~序章~

「回想」



目を開くと

見慣れぬ天井

見慣れない壁

ただ空調が空調の音が静かに響く…


トントン

ガチャガチャ

鍵のかかった鉄のドアが

開き

一人の男性が入ってくる

「日向さん、朝ごはんです」

…看護師だ


それだけを言い

室内備え付けのテーブルに

朝食を置き

看護師はまた

鉄のドアを閉め

鍵をかけて言った


食欲なんて無い

あるはず無い…


一面壁に囲まれ

窓も数センチしか開かない

天井の隅には

室内カメラ


そうここは

精神病院…


「何故…ここにいるんだろう」


看護師の去った

部屋は

空調の音しか聞こえず

ただ冷めた部屋が

寒くて

何か

切なくて

心細かった


「何故、ここにいるんだろう…」


ナゼコンナコトニナッタ


呪文のように

頭で唱えてた


一人ぼっちの

見慣れぬ空間では

いろいろ考えるには

時間が有りすぎた


有り余る時間の中

自分の人生を

ただ振り返った