国産小麦にレーズンの酵母液を入れる。天然塩を少しシャモジで混ぜる。これを『種』と呼んでいる。

『こんなもんでどうやろか?』と私。

『うん、こんなもんやろう。』と種は言う。


これから2日間、種と付き合う。そして3日目にパンを焼く。
種をたくましく増やすことが私の役割になり、私は見守ってあげる。

元気が無ければ助けなければならないし、元気がありすぎると少し抑えたりすることもある。
これが上手くいくこともあれば、そうでないこともある。


そんな自家製酵母でのパンづくりは楽しくて面白い!

しかし、正直生活は厳しい。でも楽しくて面白い。
自家製酵母パンづくりは続けて行きたい。




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時々、種をシャモジで混ぜてやる。


酸素を送り込んであげる。これは、全体を均一にしてあげる意味を持っている。


今朝6時頃、種を仕込んだ。最初はあんまり変化が無いが、昼頃になるとプツプツと気泡が出てきた。

ポタージュのような色合いで、少し『とろり』とした感じ。


私の場合、気付いた時に混ぜている。置く場所も色々と変えていく。
酵母が活動しやすい温度は25~35℃位だろうか。低すぎると活動しないし、高すぎると死んでしまったり。
パンを仕込んでいる段階で弱くなってしまったり。当然、味にも影響が出てくる。
温度と湿度は酵母パンづくりに大切なところです。


私はホイロに入れたり、釜の側などの暖かい所に置いている。

酵母は酸素があれば、それを使って活動するし、酸素が無くなると酸素の働きで小麦のデンプン質を分解してアルコールと炭酸ガスを出して活動する。


夕方頃になり、混ぜると泡立ったように大小の気泡が吹き出す。酵母の活動が盛んになってきたので、ひと安心。この状態が『目処』です。
後は工房の中で布などで軽くフタをして一晩置く。


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2日目の朝

種の様子を見ると気泡ではなく少し分離した状態。

シャモジでかき混ぜて『おはよう!』と声をかける。


眠そうに『わかったよ・・・・』と言われる


『調子はどう?』と訊くと『何とかなるやろ』と返事。

とりあえずホイロの中で温めてやる。


2時間程過ぎると少し気泡が出ている。かき混ぜると一気に気泡が出てきた。種の元気を確認。

種に小麦粉、水、天然塩を加えて更に培養させ酵母を増やす。これを『2番種』と呼んでいる。


前日と同様に種を見守る。

種は前日より、とろみが出てきて気泡も多く、においを嗅ぐと小麦の香りとレーズン酵母のほのかな酸味の香り。舐めると思ったより塩っ辛い。順調順調。


何時もこんなに上手く行けばいいんだが、そう簡単にはいかない。
・気泡がたくさん出る
・とろみが出てくる
が、ちゃんとした培養や酵母が活動している証しなんだが、半日経っても夕方になっても駄目なときもある。

そんな時は、
・よ~く混ぜて酸素を送り込んであげる。
・天然塩を少し足してあげる。ミネラルが酵母の栄養になる。
・小麦粉を足す。デンプン質を供給する。
・発酵液を加えてあげる。
・暖かな場所に置く。
種の状態を見て上記の条件を使い分けてあげる。

例えば、発酵液を加えると種が緩むので小麦粉を加え、暖かい所へ置くといった具合に。


『種よ、頼んだぞ!何とか吹いてくれよ!』

そう思いながら、ジッと待つのみ。


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3日目の朝

酵母は寝ているようだ。液体が少し分離しているが『起きろ~!』っとかき混ぜると、少し気泡が起こって目を覚ます。


『さぁ、今日はパンになってよぉ!』というと『はいはい』と言われる感じが大切。


材料を入れミキサーでこねる。
国産小麦、天然塩、砂糖、モルト、水を入れる。いたってシンプル。
外麦を使っていた頃は、バターや牛乳を使用していたが、国産小麦の特性を生かすために、今は使っていない。
砂糖もわずかで、甘味というよりバランス的な意味合いで使っている。

こねることもいたってシンプル。合わせる程度。国産小麦はグルテンが少ない。そんな小麦は逆にその特徴を生かすと言った考え方だ。その方が素朴な触感や味わい、風味が出る。


酵母に生地作りは任せる。


条件を整えるのが私の役割だと思う。


今日は4kgの仕込みで、1~2㎏の時は手ごねで全てすることもある。

プレーン・カレンツ(野ぶどう)・クルミ&レーズン。
常連のアンさんの注文でグリッシーニを少し取る。


5:50 仕込完了
30~35℃でホイロで保温。


8:30 ガス抜き(パンチ)
パンチとは炭酸ガスを抜き酸素を供給する。
生地の均一化やパンのコシを強くするなどの役割がある。
パン生地全般として、ここまでの発酵がとても大切。土台造りです。生地の粉をふって指がスッと入る状態になるまで待ちます。
『もぅいいかい? まぁだだよぉ~』といった具合です。これを乗り切ると、ヤマ場は超えた感じになる。


9:20 分割
今日はプレーンで食パンタイプのものと、ベイグルとグリッシーニ。
グリッシーニにはオイブ油を少し入れ、こねて1晩冷蔵して明日焼く予定。
カレンツとクルミ&レーズンはカンパーニュとベイグルにする。


10:10 成形
芯がぬけた状態になったら、ソレゾレの形にしてホイロで30~40℃にして発酵させる。芯がぬけた状態とは、指先で触れて柔らかいなと感じる状態。
パンの中に芯があると思ってほしい。それはパンが緊張しているようなもので、取り除けた時に形成する。


12:00 焼く
生地が約2倍くらい、指でそっと触って柔らかい。チョッと芯があっても大丈夫。パンが白っぽく感じるイメージで。
釜の温度は220℃。霧吹きで、タップリ水をかけ釜へ入れる。
約25分間焼く。ブラウン色の香りの良い、いいパンが出来た!!
今日はベイグル⇒カンパーニュ⇒食パンの順で焼く。発酵のさせ方を、少しずつ変えて発酵のスピードも変えた。


パンをこしらえるということは慣れてくると誰でも出来ます。

ただ、それを技術とするためには、

『何でだろう?』

『どうして??』

『こんなパンをつくりたい!』

というような疑問や目標がないと技術には身に付かない。

私はパンをこしらえる時、素材や工房の状態(温度、湿度、気候)とパンの様子を見ながら進めていきます。パンを感じながらこしらえていくのです。


これを繰り返し繰り返しやっていると、『感覚』になってくる。『感』ではないんですよね。

いろんなことを感じるようにすると、それをカラダが覚えてしまうんですね。


現代の暮らしの中では、人間本来の感覚が失われてしまう。自然は、その感覚を呼び起こしてくれる力があるのです。

自家製酵母でのパンづくりは人間本来の感覚を私に伝えてくれるのです。


何と言っても自家製酵母でのパンづくりは面白くて楽しいのです。