ざこば師匠の「らくだ」、そして“悲喜こもごも”について | 桂米紫のブログ

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米朝一門の落語家、四代目桂米紫(かつらべいし)の、独り言であります。

勿論ネタにも因る話ではあるが…「ただただ笑える落語」よりも、「ちょっと哀しい落語」の方が好きだ。

「哀しい」と言っても、何もお涙頂戴の人情噺を至上とする訳でもなければ、湿っぽさを推奨する訳でもない。

細やかでも、人間の“矛盾”というか…“割り切れ無さ”みたいなものを 描き出していれば、それだけで僕はそこに一抹の「哀しさ」を感じてしまう。


今日、大師匠であるざこば師の「らくだ」を聴いた。

ざこば師匠の「らくだ」は、決して湿っぽいものでは無い。
登場人物たちはひたすら生命力に溢れ、底抜けにエネルギッシュだ。

だからこそ、何だか物哀しい。


人生はエネルギッシュであり、たまらなく面白く、またそこはかとなく哀しいものであると思う。


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