勿論ネタにも因る話ではあるが…「ただただ笑える落語」よりも、「ちょっと哀しい落語」の方が好きだ。
「哀しい」と言っても、何もお涙頂戴の人情噺を至上とする訳でもなければ、湿っぽさを推奨する訳でもない。
細やかでも、人間の“矛盾”というか…“割り切れ無さ”みたいなものを 描き出していれば、それだけで僕はそこに一抹の「哀しさ」を感じてしまう。
今日、大師匠であるざこば師の「らくだ」を聴いた。
ざこば師匠の「らくだ」は、決して湿っぽいものでは無い。
登場人物たちはひたすら生命力に溢れ、底抜けにエネルギッシュだ。
だからこそ、何だか物哀しい。
人生はエネルギッシュであり、たまらなく面白く、またそこはかとなく哀しいものであると思う。