「開始~②~」
あの日は
家族が全員留守で
一人僕は留守番していた
五歳の僕
様々な記憶は斑にしか思い出せない
好きだった戦隊もの
流行ったアニメ
五歳当時の記憶なんて
多分そんな程度
しかし
あの日の事は
忘れないし
消えない
一生を変えるほどの出来事
僕の人生の何かが「開始」
した瞬間
あの日
留守番に飽きた僕は
近くの公園へ
徒歩3分も無い
母親に連れられたり
遊びなれた
場所
いつもは賑わい
誰かがいた
しかし
その日は違った
日付や時期は
記憶は定かでない
ただ晴れた日だった事
早く家族が帰って来ないか
それだけ…
幼い僕は
ただブランコに揺られながら
誰もいない公園内が
果てしなく広い場所に見え
ただ寂しさが
加速していた
泣きそうになってると
「あれ、瑠璃ちゃん?」
聞き慣れた?
聞き覚えのある?
いや…知らない声に聞こえた気がする
俯いた顔を上げると
女性がいた
母と同じくらいの年代
聞き覚えがある…
…
そうだ
…
同じ町内の
「女性」だった
幼い僕は微かに
町内会など
母が担当していたとき
連れられたりして
見かけた事ある
人だった
「瑠璃ちゃん、ひとりなの?公園前通ったら、いたから」
『うん、おうちで、おるすばんしてた』
「偉いね」
多分
最初はこんなありふれた会話だった
その女性は
すっと
膝を降ろし
顔を僕に近づいて来た
「やっぱり、前から思ってたけど、お顔かわいいね」
ただその女性の眼差しが
怖く不気味だったの覚えてる
そして
得体の知れない笑みを浮かべ
ゆっくり
その女性の手は
僕の膝へ…