貧困、格差、戦争、食糧難、殺人。

温暖化まで来てしまって、それでも100年生きる時代なんでしょうか?

 

こんにちはBJです。

真淵さんと宣長さん、いよいよ破門騒動です。

後継ぎはこいつだ、と思っている真淵さん。

私、自分の道を行きます、の宣長さん。

歌の添削以外は、うまくやっていたのです。

なのにね。

 

なんで言うかな。

 

てことを言っちゃいます。

早速、書きましょう。

真淵師匠は、万葉集と格闘していました。

まさに30才から71才まで考証に次ぐ考証。

生活なんて投げ捨ててますから。

まさに人生のすべてを懸けた万葉考です。

そして独自の考証から確信に至った事があります。

 

「万葉集」の伝わっている今の各巻より、1,2,11,12,13,14巻の6巻だけが

「上つ代より奈良の宮の始めまでの歌を」

「此のおとど(橘諸兄:たちばなのもろえ)撰みて、のせられし物也」

と信じています。

原万葉集は、この6巻であると。

それで、この6巻だけを急いで訓釈したのです。

40年にわたる「万葉集」格闘の成果。

なのに・・・・

 

前に書きましたが、和歌の添削で師匠を怒らせてばかりいる宣長さん。

新古今風の和歌を送り続けては、師匠の御機嫌を損ねておったわけです。

「是を好み給ふならば、万葉の御問も止給へ。」

とまで言われていたのに「万葉についての質問」を堂々と続けます。

万葉歌集成立の問題について・・・です。

師匠が確信していることなのに。

 

内容は、契沖さんが万葉考で著したもので宣長さんはこれを是とします。

「万葉全20巻を家持(やかもち)私選と主張して、時代や部立や書きざまから見て、撰は前後2回行われたものとし、これにより現行本の巻の次第も改めるべきである、と。」

 

おいおい・・・

おいおいおい!

あんた、どうすんのよ、って書いてる私が言いたい!

何で言うかな!!!!

あんた、師匠の説に真っ向から反対しているけど。

分かっているよね。

ねぇねぇねぇ!

 

もちろん真淵師匠は怒ります。

と言うより

 

大激怒!

 

「是は、甚小子が意に違へり、いはばいまだ万葉其外古書の事は知給はで、異見を立らるるこそ、不審なれ。」

*あんたね、私の説は知ってるよね、これは違うでしょ。だいたい万葉集以外の古書は知らないくせに私の説に異を唱えるなんて何考えてんの。

 

「加様の御志に候はば、向後小子に、御問も無用の事也。」

*こんなこころざしなら、今後私に質問なんてやめなさい。

 

「惣て、信じ給はぬ気、顕はなれば、是までの如く、答はすまじき也。しか御心得候へ。」

*私の説を信じる気が無いのは、よくわかったから、これまでのように答えることはしません。よ~く心得といてね。

 

「若猶、此上に御問あらんには、兄の意を、皆書て、問給へ。」

*もしなお、まだ質問があれば貴方の考えを全部書いてから質問しなさい。

 

「万葉中にても、自己に一向解ことなくて、問はるるをば、答ふまじ也。」

*万葉注釈でも自分で回答を見つけることもなく質問ばかり、もう答えませんから。

 

「此度の御報に、如此御答申も、無益ながら、さすが御約束も有上なればいふ也。」

*今回の手紙に対する返事を書いてもしょうがないけど一応言っておきます。

 

これはもう「破門状」ですね。

流石に「しまった。」と思ったのでしょう宣長さん。

すぐに謝りの手紙を出します。

 

「さきざき万葉集に、いぶかしきくさぐさ、書きつらねて、つぎつぎに、問いあきらめ~」

から始まり

「罪おかし、あやまてらむも、神直日大直日に、見直し、聞直したまへと、かしこみかしこみも申す」

までの、長編謝罪文。

ごらんのとおり古式ゆたかに書いて送りました。

こんな文章がスラスラ書けるのだから「万葉風の和歌」ぐらいは造作もないように思うのですけど。

まぁ、平謝りですね。

真淵師匠、許します。・・・・えらいね。

破門騒ぎは、これにて終了ですけど。

 

「信じ給はぬ気、顕(あら)はなれば」

これって、師匠の疑いの深さを顕わしていますよね。

破門はしないものの、この弟子、師匠に従う気が無い。

自分の考えを貫くつもりだって、真淵さんは分かっていたと思います。

もし、自分が後10年若ければ「破門」でしょう。

でも出来ないのですよ。

 

70才を過ぎて衰えてきている自分を顧みて・・・・

古事記に行けないもどかしさを胸中に秘めています。

そうなんです。

古事記の解釈こそが、最終目的。

古事記を目前に力尽きるであろう自分の後が継げるのは、本居宣長ただ一人。

辛いなぁ・・・真淵さん。

 

この頃、宣長さんはすでに古事記解釈を始めています。

なぜ、古事記解釈が最終目的か?

それは次回。

 

ではまた。

 

「古事記伝」は辛いから、すっとばかそう。

そう決めています。

エピソードの一つも書いて・・・

ってね。