「やっぱりハサミもオールスチールがいいよね」
と言う訳でこちら・・・

今普通に売られている普及価格帯のハサミって殆どがこんな感じでハンドルの部分がプラスティックで出来ていますよね。
普通に家で使う分にはこれでもいいんでしょうけど、仕事で使うとなれば話は別で、現役のメカニック時代、プラスティックハンドルのハサミが何度も割れては買い替え、割れては買い替えを繰り返していて、その度に「この安物のクソバサミが!」とイライラが爆発していました。
まぁ、本当にコンビニで売っている500円くらいの安いハサミを使っていた訳ですけど。
因みに写真の貝印製プラスティックハンドルのハサミ、同じ物がもう1本家にありましたが随分前にハンドルが割れて処分しました。
それでこちら・・・

これは私が小学生の頃だからもう45年以上前に買ったマルイと言うメーカーのハサミなのですが、私が子供の頃の文房具用のハサミって大体こんなイメージだったんですけどね。
今はこんな感じのオールスチールのハサミって本当に見かけなくなりました。
これ、なんせ古いので切れ味はそれなりですが、今でも普通に使えます。
そこで、東急ハンズとかにも探しに行ったのですが、ハサミは大量に売られているのにオールスチールのハサミが1本も無い。
「何で1本も無いんだ!プラスティックハンドルのハサミは割れるから嫌いなんだ!」
と店員にも文句を言いましたが無い物は仕方ないのでアマゾンで調べてやっと手に入れたのが
こちら・・・

プラスと言うメーカーのオールステンレススチール製のハサミです。
これでやっとハンドルが割れるイライラから解放された・・・と仕事で使っています。
ただこれ、ウエスを切っていたら刃が痛んで全然切れなくなって買い替えた事があるので耐久性自体は普通だと思います。
それでも1200円くらいと安いし、今までプラスティックのハンドルが割れてイライラした経験がある方にはお勧めです。
それから、ebayでも何かオールスチールのハサミは無いかな?と何気に見ていると・・・
「おっ!これ!めっちゃかっこええやん!一応研磨済みって書いてあるし普通に使えるんとちゃう?」
と、見た目で選んで買ったのが2018年にベルエアのシートクッション作りを記事にした時にミシンの糸を切るのに使っていたこちら・・・

アメリカのウイス(WISS)と言うメーカーのNo.765と言うハサミで、これ自体が何年製かは分かりませんが1960年頃の発売です。
これ、元々刺繍などをする時に糸を切るためのハサミですから、使い方は合っていた訳です。
で、これ、いくら研磨済みと言っても製造されてから60年以上経っている可能性がある中古品なので切れ味自体はそんなに期待はしていなかったのですが実際に使ってみると・・・
「えっ!何これ!めっちゃよう切れるやん!凄い!」
私が今まで使った事があるハサミの中でこれが一番よく切れました。
普通のハサミの「ジョキ!」と言う感覚ではなく本当に「フワッ!」と言った感じでとてもスムーズ切れて行きます。これは本当に気持ちいい。
それもそのはずあとから調べて分かったのですがこのハサミ、一般的なステンレス板を打ち抜いて作るハサミとは違って、車のエンジンのクランクシャフトやコンロッドなどと同じように熱した鋼を型に入れてハンマーで叩いて成型する
「熱間鍛造」
と言う方法で作られています。forged steel って奴ですね。
当然鍛造で作ると金属の組織の密度が上がって強度や耐久性が飛躍的に向上します。
なので60年物でもこの切れ味は納得なのであります。
因みに初期のハサミは鋳鉄製で刃の曲がり具合とか細かい調整が出来ないため切れ味が悪く、落としたら割れたりしたそうです。
それから刃の部分が鍛造でハンドルが鋳鉄と言うタイプに変わり、その後このハサミみたいに鍛造の一体成型になったのですが、この鍛造一体成型のハサミを最初に開発したのがウイスなんだそうです。

と言う事でこのハサミ、全長約5インチと小さめで細かい作業に向いているのでミシンを使う時以外に薄いプラ板を切ったりとか模型関係にも使っています。
それにしても糸を切るハサミに鍛造は何だか贅沢な感じもしますが、このハサミを使うと糸の先端をとても綺麗に斜めに切る事が出来るので、ミシンに糸を通す時にそのありがたみが良く分かります。
それからシートクッションを作るんだったら布用のテーラーバサミも要るけど、
どうせならウイスのビンテージ物で良さそうな物は無いか?
と、このウイスと言うメーカーが気に入ったので買ったテーラーバサミがこちら・・・

