今回の参詣は、南大井の九頭龍権現水神社へ。

ここは鈴ヶ森小学校の北西150mほど、JR東海道本線のガードの東側に鎮座する。

 

 

 

 

境内は三角形をしており、中央に神池、右奥に石祠と洞穴の祠とがある。

貞享二年(1685)に大井村の名主大野氏によって創建された水神社で、日照りの時は、ここで雨乞いもしていたという。

 

 

 

 

手水鉢と龍の吐水

数ある水神社や弁天・厳島と名付くどの社よりも、当社の水は清らか。とは言っても、昭和50年頃には湧き水が涸渇しているので、水道水のが返って綺麗なのかも。もちろん良く管理されているからこそ、清らかさが引き立つというもの。

 

手水石の縁には「盃状穴(はいじょうけつ)」と呼ばれる穴がいくつか彫られている。縄文時代からある信仰形態であるとされ、世界各地でも同様にみられるという。

女性のシンボルであり子宝を願うとか、村の魔除けや、聾者が穴を掘ることで聴覚を得られる(治る)というつんぼ信仰などとも関連付けられている。都内では品川区、大田区に特に多いが、どこにでも見られる。昭和に入ってからパタリと無くなってしまい、なぜ穴を開けるのかさえ、今ではわからない。

 

 

 

 

 

水神社と九頭龍権現社

左側の石祠には「九頭龍大権現」と刻まれた石碑が収められ、右側の火山岩で作られたような洞穴には「水神社」の社号標が掲げられていた。草に覆われた洞穴の外壁からは、水がぽたぽたと滴り、 清らかな渓谷のミニチュアのよう。

 

御由緒

境内掲示より字体改行などそのまま記載

 

品川区指定遺跡

大井の水神

 所在 南大井五丁目十四番九号

 指定 昭和五十三年十一月二十二日(第十三号)

 

 この台地の末端から湧き出していた地下水は、

かつては村民が飲み水や農業用水に利用してい

たため、豊かな水の供給を願ってここに水神つ

まり九頭龍権現を祀ったのが始まりである。祀

られた時代は貞享二年(一六八五)、願主は大井

村の桜井伊兵衛・大野忠左衛門といわれる。こ

の湧き水は柳の水と呼ばれ、日照りのときはこ

こで雨乞いをした。また本社は歯痛を止めるご利

益もあったと伝えられている。

 明治以降、祭神は水葉乃女命と変わったが、昭

和五十年頃まで水が湧き出していた。ここは、都

市化が進んだこの地域に、農村であった頃の水の

供給とそれにまつわる信仰があったことを示す貴

重な史跡である。

 平成二十四年二月二十九日

 品川区教育委員会

 

新編武蔵風土記稿 巻之五十三 荏原郡之十五より

 

九頭龍權現社 年貢地村の中程にあり、祭禮毎年四月十五日及び七月五日、神酒を供ふ常林寺の持、此社の側に年ふりたる柳樹ありて、その本に古井あり柳の淸水と唱ふ、旱打續きし時も涸ることなしといふ、

 

 

 

 

境内と水神池

境内中央の水神池には鯉が、手水鉢下の池には金魚が泳いでいる。品川百景・品川の史跡に認定されている。

昭和九年奉納のカエルの手水鉢が境内東側に、その隣に今となっては珍しい二宮金次郎像がある。

 

 

写真はすべて、2015.10.3 撮影

 

備考

社号 水神社

別名 九頭龍権現水神社

祭神 水葉乃女命(みずはのめのみこと)

創建 貞享二年(1685)

願主 桜井伊兵衛・大野忠左衛門

祭日

末社

社務所

所在地 東京都品川区南大井5-14-9

その他 大井鹿嶋神社の境外末社