2024年5月28日(火)

 東京の両国国技館で行われていた大相撲5月場所が終わった。

 

 大相撲のテレビ中継やニュースに注目することなど久しくなかったのだが、先日このブログで二子山部屋のYouTube動画を採り上げたことから(★)、今回の5月場所の期間中は日本相撲協会ウェブサイトの取組結果やNHKのテレビ中継を見て、若き力士たちの日々の厳しい稽古が良い結果に結びつくことを願わずにいられなかった。

(★「若き力士たちの姿に元気と食欲をもらう」https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12851162953.html)

 

 しかし結果だけを見るならば、二子山部屋に所属する14人の力士のうち、勝ち越すことが出来たのはわずか5人だけで、関取(前頭十五枚目)の「狼雅(ろうが)」を含む9人は残念ながら負け越しとなってしまった。

 

 

 しかも二子山部屋で最年長の「舞蹴(まいける)」(上の写真)が先場所に続いて2勝5敗と大きく負け越し、2017年9月場所で初土俵を踏んでから約7年で引退することになったという(最年長とは言うものの1998年7月生まれの25歳でしかない。「まいける」という四股名からも推察出来るようにこの人はいわゆるフィリピン人と日本人の「ハーフ」で、二子山部屋には他にも「狼雅」や下記の「生田目」、「桑江」など外国籍やハーフの力士が何人かいる)。

 

 良いニュースとしては、前回の記事で個人的に一番のお気に入りだと書いた「生田目(なばため)」が5勝2敗と4場所連続の勝ち越しを記録して十両昇進がほぼ確定し、晴れて「関取」となることが第一に挙げられる(その後正式に十両昇進が報じられた)。

 

 参考までに、二子山部屋で今場所勝ち越した力士は以下の通り。

 
☆生田目竜也 西幕下二枚目 5勝2敗    ☆若雅 西三段目筆頭 5勝2敗
 
☆出沼 西三段目三枚目 4勝3敗     ☆小滝山健人 西三段目二十五枚目 4勝3敗
 
☆颯雅 東序二段十一枚目 5勝2敗
 

 二子山部屋は別にして5月場所最大の話題は、なんと言っても二所ノ関部屋の小結「大の里(おおのさと)」が、初土俵から7場所目という史上最速で優勝を遂げたことである(下の写真。2000年生まれのわずか23歳)。

 

 

 他のスポーツ競技と同じく、大相撲も弱肉強食の厳しい実力社会だと分かってはいるものの、まだ二十歳そこそこの若者たちが満身創痍になりながら日々の稽古に明け暮れ、その結果まさに天国と地獄と言っていいような明暗両極端の道を歩んでいく姿を目の当たりにすると、学校を出て平々凡々な会社員として(サラリーマンにはサラリーマンなりの苦労や辛さがあるにせよ)安穏たる人生を送って来た身としては、彼らが直面する運命の過酷さをつくづく実感せざるをえない。

 二子山部屋だけを見ても、上記YouTubeチャンネルを見始めてまだ1ヶ月ちょっとにしかならないにもかかわらず、過去の動画に登場している力士の中にも、もはやその姿を目にすることの出来ない人が何人もいて、今場所で引退する上記の「舞蹴」のように夢破れて相撲界を去り、第二の人生に進んだ力士も少なくないのである。まったく無責任な第三者でしかないものの、若き彼らの前途が明るいものであることを心から願わずにはいられない。

 
 さて、当の二子山部屋のYouTube動画だが、なにせ飽きっぽい性格な上、前回もちょっと触れたカメラマンの、人の神経を逆撫でするような不躾な質問や揶揄的な態度に毎回ウンザリさせられていることもあり、今後も見続けるかどうか分からない。

 親方やその夫人にはやたらと低姿勢なのに対し、自分より遙かに年下である若き力士たちに対しては常に上から目線でどこか冷笑しているような不遜な態度を取り続けるこのカメラマンには我慢がならず、せっかく若い力士たちの奮闘ぶりや旺盛な食欲に元気づけられる内容であるのに誠に残念でならない。

 かく言う私も人一倍のひねくれ者であるから偉そうなことは言えないものの、やはり映像だの美術だの(あるいは音楽だの文学だのマスコミなど)といった道に進むような人間には、(人の気持ちなどお構いなしに)他人と違うことを言ったりしたりしなければ駄目だというようなケチな根性が備わっているのかも知れない。

 自戒をこめつつではあるが、少なくとも前途ある若者たちに対しては、もう少しまっとうで素直な気持ちになってみたらどうだと(要らぬお節介だとは自覚しつつも)、件のおっさんカメラマンに一言物申してみたいものである。