イチジクのさし木のすべて(基礎知識⑤) | 園芸スキル1のボクでもできるイチジクの育て方

園芸スキル1のボクでもできるイチジクの育て方

初心者による初心者のためのイチジク入門
ボクと一緒にあなたもイチジクを育ててみませんか?
神奈川県の横浜市から発信します。

 


 

さし穂の同化量、呼吸、蒸散

 

さし穂が発根するためには、

まずさし穂の活力が失なわれずに

生きつづけることが前提条件となる。

 

そのような意味において
さし穂自身の光合成や

貯蔵簑分を消費する呼吸は、

発根に大きな関係があると考えられる。

 

また、さし穂の蒸散は、

直接さし穂の萎ちょうと関係がある。

 

※萎ちょう:草木の水分が不足してしおれること。

 

image

 

さし穂の同化量

 

さし穂の根ができるまでの

同化、呼吸と貯蔵物質の消費の関係について、
さし穂の同化量は

さし木後水分条件が悪くなるに従い、
次第に低下していく。

多くの場合、同化量が呼吸による
炭水化物の消費を幾分でも補っていると考えられる。

さらに、さし木後の貯蔵炭水化物の変化について、
でん粉の減少と並行して還元糖の増加が認められ、
新しい部分をつくる材料や呼吸のために
かなりの量の炭水化物が使われると考えられる。
 

※同化量:植物による同化とは

光エネルギーを利用して、

無機物を材料に有機物をつくることを指し、
その総生産量から呼吸量を引いた量を同化量という。

 

 

さし穂基部の呼吸

 

カルス形成から発根の過程で、

さし穂基部の呼吸が高まること

が分かっているため、

実際のさし木においては、

さし床の通気性を図る必要性がある。

 

 

さし穂の蒸散と吸水

 

さし木を成功させるためには、

さし木後の水分管理がきわめて重要である。


さし穂の蒸発散による水分消失と

吸水のバランスを保つことが必要である。

 

いちじるしくバランスを欠いた場合、

さし穂の萎ちょう枯死を招き、

さし木は成功しないことになる。

 

また、さし穂の吸水を高めるために、

さし床に適度な水分を与えることは必要であるが、

過湿の状態にすることは通気性が悪くなり、

発根にとってひじょうに不利な条件となる。

 

このようなことから、

実際のさし木では、地上部の蒸散抑制と、
さし床の灌水管理を

いかにうまく調節するかが、

重要なボイントになる。

さし木後の一般的な管理としては、

さし木後しばらくは潅水も多めに、

回数多く与える。
その後はさし穂のしおれ具合をみて

次第に回数を減らしていく。

 

ただし、葉水を与えるのは
さし床を過湿にしないかぎり、

回数多く行うのが効果的である、
 

 

参考文献:

町田英夫著 『さし木のすべて』

誠文堂新光社 1974/1/1