「いってらっしゃい」
と微笑む母
小さくなった
とても
かつては
母が
私の世界の全てだった
女性の最高の理想像だった
今は もう とても小さい
とても 小さい
ぽっ と
私の心に 何かが生まれた
それが何なのかは 分からないけれど
ありがとう お母さん
ありがとう
ありがとう
そんなに自分に閉じ込もってたら
結局は自分が苦しいんだよ
なんて
あなたに何度 繰り返したか分からない
そんなに臆病にならないで
という
私の言葉の本意すら
多分 あなたに伝わっていないかもしれない
それでも私は 繰り返す
あなたを信じているから
あなたの可能性を信じているから
だから私は 繰り返す
いつか あなたに 伝わる日が来ると
心の底から 信じ続けるから
帰宅途中に 声が聞こえた
「俺のこと 置いていくんかっ」
泣きながら 小さな子どもが訴える
「置いていくわけないでしょ」
母だろうか 優しい声で追いかける
何があっても 愛してくれる存在があるのだ
僕は ちら と
母子のやりとりを見て
少し あったかくなり
また帰路についた
その母子の幸せを思いながら
許してください
許してください
ああ 私が悪かった
あなたの痛みも理解(わか)らずに
ああ 私が悪かった
つらかったでしょう
苦しかったでしょう
あなたの痛みを無視して
ごめんなさい
私が愚かだったの
どうか
どうか 許してください
今度こそ 人間らしく 生きてゆきます
今度こそ まっとうに 生きてゆきます
どうか
どうか 許してください
あなたの痛みを
必ず癒しにゆきます
どうか
ど う か
ゆ る し て
孤独の背中に 風があたる
理解されない 寂しさを
膝と一緒に 抱え込む
頬を涙がつたっては
震える肩を ひとり抱く
僕は何を求めていたのだろう
誰の評価が欲しかったのだろう
誰に認めてほしかったのだろう
誰にわかってほしかったのだろう
孤独の僕を なでてゆく
冷たい風が 涙を冷やす
静かな時間(とき)が流れては
僕は ようやく立ち上がる
誰に理解されずとも
僕は信じる道をゆこう
そうして 一歩を踏み出した
歩いているうちに
本当の仲間が いつか
僕の前に 現れるとも知らずに
白い光に 照らされて
君が ますます 透けてゆく
君の肢体が 透けてゆく
慌てて僕は 月光を
君から遠ざけようとした
君は くすりと 微笑んで
無能な僕に 囁いた
慌てなくても大丈夫
どこにも行くわけないじゃない
それでも 君が 透けるから
僕は 輝く月を見て
どこへもやるな と睨んでた
見ているだけの 僕のそば
君は やっぱり 消えてった
月夜に残る 僕ひとり
月光 浴びて 僕ひとり
静かに月が 微笑んだ
悲しまなくても大丈夫
私は ここに いるじゃない
それでも月夜に 僕ひとり
冷たい光が 照らし出す
白い光が 照らし出す
月夜にひとり 僕ひとり