「メタバース」どこまで行くのかな、仮想現実。

創造的で文化的な夢のような生活が待っているらしい

ですよ。

私は、「御免なさい不要です。」けどね。

 

こんにちはBJです。

なんか、間が空いてしまって御免なさい。

 

「ディストピア」と言う言葉に引っかかってしまい、

反語であるらしい「ユートピア」について考えており

ました。

結局、この言葉は妄想言語であると結論付け「解決」

時間を無駄にした次第。

でも、結論付けまで行けたので本人は満足です。

 

さて、お約束通りの源氏物語。

宣長さんの深読み解釈をお楽しみください。

書く方は、大変なんですけど・・・

 

第25帖 「蛍の巻」

玉鬘(たまかずら)は、長雨に降り込められ部屋で

絵物語を読んでおります。

そこにプラッと源氏の君。

 

ここから、絵物語についての話が続きます。

確かに、ここは「式部さん」自身の物語論です。

いや、深読み派が喜びそうな・・・・。

宣長さんは、こう言っております。

 

「此段、表はただ何となく、源氏君と玉鬘の君との

物語なれ共、下の心は、式部が此の源氏物語の大綱

総論也、表は、たはむれにいひなせる所も、下心は

ことごとく意味有て、褒貶(ほうへん:ほめたり

けなしたり)抑揚(よくよう:上げたり下げたり)

して、論定したるもの也、しかも、文章迫切ならず、

ただ何となく、なだらかにかきなし、又一部の始め

にもかかず、終わりにもかかずして、何となき所に

ゆるやかに、大意を知らせ、さかしげに、それとは

いはねど、それと聞せて、書きあらはせる事、和漢

無双の妙手といふべし」

*これは、現代語にしなくても分かると思います。

 

では、その物語論を見てみましょう。

寂聴さん訳でいきますけど、やはり寂聴さんも分かって

書いておられます。

 

源氏:「あぁ、厄介だね。女と言うものは、進んで

わざわざ人に騙されるように、この世に生まれついて

いると見えるね。

沢山のこうした物語の中には本当の話などはいたって

少ないだろうに、一方では、それを分かっていながら、

こんなたわいのない話しに心を奪われて、ていよく

騙されて、暑苦しい五月雨時に、髪の乱れるのも構

わず書き写していらっしゃるとは。」

 

源氏:「何と話のうまい者が世間には、いるものだと

つくづく感心します。こんな話は、嘘をつき馴れた

人の口から出るのだろうと思うけれど、そうばかり

とも限らないのかな。」

 

玉鬘:「おっしゃるように、いつも嘘をつき馴れた

お方は、いろいろとそんなふうに御推量もなさるの

でしょう。わたしなどには、ただもう本当の話としか

思えませんわ。」

 

玉鬘さん、ちょっと御機嫌斜めになってしまいました。

源氏の君は、取り繕います。

 

源氏:「気をそぐようなぶしつけな悪口を言って、

物語をけなしてしまったね。物語と言うものは神代の

昔から、この世に起った出来事を書き残したものだと

言われています。正史といわれる日本紀などは、その

一面しか書いてないのです。こうした物語の中にこそ

細かいことが、くわしく書いてあるのでしょう。」

 

と、冗談を言いつつ笑います。

はい、この源氏の君の言葉は冗談なんですよ。

ちょっと、玉鬘をからかっているのです。

 

日本書記とか古事記とかの正史書ではなく、絵物語の

方が細かいことを詳しく書いてあるのでしょうねっと。

ちゃかして笑っていらっしゃいます。

 

もうこの会話の始めから「式部さん」は、本心を語って

いると宣長さんは思っております。

まず、当時の物語と言うのは女性や子供が読むもので

いわゆる俗文学であるとはっきり認識していると言う

ことです。

当時の知識人たちの常識に少しも逆らっていない。

大上段に物語論を振り回していない、けれど・・・

自信と自負は、上手に隠されてはいるものの、玉鬘さん

の反論。

これは、無邪気な物語に対する信頼でしょ。

 

素直に信じています。

 

と言う読者に支えられる高度な創造の場。

式部さんは、そこに居ることを自覚し、素直に信じら

れる物語を作っていると自負しています。

 

機嫌を損じた玉鬘さんに源氏の君が笑って冗談を言い

ます。

いや、言わせているのですよ式部さんが。

正史より絵物語が上だというような、言い方。

 

式部さんの自信は、秘められています。

 

源氏の君が笑うのも、笑わなければいけないから。

笑わなければ、読者である当時の知識人たちが笑って

しまいますから。

 

宣長さん曰く。

「人のききて、さては、神世よりの事を記して、道

みちしく、くはしく、日本紀にもまされる物のやう

に思ひて、作れるかと、あざけられん事を、くみ

はかりて、その難を、のがれん為に、かくいへる也」

 

さて、深読みは、まだ続きます。

 

ではまた。

 

与謝野晶子様作成の「源氏」も読んでいます。

そちらの方が私は好きです。

簡潔で・・・・

でも、寂聴さんを偲んで寂聴源氏にしました。