今回の参詣は、田端八幡神社たばたはちまんじんじゃ)へ。

文治五年(1189)、源頼朝が奥州征伐の帰路、当地に鎌倉八幡宮を勧請したのが田端八幡神社のはじまりと伝わる。

当社から北に400~500mの所に鎮座する「上田端八幡神社 」とは別の八幡神社で、当社は下田端八幡神社とも呼んで区別される。

 

 

 

 

場所はJR田端駅より、「田端駅前通り」を南に400mほど進むと見えてくる、赤紙二王で有名な東覚寺と隣り合わせ。東覚寺の右側が神社の境内で、この細長い参道を通って山を上がって行く。

 

 

 

 

富士塚

階段の中腹には、「田端山元講」によって造られた富士塚がある。

山の一部に立て掛けられた石板には、「大正十四年十二月六 皇孫殿下御降誕記念 八幡神社境内 石段両側土留石積上 裏参道花崗石敷設」と刻まれる。富士塚の造成年ではなさそう。

 

 

 

 

富士浅間神社

山の頂上には浅間神社。

 

 

 

 

三峯神社

浅間神社の向かい、参道よりに同じく山岳信仰の三峯神社。

「田端山元講」または「田端富士三峯講」と呼ばれる講社は、現在でも活動されているようで、両社の社殿内に、真新しいそれぞれの本宮の神札が奉安されていた。

 

 

 

 

稲荷社

三峯神社の後背に鎮座。

 

 

 

 

不動尊

更に山を登って、稲荷社の裏に回ると不動明王像が安置されている。

神社に不動尊を安置しているのは、今となっては珍しいが神仏分離以前からここにあったものだろう。東覚寺の仁王像も、江戸時代には八幡神社の参道前にあったものだという。

 

 

 

 

手水鉢

 

 

 

 

八幡神社

訪れた日は8月の17日で、例大祭が催行される準備と終了後のどちらだったのかはわからないが、新調された提灯が綺麗。提灯に傘が差してあるとはめずらしい。

 

 

御由緒 境内掲示より字体改行などそのまま記載

田端八幡神社

北区田端2-7-2

 この八幡神社は、田端村の鎮守として崇拝された神社で、品陀和気命

(応神天皇)を祭神としています。神社の伝承によれば、文治五年(一一

八九)源頼朝が奥州征伐を終えて凱旋するときに鶴岡八幡宮を勧請して

創建されたものとされています。別当寺は東覚寺 でした。

 現在東覚寺の不動堂の前にたっている一対の仁王像(赤紙仁王)は、

明治元年(一八六七)の神仏分離令の発令によって現在地へ移されるま

では、この神社の参道入口に立っていました。江戸時代には門 が閉ざさ

れていて、参詣者が本殿前まで進んで参拝することはできなかったらし

く、仁王像のところから参拝するのが通例だったよう です。

 参道の中程、一の鳥居の手前には石橋が埋められています。これは昭

和初期の改修工事によって暗渠となった谷田川に架かっていたもので、

記念保存のためにここへ移さ

れました。

 社殿は何度も火災等に遭い、

焼失と再建を繰り返しました

が、平成四年(一九九二)に氏

子たちの協力のもとで再建さ

れ、翌年五月に遷座祭が行わ

れて現在の形になりました。

境内には、稲荷社のほかに田

端冨士三峯講が奉祀する冨士

浅間社と三峰社があり、冨士

浅間社では毎年二月二十日に

「冨士講の初拝み」として祭事

が行わ れています。

 

平成九年三月

東京都北区教育委員会

 

 

 

 

狛犬

向かって右が鞠を抱え阿形、左は子抱きでこちらも阿形。

 

 

 

 

社殿内

 

 

 

 

江戸名所図会

田畑八幡宮として登場する。ページ左側に見える東覚寺と、その右脇から延びる坂道の先に鎮座する八幡宮が描かれ、右下にほんの少し見える與楽寺の位置関係から言っても、この辺りが昔からほとんど変わっていない事が分かる。

 

 

江戸名所図会 巻之五玉衡之部 より

田畑八幡宮

同所(田畑村)西の方にあり。田畑村の鎮守とす。

相伝ふ、文治五年頼朝公勧請す。すなはち

駒込神明宮と同時の鎮座なりといふ。

別当は真言宗東覚寺と号して、弘法大師の

作の不動尊を本尊とす。開山は行基菩薩なり。

 

※駒込神明宮=現在の駒込天祖神社(文京区駒込3-40-1)。

 

 

武蔵演路 より

田畑村

八幡神祠 当所鎮守神領七石 文治五右大将頼朝勧請、

 

 

江戸近在八幡宮寄書 より

一、田畑八幡宮 別当白竜山東覚寺

文治五年源頼朝卿勧請と云、

 

 

江都近郊名勝一覧 より

八幡宮 同所(駒込)より西にあり、俗に田畑の八幡といふ、

田畑の鎮守なり、 文治五年頼朝卿の草創なり、別当東覚寺

 

 

江戸往古図説 より

田端在家

八幡宮 文治五源頼朝勧請、凡六百十五年に成、

別当東光寺 会期は行基僧正也、

 

 

吾妻名所図会 より

田畑八幡 白竜山東覚院 しんごん 文治五年源よりともかんじやう也、

 

 

 

 

写真はすべて2016.8.17 撮影

 

備考

社号 田端八幡神社 たばたはちまんじんじゃ

別名 田畑八幡宮 下田端八幡神社

祭神 品陀別命

創建 文治五年(1189)

祭日 八月十四日十五日 例大祭神幸祭

    歳旦祭元旦 祈年祭二月

    児童健全祭五月 新嘗祭 七五三祝祭

    大祓式六月十二月

末社 富士浅間神社 三峯神社 稲荷神社

社務所

所在地 東京都北区田端2-7-2

その他 田端日枝神社、水神稲荷神社、

      東灌森稲荷神社を兼務

      伝源頼朝勧請