今回は

文字を描いた壁画のある家

を紹介します。

 

 

「リキュール&ワイン」の文字とそれを囲む花、ペイズリー

矢印、色使いから装飾家ポール・コーシーの作品だとわかりますね。

 

 

これはTumblrで公開したとき、

私の予想に反してとても反応がよくて

驚いたものです。

 

ポール・コーシーの作品だから、

アール・ヌーヴォーだから、

ズグラフィートだから、

さまざまな理由があると思うけれど、

どんな理由であれ

「ズグラフィート、目に留まってよかったね」

と、心の中で壁画に話しかける想いでした。

 

 

角に建つこの家というより建物の一角に、

窓と同じ枠の中にこうしてズグラフィートを描いています。

通りが交差する側の壁にずらり、

縦に並べているのは広告ポスターとして

多くの人の目に触れるようにという意図と

連続する窓と同じ形の枠を用意したのは

美観をちゃんと意識してのことだと思います。

 

ズグラフィートも美しいけれど、

統一のとれたこの窓とズグラフィート用の枠は素晴らしい配慮。

 

外壁に使われている色の中で一番占める面積の少ない色、

ここでは窓枠の上下に使われている赤いレンガの色を

ズグラフィートでメインの色として使うコーシーの特徴が

はっきり出ています。

「リキュールとワイン」と描かれた上階にはBRUNE FARO。

 

BRUNEはフランス語で「ブルネット」を意味するそう。

英国王室キャサリン妃の髪の色がそうですね、要は「茶色」。

 

FAROといえばJR代々木駅近くにFARO Caffeという

素敵なカフェがあって、そのお店のマークが「灯台」なんです。

FARO CaffeのFAROはイタリア語で「灯台」を意味するなら、

フランス語も同じ意味かもしれないと思ったのでした。

 

さらに調べてみるとFAROはポルトガルの地名であり、

トランプ博打の可能性も出てきました。

 

そうなるとBRUNE FAROは「茶色い灯台」?

それとも隠語でしょうか?

心当たりのある方は是非教えてください!

 

BLONDEは名詞としては「金髪(ブロンド)」という意味で、

先に登場した茶色を意味するBRUNEと比較される髪の色。

 

英国留学時に「男性が好む女性の髪の色」が

授業で取り上げられたことがあったので、

BLONDEとBRUNEでつい女性を連想してしまいました。

 

 

使われているフォントも気になりますね。

有限会社 嘉瑞工房、そこで紹介されていたロンドンにある

TYPE MUSEUMでもアール・ヌーヴォーのフォントを見たけれど、

このフォントは出てこなかったのでコーシー独自のものだった

のかもしれません。

 

 

このズグラフィートは1つの階の窓下に装飾されていて、

端に纏まって縦に並んだズグラフィート群を

外壁全体として浮かせない役割を担っています。

少なくとも私にはそう見えます。

 

ズグラフィートで描かれているものを見て、

一体この建物は何に使われていたか今一わかりません。

 

夜のお店だったのでしょうか?

これからも探求していきたいと思います。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

 

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今回は

ズグラフィートのある家の「裏側」

について書いていきます。

 

これまでに紹介した家はどれも通りに面した表側、

そうなると住人でなければなかなか目にすることのない裏側は

一体どうなってるの?と気になる人もいるのではないでしょうか。

 

ブリュッセルの街並みはこんな風に約6mの間口で、

隙間なく装飾的な外観の家が通りにぎっしり。

 

カフェレストランから大使館になった家として紹介した

デルーン・ハウスは、家の裏側にもズグラフィートがありました。

これって実は、とても珍しいことなんです。

 

ブリュッセルの家は日本の長屋のように奥行きがあって、

家の裏には庭があります。家の裏を見下ろす窓から同じブロックの家々の庭を眺められるようになっていて、裏側の外壁は丸見え。

 

これはパリと同じつくり!と思ったものです。

 

街並みに統一感のあるパリに対してブリュッセルは画像の通り、

それぞれが外部に対して自分の主張を展開。

でも裏側となると、パリと変わらない!

