【通信指令の話】火災時の119番通報の流れ解説 | 消防吏員のブログ

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仕事の内容を中心とした、備忘録、知識、経験なんかをまとめていきます。たまにインスタグラムで雑記もあげますが、これはご愛嬌として見てください。

今回は火災発生時の119番通報の一例をご紹介いたします。

 

 

前回同様

指令室員と通報者の会話形式ですすめまして、途中に解説も加えたいと思います。

 

 

指:指令室員

通:通報者

※解説

 

 

指:119番消防です。火事ですか?救急ですか?

 

通:火事です。早く来てください。

 

指:分かりました。あなたはいま安全な場所から通報されていますか?

 

 

※危険な場所からの通報かどうかの確認

※危険な場所からの通報の場合は避難を優先させます

 

 

通:安全です。目の前で建物が燃えています

 

 

指:分かりました。住所はわかりますか?

 

 

通:〇〇町〇番〇号 〇〇さんのお宅です。私の家の隣です

 

 

※指令システムの地図で場所の特定をしております

※高所カメラで火炎や煙が上がっていないか確認します

 

 

指:〇〇さんのお宅、地図で確認しました。××さんのお隣ですね?

 

 

通:そうです。××は私の家になります。早く来てください!!

 

 

※場所を確定した段階で出動指令をかけております

※××さんのお隣ですね?と確認することにより場所特定の精度を上げます

 

 

指:分かりました。いま、消防隊に出動指令をかけましたのでご安心ください。まずは近隣住民の皆さんに聞こえるように大きな声で「火事だ!!」と伝えて、避難を促してください。

 

通:ご近所は全員避難してます。

 

 

※まずは周囲に火事であることを知らせる。これめっちゃ重要です!!

 

 

指:分かりました。燃えている建物の方は避難されていますか?

 

通:周囲にはいません。避難しているかもわかりません

 

指:分かりました。燃えている建物に住まわれている方は何名のご家族かわかりますか?

 

 

※1世帯何名住んでいるか確認しています

 

 

通:父、母、娘の3人家族です。この時間帯はみんな家にいるはずですが・・・

 

 

※この情報を聴取した段階で逃げ遅れを考慮して救助隊及び救急隊の増強をします

 

 

指:分かりました。建物が燃えているのは何階部分かわかりますか?火炎が出ていたり、黒煙が噴出したりしていますか?

 

 

通:建物の2階から火が出てます。黒煙もすごいです。

 

 

※別の指令室員がいま聴取している情報を出動している消防隊員に無線で伝えます

※〇〇消防本部から〇〇町〇番〇号〇〇宅 建物火災に出動中の各隊へ情報を送る 本件 建物2階から火炎黒煙噴出 近隣住民は避難済み 建物内の家人は未確認 逃げ遅れの可能性あり 救助隊を増強する・・・みたいな感じで伝えます

 

 

指:分かりました。皆さんお怪我はされていませんか?

 

 

通:いまのところ怪我をしている方はいてません

 

 

指:分かりました。皆さん安全な場所で待機してください。火元の建物内には絶対に入らないでください。それでは消防車のサイレンが聞こえましたらどなたか誘導してください。

 

 

※火元建物に忘れ物を取りに行ったりする方がおられます。それで命を落とす方もおられますので、火元建物には絶対に入らないでください!!

 

 

通:分かりました

 

指:それでは一旦電話を切断します

 

 

消防隊到着!!

 

 

火災の119番通報はめちゃくちゃ緊迫しています。さらに炎上火災では119番通報が多数入電して回線があっという間に埋まることもあります。

 

 

ただ、我々も消防のプロなので多数入電の中から

 

どの通報者なら有益な情報を聞き出せるか?

家人からの通報ではないか?

逃げ遅れ情報がないか?

 

等の重要な情報を持っている通報者を声質、感情、話す内容等で瞬時に判断選別して、必要な情報を素早く聴取することが可能です。

 

 

この例はあくまで一般例なので参考程度に見てください。

 

それではまた!!

 

 

 

補足説明

火災の口頭指導

 

火災の口頭指導が一番難しいといっても過言ではないです。例えばですが、通報されている方が火に追われてベランダに逃げて必死に119番通報されている・・・そんなシチュエーションなら指令室員はどのように口頭指導するのでしょうか?

 

ベランダにシャッターがついているならシャッターが閉めれるのか?確認します。火は酸素を求めて広がっていきます。窓等の開口部が開いていると、そこから酸素を供給して激しく燃えるので、避難するときはドアを閉める、窓を閉めるなどして避難してください

 

 

シャッターが無理なら隣接建物へ避難できるかの確認をします。それも無理なら身を低くして火から遠ざかるように指導するかと思います。

 

 

火災は全てを燃やします。財産や思い出、人の命までも・・・

自分自身の命、大切な人の命を守るためにも地域の防災訓練に参加したり、会社の消防訓練に積極的に参加する等、とにかく知識を蓄えてください。

 

 

 

下記

美容と健康をテーマにした嫁さんのショップブログがあるので参考にリンク貼り付けます