英語三昧 | 桂米紫のブログ

桂米紫のブログ

米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。

携帯電話からアクセスできるサイトの中に、「携帯翻訳J-server」というのがある。

これは、日本語の文章を入力すると瞬時に英文に翻訳し、反対に英文を入力するとすぐさま和文に訳してくれ…さらにまた発音までも聴かせてくれるという、科学の進歩を改めて見せつけられるような、すこぶる便利でかしこい機能を持ったサイトである。

しかし海外公演などに縁のない僕には、あまりこのサイトを役立てられる機会もなさそうなので…結局、オモチャにしてしまう事にした。

古典落語の演目名を英訳サイトでそのまま直訳したらどんな風になるかと、色々と試してみた。

…落語マニアの方、何のネタか当ててみて下さい。

まず、‘そのまま’だけど何だかカッコよくなったのが…
●「Dice of a racoon dog」

●「Seven time fox」
それに
●「Secret note」
だ。

それぞれ「狸の賽」と「七度狐」と「秘伝書」だが…原題からは想像もできないような、ハリウッド映画のタイトルみたいになってしまった。

同じく‘そのまま’ではあるのだけど、どっかオカシイのが…
●「Inn enemy」
●「Cooking stove thief」
●「Rice cake shop question and answer」。

こちらはそれぞれ、「宿屋仇」に「へっつい盗人」に「餅屋問答」。

‘へっつい’を‘Cooking stove’、‘餅’を‘Rice cake’とは名訳!?
あと、‘宿屋’は確かに‘Inn’ですが…「Inn enemy」は、何だかマヌケだ。

●「Boiling selling shop」
●「Gathering liquor」
●「Potter's wheel neck」
も面白い。

それぞれ「煮売屋」に「寄合酒」に「ろくろ首」。
ふ~ん、‘ろくろ’って‘Potter's wheel’って言うんや。

ちなみにこの英訳タイトルをそのまま同サイトで邦訳すると、
●「沸騰販売店」
●「集まりアルコール飲料」
●「ポッターのホイール首」
となった。
…直訳し過ぎやろ!!

あと逆直訳が変だったのは、
●「Poor flower viewing(貧乏花見)」→「貧しい花展望」
●「Child praise(子ほめ)」→「子供賞賛」
●「The sumo wrestling hall landscape(相撲場風景)」→「相撲ホール景色」。
…肩が凝りそうです。

完全に誤訳をしてるのが、
●「Monk restaurant」。
…これは「坊主茶屋」。

‘茶屋’といういかがわしいニュアンスが英訳出来なかったもんとみえて、単純に‘restaurant’となってしまった。
日本語に直訳すると、
●「修道僧レストラン」。
…行きたくねぇ~。

「蛸芝居」は、
●「Octopus play」
「茶漬幽霊」は、
●「Boiled rice with tea ghost」
「饅頭こわい」は、
「I'm afraid of a bean jam bun.」
と英訳された。

そしてコレをそのまま邦訳サイトで逆に直訳してみると…
●「タコ遊び」
●「茶ゴーストを持つ炊かれたご飯」
●「私は豆ジャムロールパンを恐れています」。
…このサイト、かしこいと思ったら結構アホでした。

最後に一番カッコ良かったタイトルと、…あと一番気の抜けたタイトルを。

●「If you die, now.」
…は、007の新作タイトルではありません。
これは「死ぬなら今」。
まぁ原題自体が若干007チックですが。

原題同様物々しいのが、
●「Play of the hellish dead of eight beauty spots」。
…こちらはそう、上方落語の大作「地獄八景亡者の戯れ」だ。

ところがコレをそのまま邦訳すると、どういうワケか
●「8つの景勝地の、地獄の死者の遊び」
と…何だか火曜サスペンス劇場のサブタイトルみたいになってしまってゲンナリ。

…うん、面白いなァ。

よぉし、次は「松竹新喜劇」のお芝居のタイトルを英訳してみようっと。


桂米紫のブログ-シチュウー.jpg