スマートファクトリーとは何か? | ごく普通の技術系サラリーマンの一生

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定年退職を迎えた普通のサラリーマンの一生を振り返り、会社生活の裏側と本質を書き綴ります。

「スマートファクトリー」とは何か?

直訳すると「賢い工場」となるが、要するにIoTを活用し、品質・状態などの様々な情報を「見える化」し、集めたデータを活用して様々な改善や効率化を図った生産工場の事を言う。
実際には生産工場の対応だけでは不十分であり、設計や資材調達、営業や生産管理まで含めて連携するようなシステムが必要である。


我々の会社は完全縦割りの構造を取っており、生産部隊は全て子会社に移管されている。

生産とそれ以外が完全に分断されているのだ。
そして、そこには様々な問題が生じて来た。

生産系は本社が作成したシステムを活用している。
元々はパッケージシステムなのだが、各生産工場毎に必要に応じて独自のシステムを作成し活用している。
そこには単純にEXCELを使用した手作業も沢山含まれている。

製造系についてはほとんど何もなかった。

当時生産していた製品は、検査の抜けが発生しない様に製品内部に製造情報を書き込んでいた。
その様なFW(検査プログラム)を本社が製品に仕込んでいたのだ。

Y社がトレーサビリティーを本気で意識し始めたのは携帯型通信端末の生産からである。
また、EMS製品の外販を始めてから独自のトレーサビリティーシステムの開発と活用を始めた。
この頃からデータベースの活用法も本格化してくる。
独自に開発したシステムはアニメーションを用いたグラフを活用し、社内LANに接続された様々な場所から見る事が出来、生産履歴や不良の集計等も行う事が出来た。

また検査に使用する装置は経年劣化が起こる為、生産前に確認したデータでメンテナンス時期を予測するシステムも備えていた。

今でいう予兆保全だ。

すべて20年以上も前の話である。

生産工場はこれが普通だと思っていた。


「スマートファクトリー」と言う言葉が一般化して来たのはここ数年の話である。
「インダストリー4.0」が提唱されてから、コンピュータを活用した生産工場が一般的になり、データベースに収集された様々なデータを活用し、より効率の良い生産や品質の改善を求められる様になって来た。
一方製造系のシステムはMESとして、また生産管理系のシステムとしてはERPとして進化して来た。
これらを総て繋ぎ、よりスマート(賢い)な生産を目指した物が「スマートファクトリー」と言う事に成る。

実現する為には工場のIoT化は特に重要になって来るのだが、Y社では既に20年以上前から進めてきた内容であり、業界でもかなり進んでいたのではないかと自負している。

私は工場側の人間であり、これらの工場側の取り組みの半分を指導して来た。現在の我々の会社のIoTシステムは、基本的にこのEMSベースの流れで構築している。
因みにもう半分は携帯型通信端末と共に進化して来たシステムであり、独自路線に固執しており時代に逆行している部分もある為基本的には無視している。


現在の私の所属部署ではMESの改善も含めた「スマートファクトリー」の構築を推進しているが、記録として残しておきたい所も多々ある。

今後このブログでは、主に工場系のIoT導入に至るノウハウや仕組み等を可能な範囲で纏めて行こうと思っている。