ウイスのNo.729と言うハサミでこれ自体が何年製かは分かりませんが1970年頃の発売です。
全長は約8インチあります。
これも恐らく製造されてから50年以上は経っていると思われるビンテージの中古品ですが、期待通り「フワッ!」と、とても気持ち良く切れます。
なんかネットで調べると布用のハサミは刃が鋭利に仕上げてあるので紙を切ると痛む可能性があると書いてあったのですが、そんなにヤワでも無さそうなので本来の布以外に厚紙とか厚めのプラ板とか色々便利に使っています。
それから次はビンテージ品ではなく普通にアマゾンで買った現行品なのですが、形を見て
「うわっ!何これ、倍力装置付き?」
と一気に興味が湧いて買ったのがこちら・・・

ウイスの板金用ハサミです。

これ、一段リンクが付いている「コンパウンドアクション」と言う機構が組み込まれています。
このおかげで普通の板金用ハサミの半分の力で切る事が出来ます。
これも実際に使ってみたら効果抜群で感動しましたね。
普通の板金用ハサミだと0.5mmの鉄板、1mmのアルミ板くらいが切れる限界だと思うのですが、これだと普通の半分の力で切れる分1mmの鉄板、2mmのアルミ板を切る事が出来ます。
当然これも刃の部分は鍛造で出来ています。
なのでこれはビバリーシャーを用意する程でも無い小物を切る時に使っています。
この「コンパウンド(複合)アクション」と言う機構は1939年にウイスが開発して、それ以来
殆ど形が変わらず今でも作られています。
やっぱこのウイスというメーカー、凄いっす。
それから先日、YouTubeにハサミの耐久テストをしている動画があったので見ていると、
やっぱりプラスティックハンドルの安物のクソバサミは元々切れ味が悪いし耐久性も低いしと
「でしょうね」
と言う結果でした。
その中でアメリカのクラインツールズ(Klein Tools)と言うメーカーのハサミが産業や医療分野などで広く使われていてとても耐久性が高いのでお勧めと話していたので手に入れてみました。
それがこちら・・・

色々種類がありますが今回は全長6インチの一般的な大きさの物を買いました。
これ、日本のアマゾンで注文したのですが、日本には在庫が無かったのかアメリカのアマゾンから送られてきました。6300円くらいでした。

このクラインツールズと言うメーカーは元々現役のメカニック時代に買ったロングノーズプライヤーを使っているのでよく知っているメーカーです。
そしてこのハサミも当然鍛造で「フワッ!」ととても良く切れます。
こう言うよく切れるハサミを手に入れるとお菓子の袋とか、普通に手で開けられる物もハサミを使って開けたくなります(笑)。
それから実際に使ってみて気付いたのですが普通ハサミを使う時って刃と刃が強く当たるように親指側を押して人差し指側を引く感じで横方向にも力を入れていると思います。
なので右利き用のハサミを左手で使おうとすると逆に刃と刃の間が開いてしまって全然切れなかったりします。
その点、このクラインツールズのハサミは支点の部分にスプリングが仕込んであって、刃と刃が当たる方向に常に力がかかるようになっています。
なので動きが少し固いのですが、その代わり横方向に力を入れる必要が無いので右手で使っても左手で使っても全く同じようにとても良く切れます。
それに長時間使った時の手の疲れを軽減する効果もありますね。
これも実際使ってみて「なるほど!」と感心したポイントです。


こうして左のプラス製ステンレス板打ち抜きタイプと右のクラインツールズ製鍛造タイプを見比べてみると、同じオールスチールのハサミでもクラインツールズの鍛造タイプの方が素材から最終的に製品になるまで何倍もの手間がかかっている事が一目見て分かりますね。
ハンドルに指を入れた時の感触も圧倒的にクラインツールズの鍛造タイプの方が快適で好きです。
これが切れ味や使い心地、耐久性の差を作り出していると考えると6300円でもむしろ安いと思います。

それから写真一番右の小学生の頃に買ったマルイのハサミ、形状から見るとこれも鍛造で作られていますね。
その割にはクラインツールズと比べると作りが甘くて切れ味がイマイチな感じですが、子供が学校で使うハサミが切れすぎるのも危ないので仕上げはそこそこにして値段を抑えているのではないかと思います。

と言う訳でこのクラインツールズのハサミがいつも手元に置いておくメインのハサミになったので、プラスティックハンドルのハサミはこれからも割れる事無くこのまま保存される事でしょう。
ここで鉄壁の鍛造+MADE IN U.S.A.のハサミの布陣が揃ったので写真に撮っておきます。


うん、いいねぇ~
思わず手に取って使いたくなるよねぇ~
最近は安いプラスティックハンドルのハサミに押されて鍛造のハサミを作るメーカーはどんどん減っているとの事ですが、「業務用」でプラスティックハンドルのハサミでは話にならないので、これからも長く使える良い製品を作り続けて欲しいですね。
camera:Canon F-1 + Kodak Portra 400 film