つ安置されていて、これもやはり摩滅や欠損が多く読みづらい。一応読める範囲で右から「亀田石」、「貫目」、「大正三年甲寅四月吉日」、「四拾五貫餘」、「奉献小池新太郎」、「四拾貫目」、「三拾」。

 

 

 

境内社

境内右側にある。

三社一宮のお社で、掛けられた扁額は左に天満社、中央に稲荷社、右に住吉社。この末社は名所図会にも描かれている。

 

 

 

玉垣

朱色に塗られた芝浦舩の刻印がひときわかっこいい。明治三十五壬寅年六月吉日とある。西暦1902年。

 

 

 

昭和45年(1970)に埋め立てられるまでは、当社の目の前まで海が迫っていた。ここから数十メートル先に雑魚場(魚市場)があったのだそう。

 

 

写真はすべて2016.6.18 撮影

 

備考

社号 御穂神社 みほじんじゃ

通称 御穂鹿嶋神社

祭神 藤原藤房卿 武甕槌命

創建 御穂:文明11年(1479)、鹿嶋:寛永年間(1624-1645)

祭日

末社 住吉・稲荷・天満社 (三社宮)

社務所 神札御朱印御守授与有

所在地 東京都港区芝4-15-1

その他