今回の参詣は、阿佐谷南の馬橋稲荷神社(まばしいなりじんじゃへ。

阿佐ヶ谷駅より東へ500mほど、杉並学院の南側に鎮座する。

駅前の繁華街からは少し外れていて、住宅街の中にあってこれほど大きな神社が現れるのも妙な感覚。

 

 

 

 

 

大層立派な朱色の大鳥居。

その下には、この時訪れたのが2月の初旬とあって、梅がよく咲いていた。

 

 

 

 

 

双龍鳥居

大鳥居(第一鳥居)の先にあるのが、柱の左右それぞれに昇龍と降龍が彫られた大変珍しい石製鳥居。

 

 

 

 

 

向かって右に昇龍、左に降龍。

 

品川神社 第一鳥居、高円寺稲荷堂 前、そして当馬橋稲荷神社の第二鳥居と、何れも同じ石工が製造したもので、都内三ヶ所でしか見られない作品であるため『東京三鳥居』とも呼ばれている。

 

 

 

 

 

神橋

本殿までの参道には、二つの橋がある。現在暗渠化されてしまった桃園川を偲んで架けられ、周辺には小さなせせらぎが設けられている。

 

 

 

 

 

狐像

参道上、第三鳥居の前に安置。

右が阿形で、巻物を咥え子抱き。左が吽形で宝珠を抱える。

 

 

 

 

 

手水舎

手水に龍の吐水はよくある組み合わせであるも、首だけでなく全身を造形したものはなかなか珍しいし、類例を見ない躍動的な作品。
また重量5トンの巨大な「伊予の青石」が土台になっていて、水を溜めおく鉢型ではなく、流水を直に柄杓で抄う。

 

 

 

 

 

随神門

両脇に祭神を守護する随神(右に豊磐間戸命、左に奇磐間戸命)を配した楼門。

昭和50年(1975)、鎮座700年記念事業として建立。

 

 

 

 

 

中央に吊るされている大鈴は、直径75cmで都内最大。

鈴緒は無く、なぜ随身門に吊るされているのかが謎。

 

 

 

 

 

馬橋稲荷

鎌倉時代末期の創建と伝わる神社で、古くは足穂稲荷(たるほいなり)といい、祭神は宇迦之魂神。明治四十年(1907)に周囲にあった御嶽神社・白山神社・天神社・水神社を合祀し、御嶽社の大麻止之豆乃神が祭神に加わり、他三座(伊弉那册神・菅原道眞神・美都波能賈神)は相殿となる。五社明神とも呼ばれた時期もあったが、昭和40年(1965)に住居表示改正にともない、「馬橋」の名が失われるのを惜しんで「馬橋稲荷神社」となる。

 

 

 

 

 

本殿には、御祭神それぞれの神額が掲げられている。

 

御由緒 境内掲示より字体改行などそのまま記載

鎭守馬橋稲荷神社

 祭神

宇迦之魂神 稲荷神社

大麻止之豆乃神 御嶽神社

 相殿神

菅原道眞神 北野神社

美都波能賈神 水神社

伊弉那册神 白山神社

 由緒

當社 足穂稲荷神ハ鎌倉時代ニ鎭祭セラレタト

言ヒ既ニ德川時代ノ初期ニ於テ産土神トシテ

諸人ノ崇敬厚ク寛永十六年中川八郎右エ門幕府ノ

命ヲ受ケテ檢地ヲナセル際境内地ヲ除地セラル

其後天保三年辰正月三十日白川神祇伯家役

所ヨリ正一位足穂稲荷大明神ノ神號ヲ受ク

明治四十年十一月二十八日馬橋村内御嶽神社

白山神社水神社北野神社ヲ此社ニ合祀ス

境内末社ニ厳島神社水神社齋靈殿ヲ祭祀ス  ※

例大祭 九月第二日曜日と前日  以上

 

※厳島神社の厳は山へんに嚴

 

 

 

 

 

狐像

社殿前の朱色の玉垣の内側に安置。

右が宝珠を咥え、左が巻物を咥える。

 

 

 

 

境内末社

 

厳島神社・水神社

馬橋地域に点在していた水神社や弁天社を全て合祀している。

祭神は美都波能賈神と市杵島姫神。

 

 

 

 

 

1

 

 

稲荷社

厳島神社周辺に点在する稲荷五社。これらお稲荷さんも、周辺地域から合祀されたのだろうか、すべて造りが異なる。

 

 

 

 

 

齋靈社

戦没者や神社関係者を祀ったお社。

 

 

 

 

 

合祀碑

足穂稲荷に合祀された経緯について記されている。

 

御由緒 境内掲示より字体改行などそのまま記載

合社之記

 

武蔵國豐多摩郡杉並村馬橋有五祠焉曰御嶽神社曰足

穂稻荷神社曰北野神社曰水神社曰白山神社而所在安

置皆多歴年所祠宇漸就頽破一郷有志者深以為憂相謀

請于官明治四十年十二月九日合御嶽北野水神白山四

社之神影于足穂稻荷之社而祀之各●金得一千有餘金

以四十四年七月起工營本殿繕拜殿置社寮立鳥居修垣

墻六閲月而成社境閑雅殿堂荘嚴觀美倍舊而靈威亦逾

加一郷倚以安焉四十五年四月十二日相議擧遷宮之儀

以爲馬橋一郷之鎭因敘其顛末刻之石以諗後人云

大正元年九月十二日建之

 

※●=酉へんに雨豕

 

 

 

 

 

力石

合祀碑の足元に設置された奉納力石。重さは五拾貫目(187.5kg)。

 

 

 

 

 

梅が綺麗な稲荷神社というのもめずらしい。

後々調べてみたら、今年(2016)は4年に一度の神幸祭の年だったとのこと。

次回は平成32年(2020)の開催。

数年に一度のお祭というものを、終わった直後に気付いた時のショックは何回目だろうか。

ちなみに毎年ある例大祭では、本殿内にて蘭陵王の舞が奉納される。個人的に好きな演目なのだが、一般参拝者は見られないのかな。。

 

 

 

 

 

写真はすべて、2015.2.1 撮影

 

備考

社号 馬橋稲荷神社 まばしいなりじんじゃ

別名 足穂稲荷

祭神 宇迦之魂神 大麻止之豆乃神

相殿 菅原道眞神 美都波能賈神 伊弉那册神

創建 鎌倉時代

祭日 二月初午祭 九月第二日曜日と前日

末社 厳島神社 水神社

    齋霊殿

社務所 御朱印神札御守り授与御祈祷受付あり

所在地 東京都杉並区阿佐谷南2-4-4

その他

 

※備考欄の内容は、当該社寺の公示又は典拠を基に記載し、不明瞭なものは空欄にしてあります。
またこのブログ内の記事は、散歩としての見所やおススメポイントとして、私が感じた主観的な評価であり、当該社寺の格式や宗教的価値、ご利益等を評価したものではありません。