あふれんばかりの才能、感性そして表現。
100万年たってもかなわないと思える人。
詩なら「金子みすゞ」、文章なら「ルシア・ベルリン」
音楽なら「モーツァルト」。
こんにちはBJです。
久しぶりに文庫本を買いました。
前から気になっていたルシア・ベルリンの「掃除婦のための手引き書」です。
本当の手引書、いわゆるマニュアルではありません。
そりゃそうだ。
いかにマニュアル好きでも「掃除婦」のマニュアルは買いません。
埋もれていた作家のようです。
一部の人に熱狂されて、忘れられた作家と書いてありました。
こんな経験をされたことはありませんか。
休みの日になんとなく見ていたテレビ。
良く知らないタイトルと白黒の映画が始まる。
見るともなく聞くともなく怠惰に眺めていた画面。
そのうち気が付く。
なんかトンデモない名作を見てるんじゃないか!
ついには、映画に引っ張り込まれ「まさしく名作」と一人感動し誰かに伝えたくなる。
そんな経験。
私は、一度だけあります。
アンソニークイン主演の「道」。
この道は、「道路でもあり人生でもあり」の道です。
途中から真剣に見始めた私は、前半部分を注意して見ていなかった自分を責めました。
「なんて馬鹿なんだ。」
声に出ちゃいました。
それぐらい物語に引っ張り込まれました。
見終わって調べると「名作中の名作」だとわかり。
やっぱりね。
と、ため息をついたものでした。
物を知らんやつだ、俺は。
さて、今回の「掃除婦~」についても、そんな感じです。
単行本が出た時に表紙をチラ見しました。
隠れた才能とか、再発見された作家とか。
そんなこと言われても知らないし。
なにしろ単行本は、お高いし。
敬遠させていただきました。
でも、気にはなっていた訳で。
なにしろ題名を覚えていましたから。
読んで見ました。
まるで読後感が違いました。
なにしろ、こちらの経験や想像力を試すような書き方。
「あんたの経験とか想像力はそんなものよ。」
と言われているような。
読んでいて疲れを感じたのは、川端康成の「名人」を読んだ時と同じかな。
しかし、内容は全然違います。
短編の塊。
短いやつは4ページしかない。
そのたった4ページでも疲れる。
その短編の最後の言葉。
「背中は細かく痙攣して光った。すばらしかった。」
どうすればいいのか分からない結句。
どんな想像も追いつけない結句。
リアルだけど物語。
衝撃。
高い丘の上で私達に手を振るルシア。
「ここまでこれる?」
笑い声とタバコの煙を残して丘の向こうへ。
そんな感じ。
誰にも似ていない。
ルシア・ベルリンは一人で立っている。
ゾッとするほど怖くて愉快な人。
いやはや、ありがとうございました。
中毒になるでしょうね私。
「ベアトリーチェ・チェンチの肖像」って知ってます?
何処に飛ぶんだよ・・・
すいません。
ルシアに似た人を考えていたら思いつきました。
此の肖像画。
「さようならの少女」と呼んでいます。
何をやったとしても追いつかない。
ただ見守るだけしかできない。
しかし、目が離せない。
一度見てください。
この肖像画に似た文章を書く人です。
ではまた。
ちょっと休憩になるかな。
ちょっとだけね。