8日(火)に幕の開いた今回の‘演とら’公演も、明日でいよいよ千秋楽。
今回は、「梶尾章」という青年の役を演らせてもらっている。
だいたいお芝居に呼ばれる時には、噺家でこんなキャラという事もあり、よく喋る役が多い。
…しかし今回は珍しく、内気で無口な役なのだ。
演劇公演で、飛び道具的ではなく割と普通の出方をするなんて、一昨日の10月に大阪プラネットホールで本番のあった‘才谷家演人’公演…『Dの呼ぶ声』以来である(まぁ今回も、やや飛び道具的なシーンはありますが…)。
梶尾章は、不器用だが真っ直ぐで、心優しき青年だ。
何だか世間の垢が付き始めた、中年に足を踏み入れようとしている自分みたいな人間が、ただ「不器用」という共通点を頼りに…せめてもの真っ直ぐさで、何とか彼を‘生かしてやりたい’と思う。
‘役’というのは、まるで無縁仏みたいだ…と思う事がよくある。
明日の昼夜二回公演が終われば、「梶尾章」という青年は、もうこの世からいなくなる。
明日はせめて誠実に、「梶尾章」を心を込めて弔ってやろうと思う。
技術的な事はよく分からないので…僕に出来る事は、それぐらいである。