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いま、ここ あるがまま ~自分の感覚を信じることは、自然体で生きること~

さまざまな体験を経て、自然体で生きる日々を綴る、Norikoの日記

 

地元ネタです。

実家のある九州の大雨について。

九州最大の一級河川である筑後川の上流部が、本日の午前中に氾濫しました。

 

 

 

 

 

【筑後川 大分 日田で氾濫が発生 厳重な警戒呼びかけ】

 

 

 

 

 

 

 

 

遡って昭和28年のことですが、梅雨前線を原因とする集中豪雨により、一級河川の筑後川をはじめとして九州北部を流れる河川がほぼすべて氾濫し、周辺流域に戦後最悪となる水害を引き起こしたそうです。

私の実家は、その被害があった場所にあります。

 

 

※参考:「昭和28年西日本水害」

 

※以下は、過去の筑後川の氾濫についてをツイートしてくださった方のリンクです。

https://twitter.com/sugimoto_8/status/1280134312361246725...

 

 

 

 

 

実家近くの最寄り駅には当時の水害の凄さを示す案内板(「この高さ(海抜8m)まで水が来ました」といったもの)があり、「同じような規模の水害がやってきたら、我が家は間違いなく流される」ということを、物心ついた頃から知っていました。

実際に防災マップ上だと、実家近くの筑後川が決壊したら最低でも5mは浸水する可能性があることが分かっています。

つまり非難が遅れたら、屋根に上って救助を待つことになります(それも、救助までに流されなければの話です)。

 

 

 

 

 

現在の筑後川治水計画の目標となった洪水がこの昭和28年に起こったこの水害で、これまで県や近隣の自治体が総力を挙げて治水に取り組んできているということを聞いたことがあります(余談ですが、私の祖父は生前に市役所勤めをしており、佐賀県側の治水事業に大きくかかわっていました)。

 

 

 

 

 

その後、台風やこのところの異常降水にも耐えて氾濫もなく来れてきたのは、そうした歴史から学んで治水事業を続けてきたからであり、それを知る地元の人たちは「ちょっとやそっとじゃ筑後川は氾濫しない」と思っている人も少なくないと思います(実際に私もそう思っていました)。

 

 

 

 

 

けれど、今回の筑後川の上流部の氾濫は、さすがにヒヤリとしました。

というのも、氾濫手前の冠水で大変な地域がいくつも出ているこの状況で、もしもこのまま河川が増水し続けて万が一にも筑後川の中・下流付近で決壊することになったとしたら、本当にとんでもない災害になると感じているからです。

新しいところでは昨年(2019年)の秋、台風19号による豪雨災害など比較にならないと思っています。

なぜなら、筑後川が決壊したら九州最大の平野である筑紫平野が水没する事態になりかねないからです。

 

 

 

 

 

そのように考える理由ですが、過去の記録以外の資料を基に記載させていただきます。

そもそもの話として、筑後川の水量(水の流量)がいったいどのくらいなのかというと、以下の画像が参考になるかと思います(こちらのサイトからお借りしました→『疏水名鑑』)。

 

 

 

 

 

※注1:河況係数の数字が大きいほど、河川の流量の変動が大きいことを示しています

 

 

 

 

 

日本の河川は欧米のそれに比べて極めて急峻であり、加えて東シナ海で発生した大量の雲がモンスーン(季節風)にのって日本を襲い、毎年集中豪雨をもたらします。

また、まったく雨の降らない日々が何ヶ月も続いたりします。川は濁流となったり小川のようにやせ細ったりと、流量の変動も極めて大きいのが日本の河川の特徴です。

 

 

 

 

 

こうした河川のある地点における一年間の最大流量と最小流量との比を河状係数というそうですが、その値をあらわしたものがこの画像です(河状係数の詳しい内容についてはこちらを参照:「農業土木学会誌 第48巻 第9号」)。
筑後川の値、ものすごくないですか??

そうした河川で、ひとたび氾濫や決壊が起きたらどうなるのか・・・、想像しただけでも怖くなりますね(筑後川が日本三大暴れ川のひとつと言われていた所以が分かった気がしました。というか、これを見る限りだと世界一の暴れ川ではないでしょうか(汗 )。

 

 

 

 

 

続きまして、筑後川の氾濫がもたらす周辺環境への影響の度合いについてです。

 

 

 

 

 

個人のブログ様からお借りしました※

 

 

 

 

 

上記の画像を見てお分かりかと思いますが、筑後川中・下流域は、筑紫平野のちょうど真ん中を通っています。

そのため、河川が決壊する場所によっては九州の経済(産業)が一気にダウンすると私は考えています。

 

 

 

 

 

筑紫平野は、西日本を代表する米作中心の集約農業地帯で、単位収量の多い米作の先進地域です。

い草加工・久留米絣・清酒などの農村工業も多数行われています。

つまりこの地域一帯は、北部九州の産業の一端を担っているのです。

 

 

 

 

 

そしてもうひとつ。

筑後川・中下流域の氾濫は、そのまま九州全域のライフライン(交通網)に大きな影響を与えてしまうのではと考えています。

 

 

 

 

 

以下は、九州の主要道路の図です(Wikipediaから拝借しました)。

 

「鳥栖JCT(ジャンクション)」の詳細画像↓

 

 

 

 

 

九州を南北に縦断する九州縦貫自動車道(九州自動車道)と、九州を東西に横断する九州横断自動車道長崎大分線(長崎自動車道・大分自動車道)が直交する場所に建設され、相互に接続する役割を持っているのが画像上の「鳥栖JCT(ジャンクション)」です

九州の主要都市を結ぶ節点として重要な位置にあり、九州で最も交通量の多いジャンクションの一つです。

そして、この「鳥栖JCT」は、筑紫平野のすぐそばにあります。

このことから筑後川の氾濫は、堤防の決壊場所によっては交通網の大混雑が予想され、そのまま九州内のライフラインが機能しなくなる可能性があるのです。

 

 

 

 

 

行政がこれまで、筑後川の治水事業にこまめに取り組んできたのは、万が一のことが起こったときを想像できていたからではないかと私は思っています。

そして個人的には、筑後川から3km以内の中流域に住んでいる家族(両親)が心配ですが、近隣に住む知人友人たちも気がかりです。

 

 

 

 

 

ちなみに、築紫平野の下流域は広大な海抜ゼロメートル地帯です。
そしてその先には干潟の有明海が広がっています。
もし満潮時に決壊することになったなら、水の逃げ場がどこにもありません。
いまは地元を離れて暮らしていますが、いずれは九州に戻ることに決めています。
愛着のある地元のことを思うと、筑後川の氾濫と決壊の危機には敏感にならざるを得ません。

 

 

 

 

 

昭和28年の頃と今とでは整備の質も飛躍的に向上しているでしょうから、万が一決壊したとしても当時のような水害規模にはならないのかもしれませんし、これまでの推測は大げさかもしれません。

突き詰めていけば人災だった可能性があったとしても、「何が起きるか全くわからない」し「全く予測が立たない」のが自然災害の恐ろしさであるということは、これまで日本国内で起こった過去の出来事から容易に想像できます。

そのことから、このような考えや推測をあえてこのタイミングで綴ってみました。

 

 

 

 

 

この時期、私の実家を含む見知った地域が、このように全国ニュースに上ることが増えました。
私が住んでいた頃はこんな雨はあまりなかったので、この10年で気候が確実に変わっていることを感じています。
そうした自然の流れに抗うことは到底無理なことなので、とにかく持ちこたえてくれることを、ただただ祈るのみです。