【消防指揮隊とは?】それは・・・部隊運用のかなめ | 消防吏員のブログ

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仕事の内容を中心とした、備忘録、知識、経験なんかをまとめていきます。たまにインスタグラムで雑記もあげますが、これはご愛嬌として見てください。

久しぶりの投稿になります

 

2月は人事異動前で何かと事務仕事が増えますね~無駄な業務も見直したいのですが・・・

なかなか思うようにいかないですね

ところで、皆さんは指揮隊をご存じですか?

知っているけど、何をしている隊なの?という方が多数いてはると思います

 

ということで、今回は指揮隊についてお話しようと思います

 

 

 

 

 

そこで、消防の教科書的なものを参考にすると・・・

 

指揮隊とは、あらゆる災害現場で情報収集を行いながら災害実態の把握に努め、その情報を基に部隊を効率的に運用する専門部隊のこと

分かるようで分らんね・・・具体的にどういう活動するかといいますと

① 災害現場で情報収集を行います

② その情報を基に災害実態を把握します(状況の把握)

③ 情報が正確か?また優先すべき情報は何か?分析します

④ 情報分析が終われば優先的に必要な個所に部隊を配置、具体的指示をだします(判断・命令)

⑤ 指示した結果を再度分析し、その指示が有効であったか評価します そして①に戻る  

これを繰り返すことによって現場を効率よくまわします(図を参照)

 


 

 

それでは個別に見ていきましょう

 

① 情報収集


指揮隊の情報収集は「出動途上における情報」から始まります

 

分かりやすく言えば「119番の通報内容」です

 

 

なお、火災の119番通報の流れは過去ブログをみてね

 

 

 

 

指揮隊が現場に急行している間に通信指令室から通報内容が無線で流れます

 

例えば

「〇〇消防から指揮隊へ 本件 一般建物火災 逃げ遅れ情報あり」

 

「北西隣接建物に延焼危険大 気象情報 南西の風平均風速〇〇 乾燥注意報発令中」

 

みたいな感じです

 

この情報を基に指揮隊長は各隊に活動方針を伝えます

 

「大隊長から出動中の各隊へ 逃げ遅れ情報あり 最先着隊は 人命救助最優先」

 

「後着隊は包囲体制を確立し 北西方面の防ぎょにあたれ」

 

など、いまある情報から具体的指示、いわゆる②の状況把握と③の判断・指示を出動途上からすでに行います

さあ、それでは間もなく現場に到着します

 

火災現場を想定した情報収集としては・・・

「災害実態の住所の確認」

当該建物の表札や周囲の目標物から正確な災害点を割り出す

 

「災害現場を一巡する」

関係者の確保、延焼危険の確認

周囲の状況から予測する

(例:三輪車や子供用自転車が停車していれば子育て世帯である、消火器や水道の位置から初期消火が行われたか、LPGボンベなのか都市ガスなのか、煙の色からフラッシュオーバーの危険性はあるか?など)

「三大危険の把握」
人命危険→逃げ遅れ情報、周囲建物の避難状況、負傷者の情報など
延焼危険→隣接建物へ延焼しているか?
作業危険→屋根、瓦、側壁などの落下崩落危険、危険物の確認除去など

この三大危険情報は何よりも優先的に把握します。

 

 

② 状況把握

 

情報収集を行いながら指揮本部を設置して、集めた情報から災害実態を正確に把握していきます

 

建物の概要は?

 

「例:木造瓦葺モルタル塗2階建て一般住宅 1階部分から出火 現在〇〇㎡延焼中」

 

逃げ遅れは?

 

「例:関係者からの情報によると1名確認が取れない、逃げ遅れの可能性大」

 

危険情報は?

 

「例:西側の瓦が落ちそうだ」

 

こんな感じで正確な状況を把握していきます

 

 

③ 情報分析

 

情報収集した内容が正確か?

誰からの情報か?

 

など情報分析していきます

「例:関係者からの情報とは誰からの情報か?家族なら信憑性が高いが、第三者情報なら確認が必要だ」

「例:逃げ遅れ1名とあるが、近隣住民の話では入院しているかもしれいないとの情報あり、病院への連絡と搬送履歴の確認が必要だ」

「例:1階南側から〇〇救助隊が屋内進入 → それなら北側の部隊に対面放水の注意喚起が必要だ」

 

など、誰の情報かで情報の正確性を判断・分析していき、その情報から部隊に指示を出します

 

 

④ 判断・命令


情報分析の結果から部隊に指示を出します

 

「例:逃げ遅れ1名に関して、通信指令室に入院歴や搬送歴がないか確認させよ」

 

「例:指揮本部から北側〇〇消防隊へ 南側から〇〇救助隊屋内進入する 対面放水に十分注意せよ」

 

「例:西側の瓦落下危険あり、△△消防隊は放水にて瓦を落下させよ 落下後はロープで危険個所の明示を行え」

 

 

⑤ 効果の確認



現場指揮本部から出した指示が正確に伝わり履行されているか、またその結果どうなったかを評価していきます

 

「例:逃げ遅れ1名に関して、通信指令室から入院はしていないとの情報あり、この情報より、逃げ遅れの可能性は大、全隊に至急、情報共有せよ」

 

「例:逃げ遅れの救助者情報を関係者から再度聴取せよ、普段はどの部屋で生活しているか など」

 

「例:屋内進入している○○救助隊へ 活動時間が長いので至急退出させよ また 人命検索箇所を知らせ 」

 

「例:北西の延焼危険は防ぎょできているのか? 再度確認せよ」


はい

こんな感じでまた情報収集を行って、それに対する評価指示をしていき火災を「鎮圧」「鎮火」までもっていきます

 

「鎮圧とは?」

火勢より消防力が優位になった時点をいいます

簡単にいえば延焼危険はなくなり、現在の消防隊だけで十分対応できるという状態のことをいいます

 

「鎮火とは?」

残火処理を行い、現場最高指揮者が再燃の恐れがないと判断した時点をいいます

 

鎮火までいくと、撤収準備を行いながら関係者に火災鎮火と再燃の注意喚起など説明を行い全隊引き揚げとなります

 

以上です

 

今回は指揮隊の活動について、お話させていただきました

 

もう少し詳しく聞きたい方は直接メッセージをいただけたら幸いです。

 

それではまた!!

 

 

あとがき

 

私はいま現場最高責任者としてあらゆる災害に指揮隊として出動していますが、毎回、責任の重大性を痛感しております。被災された方の人命救助、活動している隊員の命も守らなければならない。

 

それが私の指示で大きく状況が変化していきます

 

部下の前ではいいませんが、私も不安と闘いながら仕事をしています

 

この不安を払拭するには

 

勉強と訓練

 

これしかないと考えております

 

全国の中間管理職の皆様!!

 

いまさら勉強なんてと思う前に、知識のアップデートをドンドン行いましょう!!
 

 

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