皆さんは、子どもを見るときに「よいところ(長所)」と「こうした方がいい(課題)」のどちらに目がいきますか?
多くの人は「長所を見る」と言うと思います。
その方が絶対によいということは、多くの場面で言われていることです。
しかし、本当にそのように行われているのでしょうか。
「長所を見る」と言う人たちの中には、よく観察してみると、口では褒めているものの、子どものネガティブな行動に対し、その都度反応し、動揺してしまうことが少なくありません。
口は出さなくても、表情がほんの少しでも曇ってしまえば、子どもはその様子をしっかりと見抜くことでしょう。
つまり、知らず知らずのうちに子どもに影響を与えてしまっているわけです。
すなわち、長所と課題のどちらに反応するかで、子どもの今後は大きく変わってきます。
ネガティブな行動に反応するということは、実は子どものことを心から信用していないということにつながってきます。
言い換えれば、子どもを「この子はできない」と過小評価し、「だから何とかしなければ」という焦る気持ちが、子どもに伝わってしまうということです。
本当に子どものことを信用していれば、多少のことは気にならないはずです。
テストの点がちょっと下がったり、落ち着きがなかったり…。
そういうことは、その子の全体像から見れば大したことではないはずなのに、つい我慢ができなくなって、指摘をしてしまう(あるいは顔に出てしまう)。
そして、子どもにマイナスに伝わってしまう。
情動は容易に伝染してしまうのです。
過小評価は、子育てにおいて、次のような負のスパイラルを生み出す可能性があります。
①過小評価をする
②ネガティブな気持ちが子どもに伝わる
③子どもの中に満たされない気持ちが生まれる
④その不満はやがてネガティブな行動につながってしまう(不安やチック、注目行動=いろいろな問題行動)
⑤周りから手がかかる子どもと思われてしまう
⑥過度に心配されたり、口うるさく注意を受けたりする
⑦満たされない気持ちがさらに増していく・・・
このように、満たされない気持ちから始まり、満たされない気持ちに戻ってくる…。
そして、一度この負のスパイラルに陥ると、なかなか抜け出すことができません。
そのうちに、子どもも大人も消耗してしまい、当然双方の関係性にまで負の影響が生じてしまいます。
大人との関係がぎくしゃくすると、子どもは日々イライラしたり、不安になったりして、当然良い育ちは期待できなくなるでしょう。
学習面にも少なからず影響が出てしまいます。
子どもが豊かに育つためには、大人との関係が、穏やかで安心できるものでなければなりません。
だからこそ、私たちは子どもを等身大に評価し、小さな短所には目をつぶり、長所を見つけ、嬉しそうなまなざしで日々見つめていかなければならないのです。
ときどき、「この子にはいいところがない」などと言う大人がいますが、果たしてそんなことがあるのでしょうか。
もし、そう見えるのであれば、それは大人の目が曇っているか、プレッシャーから子どもが自分らしさを発揮できなくなってしまっているかのどちらかでしょう。
誰だって、素敵な部分を必ず持っているはずですから。
繰り返しますが、大人のネガティブな気持ちは必ず子どもに伝わります。
そのことを十分に理解しながら、私たち大人は日々、丁寧に子どもに接していくことが求められるのです。
本年度もよろしくお願いいたします。
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