ズグラフィートのない世界でした。

 

ズグラフィートのある家が多く残るサン・ジルという地域ですら、

家の裏手にはなかったので、人の目に触れる場所にこそ装飾されるものだったんだとブリュッセルに何度も足を運んだことで

暮らしたことのない私にもやっと見えてきたのでした。

 

デルーン・ハウスが家の裏側まで装飾したか理由は、

 ・家主がとても裕福だったから

 ・家主は装飾することが好きだったから

 ・家主はズグラフィートが好きだったから

など色々考えられます。

 

以前紹介したホテルシャモンを覚えているでしょうか?

外壁にも内装にもズグラフィートが装飾された家で、

今は主にビジネス客が利用するホテルです。

 

この家もデルーン・ハウスと同じ理由が考えられそう。

 

 

でもデルーン・ハウスと一緒くたにできなかったんです。

それがこちら↓

ホテルシャモンの裏側にはズグラフィートがない!

ズグラフィートのための枠(描画面)すらない!!

 

 

これには私も驚きました。同時にズグラフィートを装飾することの意味を考えさせられました。

 

ズグラフィートのある家が建てられたのは、

19世紀末から20世紀初頭にベルギーが第一次大戦に参加する

1914年までの約四半世紀という短い間でした。

 

その間に建設された建物の5%ではあるけれど、

1960年代の再開発などで壊されてしまったものがあっても、

ブリュッセルにはまだ4000~5000軒は残っているといわれています。

 

過去と現在のベルギー人、ベルギーに暮らす人が

どんな人なのかを知るキッカケになると同時に、

これは世界各地の人種や民族に関わらず

家には様々な想いが詰まっていて

暮らす人とその国なり地域が見えてくる

それが私にとっては面白いのだと思うのでした。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございます。

 

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今回は

デルーン・ハウス(Delune house)

を紹介します。

 

 

大使館が集中しているルーズベルトという通り沿いで

私の目をひと際引きつけたのは、このブルー系色と金箔で

彩色された壁画でした。

 

 

外壁にレンガをつかった間口6mほどの家が通りの端から端まで

隙間なく並んでいるのをよく目にするブリュッセルですが、

街の中心部を離れると塀で囲われた戸建てが現れます。

 

 

私が訪れた2014年春、こんな風に看板が取り付けられていて

人っ気のない寂しい雰囲気でした。

 

取り付けられている看板から、

建築家Francis Metzger氏

(Metzger et Associes Architecture.s.a.)に

ファサードと屋根の改修が任されたことがわかります。

 

アラブ首長国連邦の大使館として活用されれば、

建物本来の輝きがこの写真のときよりも増していることでしょう!

 

もう5年足を運んでいないので、今度行った時にどうなっているかとても楽しみ。建物だけじゃなく、ぜひ庭もそれに見合うよう手入れがされているだろうから一層楽しみです。

 

 

この家の壁画はズグラフィート装飾家ポール・コーシーの作品

とわかる図柄が描かれ、彼のものにしては珍しく寒色をつかった

大変珍しいものなのです!

 

 

デルーン・ハウスに関するサイトはこちら

先に登場したMetzger et Associes Architecture s.a.のおかげで、

1910年当時なのか白黒の写真から

Le Chateauというカフェレストランでアメリカンバーとして

使われていたことがわかりました。

 

丸窓は開いていて、ガラスには白い汚れが!!

よく見ると中にはやっぱりハトがいて、

前向きにいえば「大きなハト時計」みたいな状態でした。

 

 

建てられた当初、家主はTとAがイニシャルの

とても仲の良いご夫婦だったのもかもしれないですね。

 

 

軒下には「よくこんな細かいデザインにしたものだ」

と繰り返し装飾された壁画に脱帽。

 

建物の裏側まで軒下には壁画が描かれています。

せり出した屋根のおかげか、

軒下の壁画はこうして残っているのに、

ほかの部分に壁画は確認できませんね!

 

 

こんな風に色は褪せているものもあるので、

壁画は修復されていないのではないかと思います。

 

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

 

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