昨日、実家の蔵で(妹の嫁入りで持たせる)食器を探していた際にこんな物を見つけた。
コダック社(アメリカ)のブローニーカメラ【ホークアイ】です。
“鷹の目”という物々しい商品名ですが、ぱっと見の外見は手提げ式の懐中電灯や鉛筆削りみたいな形で、おおよそカメラには見えませんが、れっきとした中判カメラで、いわゆる“ボックスカメラ”と呼ばれるカテゴリーになるそうです。
このカメラを見つけた時はすぐにカメラだとは分からず、蓋を開けて初めてボックスカメラだと気付いたくらいの変わり種なカメラです。
このボックスカメラのコトはちょっと気になったのでいろいろ調べてみると、このボックスカメラ、意外にも歴史は古く、紙製フィルム(ロールフィルム)を元に現在の写真用フィルムの先駆けとなったセルロイド製フィルムを発明したアメリカのジョージ・イーストマン(イーストマン・コダックの創業者)が1889年に初めて作ったカメラが箱型の筐体に固定焦点のレンズと単速のシャッターを付けた【コダックNo.1】
がボックスカメラの元祖とされ、同時にこれが現在のフィルムカメラの始祖と言われています。
当然、日本にもこういったボックスカメラは商社を通じて入ってきていますが、どういうワケか日本ではこのカメラはあまり人気がなく、ほとんど流行らなかったコトもあり、日本人にはイマイチ知名度の低い、非常にマイナーなカメラですが、欧米なんかでは割とポピュラーなカメラで、その手軽さから主にドイツやイギリス、フランスなどで盛んに作られていたそうです。
このため、日本製のボックスカメラは自分が知る限り、六楼社(現・コニカミノルタ)が明治41年ごろ(←私のじい様と同い年)に作っていた【チェリー手提げ暗函】とその派生型くらいしかないと思われます。

↑これが日本製ボックスカメラの一例。画像に写っているのがチェリー手提げ暗函(またの名は【さくらボックスカメラ】とも)。
んで、このホークアイについて調べてみると、発売されたのは今から63年前の昭和24年の製品で、この個体はホークアイ発売から1年後に外付けのフラッシュガンを取り付けられるように改良されたモデルらしい。
↑専用フラッシュガン用のシンクロソッケト。
話は前後しますが、何故このカメラが我が家の蔵にあったかというと、どうやらこのカメラはじい様のモノらしく、ハワイに移民した親戚を50年ほど前に訪ねた際に現地のガレージセールか蚤の市か何かで手に入れたらしく、買ったはいいものの、買ったコトも忘れてそのまま蔵の中に50年近く保管(もとい放置プレイ)していたらしい(苦笑)
詳しいスペックは資料がないのでハッキリしませんが、本体はプラスチック製(ベークライト製?)で、正面左側のギザギザの付いた灰色の四角いボタンがシャッターで、ボタンを押せば何度でもシャッターが切れるエバーシャッター(単速)で、シャッタースピードは目測で見る限り大体1/30秒くらい。
そして正面右側にあるもう一方の灰色のボタンらしきモノがバルブへの切り替えレバーで、これを上に引いて立ち上げ、この状態でシャッターを押すとバルブとなり、シャッターが保持されます。
↑読み取り辛いが“LONG(=長時間露光)”と刻印されている。
なお、絞りは固定でおそらくF16くらいです。
このスペックだとASA100のフィルムを日中の晴れに使用した場合、1段か2段くらいオーバー気味になるため、こうなると使い切りカメラと同じく露出はフィルムのラチチュードに頼らざるを得ないでしょう。
多分、このカメラが発売されていた頃はまだASA25~50くらいのフィルムがまだまだ主流で、当時はこの程度のスペックでもあまり問題なかったのかもしれません。
焦点距離に関してもデータがないので分かりませんが、平均的なスプリングカメラや二眼レフと同じくらいの画角であるならおそらく焦点距離は75~80mm前後くらいじゃないかと推測されます。
ちなみにこのカメラは焦点距離の調整機能はない固定焦点式で、何メートルくらいでピントが合うようになっているのか分からないため、ピント合わせは完璧に“運任せ”といった感じです(苦笑)
ビューレンズは二眼レフと同じ上からのぞき込むスタイルで、二眼レフのピントグラスに相当する部分はコンデンサーレンズになっていて非常に明るいですが、歪曲収差があるため、多少周辺部の像が歪んで見える上、真っ直ぐファインダーを見ないと像の端っこが影になったり、ある程度アイリリーフ(接眼部と目の間の距離)を取らないと像がぼやけてしまうなど、お世辞にも見やすいファインダーとは言えず、老眼には非常に辛い仕様です(苦笑)
テイクレンズはレンズ構成や枚数は分かりませんが、バルブ状態でフィルム室から覗く限りおそらく単玉で、よくみるとレンズはシャッターの後ろについていて、正面に付いている透明な板はシャッターを保護(?)するための透明なただのプラスチックという変わった構成となっています。
ちなみにどちらも無銘レンズです。
フィルムカウンターは赤窓式で、赤窓を見ながらノブを回してフィルムの裏紙に書かれたコマ数を合わせるとのはスプリングカメラや二眼レフと同じですが、このホークアイには赤窓は光線漏れ対策の赤窓を覆うシャッターは付いていません。
んで、肝心の状態はといいますと、ハッキリ言ってかなり悪い。
ビューレンズ、テイクレンズ共にカビや埃などのゴミでものスゴく汚いし、本体はキズだらけでシャッターボタンとバルブレバーの表面が朽ちたようにボロボロ、金属部品もまだら模様にサビだらけだったりと、まさにゴミ箱行き寸前といった感じ。
幸い、構造が非常に単純なおかげで破損した箇所は特に見受けられないコト、組み付けは+ネジによるネジ留めであるコトから、手入れさえしてやれば一応写真は撮れるかも知れない。
しかし、ここで問題が一つ。
このカメラは細軸スプールの620フィルムという今は廃れてしまった規格のブローニーフィルムを使うため、現在の120フィルムは使えません。
↑英語は全く読めないが、予備知識があるので何とか書かれている文章の意図は読み取れる。
ただ、フィルムのサイズそのものは120フィルムと同じコトから、120フィルムを620フィルムのスプールに巻き直せば現在でも撮影・現像は可能なようです。
↑620フィルム用(右)と120フィルム用(左)。軸の直径や素材の違い以外にも軸受けの形状や外周の直径も違う(※620フィルム用が120フィルム用より少し小さい)。
もっとも、巻き直しの作業は暗室かダークバックの中でやらないと出来ないだろうし、そういった設備や道具は持っていないので、手間や労力を考えると現時点では部屋のオブジェになりそうな予感(笑)
まぁ、部屋に飾るにしてもさすがにこのままではあまりにも汚いので、軽く掃除して一応は撮影可能な状態には手入れしておこうかなぁと思います…σ(^^;)






