ところが、そういう映画はとても少ない。
商業主義の大作は、どうしても解りやすく大味になってしまう。
…それは仕方のない事である。
映画産業はビジネスだから、会社にとっては‘ネコもシャクシも観る作品’が好ましいのだ。
『ゴーストワールド』という映画を観た。
2001年作の、アメリカ映画。
以前ある友人から、観る事を薦められた映画。
…その友人とは連絡がとれなくなってしまい、今となっては感想を伝える事が出来ないのが残念だ。
高校を卒業したばかりの、社会と馴染めぬ一人の少女の迷走を描いたこの『ゴーストワールド』は、観る人によっては恐らく‘よく解らぬ映画’との烙印を捺される作品であろう。
でも僕にとっては、(No.1とまでは行かぬまでも…)‘これぞ映画’という映画との出会いであった。
可笑しみと哀しみが交錯して、現実と非現実が同居する。
そして映画は「明確な答え」を提示せぬまま、曖昧な印象を残して、静かにエンドマークを刻む。
「万人が好むもの」というのは、ある見方をすれば、実はとてもつまらないものなのではないかと思った。
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