今回の参詣は、新橋に鎮座する烏森神社(からすもりじんじゃ)へ。

ここはJR新橋駅のSL広場(西口広場)。JRから、都営・メトロ両地下鉄、ゆりかもめと4社9路線の乗り入れがある大型駅。

ここよりニュー新橋ビルの西側を進み、中程を右へ入ったところに当社が鎮座する。駅から参道を渡ってお参りをしたい人は、社号が由来の烏森口から、ショートカットして社殿へ直接お参りしたい人は、日比谷口から西へ向かった方が楽。

 

 

 

参道

神社仏閣と花街・遊里というのは切っても切れない縁ではあるものの、現代ではその名残すら疎んで無かったことにされていまうことが多いように見受けられる。しかしながら当社の参道は、そうしたご時世の中でも、残そうとしてこうなのか残したくないのに残っているかはわからないが、往時を感じさせる建物が未だある。

ずらりと並ぶのは、新橋芸者だなんて格のある人が訪れるよりも、流しの歌い手の方がしっくりくるような狭小の飲食店。

 

 

 

香川県丸亀市の一寸島神社(※他のブログへ飛びます)に併設された福島遊廓跡をみると、当社も似た雰囲気だったのだろうと思えてくる。

そんな参道を抜けると、世にも珍しいX字に折れ曲がった鳥居が見えてくる。当社を象徴する鳥居ながら、由来については掲示が無い。

 

 

 

10年ほど前は、休日でも参拝客は2~3人程度だった。今では当社独自の鮮やかな御朱印や限定御朱印の人気もあって十数~20人程度は参詣者が絶えない。

 

 

 

手水

公園の水道風。またこの周囲に木遣塚や力石があったが、竹垣があって近づけないので省略。

 

 

 

狛犬

右が阿形で鞠を抱え、左が吽形で子抱き。

 

 

 

創建は天慶三年(940)に藤原秀郷が平将門討伐の戦勝祈願の時に創建と伝わる。また江戸三森といって、鎮守の森を有し社号に”森”の付く霊験あらたかで有名な椙森神社(日本橋堀留町)、柳森神社(神田須田町)と当社烏森神社がこれに加わる。

 

御由緒

境内掲示より字体改行などそのまま記載

烏森神社縁起
御祭神 倉稲魂命 天鈿女命 瓊々杵尊
平安時代天慶三年(約一千年前)に平将門が

東国で叛乱を起こしたとき 征討将軍 藤原

秀郷が当社に戦勝を祈願したとも このとき

勧請したとも伝えられている 室町時代の

享徳四年(約五百年前)には室町幕府の関東

管領で古河公方と云われた足利成氏は 当社

に 戦勝祈願した その祈願状は今日も

当社に宝物として伝えられている
 江戸時代は稲荷信仰により祭礼も二月初午

の日に執行せられ 稲荷祭としてその賑わい

は 江戸で一二を争うものであつた
 明治以降は五月四五六日を祭日とし 夏祭

のはしりとしてその名をうたわれている
 当社殿は 伸びゆく新橋の地にふさわしい

近代建築美の中に 神社本来の伝統を加味し

昭和四十六年十二月 氏子の熱意により竣工

をみたものである

 昭和四十六天十二月 宮司 山田將夫

 

 

 

江戸名所図会 巻之一 天枢之部より

烏森稲荷社 幸橋より二丁ばかり南の方、酒井下野侯邸の北の

横通りにあり、往古よりの鎮座といへども、年歴来由ともに詳らかならず

(江戸鹿子といへる草紙に天慶年間藤原秀郷、将門退治のときの勧請なり

といへども信としがたし)

またいかなるゆゑありてや、当社の神宝に古き鰐口一口を納む、表に

元暦元甲辰年正月下河辺庄司行平建立と彫り付けてあり、江戸名所

ばなしに日比谷稲荷の条下に云く、「この宮地は借地にしてありしに、

すでに断絶におよぶべき頃、稲荷の神、宮守に告げて古来よりの証拠

なりとて鰐口のひとつを与へたまふ、宮守公へ訴へこの証によって宮居

つつがなし」とあるは当社のことを誤りていふならんか、ある人云く、明暦

の回禄に奇瑞ありしかば、その後、社の辺除地となるとぞ

社司山田氏は、柳営御連歌の御連衆たり、別当は快長院と号して、本山

方の修験なり、祭礼毎年二月初午に執行す、幸橋御門に仮屋を補理ひて

神輿を移す、参詣群集して賑はヘり
 古河御所足利成氏願書一通当社に蔵す
稲荷大明神願書のこと。
「今度の発向、願ふところことごとく成就するにおいては、当社修造を

遂ぐべし 願書の状件のごとし」

 

 

御府内備考続編より

鳥森稲荷社

鎮座勧請之年代不知

朱雀院御宇天慶三年将門征伐之時、藤原秀郷祈誓得

勝利候由申伝候、当所烏森と申候儀者、往古樹木繁

茂烏の巣多有之候ニ付、里人巣の森神社、又烏の巣

の森烏森神社と唱来候由申伝、

祭神倉稲魂尊 大山祇女 土祖神 客人宮 命婦宮

本地仏十一面観世音 左金唐童子 右青高童子

烏森社之額字 裏ニ文化十二年己亥八月十七日戌午

書、之正四位下行右近衛権少将藤原朝臣基延

 末社

八幡宮 太神宮 春日大明神 住吉大明神

天満宮 猿田彦命 淡嶋大明神 若君稲荷大明神

杵筑大明神 弁財天 疱瘡神 秀郷霊神 秋葉大権現

 

 

 

御朱印

当社が再人気となる火付け役ともいうべき御朱印レパートリー。

上段左から現在の通常御朱印。中央が例大祭限定。右がひなまつり限定。

下段左は例大祭の中でも隔年で巡ってくる本社神輿渡御限定。中央は祈年祭併節分祭限定、そして右が2008年当時のもの。

 

 

 

最近の当社は、普段から御朱印の枚数制限をしているらしく、2枚頂きたかったところ”通常参拝者一人につき一枚のみです” 窓口で急にこう言われてしまうと面食らって”はい”としか言えず、ゆめゆめ代参である可能性も考慮いただけなかったのかと、後になってはがゆい思いをした。

 

 

写真は、2008.5.4、2017.1.22 撮影

 

備考

社号 烏森神社

旧称 烏森稲荷

祭神 倉稲魂命 天鈿女命 瓊々杵尊

創建 伝天慶三年(960)

祭日 5月上旬

末社

社務所 御朱印御守神札授与有

所在地 東京都港区新橋2-15-5

その他 伝藤原秀郷創建 江戸稲荷番付のひとつ