2023年7月23日(日)

 前回(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12798340877.html)からすっかり時間が経過してしまったが、今年生誕100周年を迎えた人々について(ただしあくまで私が個人的に興味を抱いていた人たち限定)。

 

 まずは上に写真を掲げた米国の映画監督アーヴィン・カーシュナー(Irvin Kershner、1923年4月29日生まれ。2010年に満87歳で死去)。

 映画「スター・ウォーズ」シリーズ中で私が最高作と考えている「エピソード5/帝国の逆襲」(1980年)を監督して世界的にその名が知られるようになった人で、その後も007シリーズの「ネバーセイ・ネバーアゲイン」(1983年)や「ロボコップ2」(1990年)などのブロックバスターを撮ったものの、やはり「帝国の逆襲」こそがこの人の代表作だろう。

 


 続いて米国の作家ジョゼフ・ヘラー(Joseph Heller、1923年5月1日生まれ。1999年に満76歳で死去。上の写真。以下同)。

 代表作はマイク・ニコルズによって映画化もされた「キャッチ=22」(1961年)。

 一旦戦場に駆り出されてしまったら、どうやっても(戦争が終わるか、負傷/戦死するまでは)兵士が戦場から逃れることが出来ないように巧みに作られた軍規「キャッチ=22」を巡る不条理な物語だが(時系列が意図的に混乱させられており、そのことを説明する記述もないため、読解にはかなりの困難を伴う)、この「キャッチ=22」という言葉はその後英語圏で、矛盾や堂々巡りを示す一般用語としても用いられるようになった。

 


 次は米国の女優アン・バクスター(Anne Baxter、1923年5月7日生まれ。1985年に62歳で死去)。

 代表作にジョセフ・L・マンキーウィッツ監督の「イヴの総て」(1950年)やアルフレッド・ヒッチコック監督の「私は告白する」(1953年)など。1946年公開の「剃刀の刃」でアカデミー助演女優賞やゴールデングローブ賞助演女優賞を受賞。

 他の出演作にはジャン・ルノワール監督の「スワンプ・ウォーター」(1941年)や、オーソン・ウェルズ監督の「偉大なるアンバーソン家の人々」(1942年)、セシル・B・デミル監督の「十戒」(1956年)などがある。その後テレビドラマにも出演するようになり、代表作は「刑事コロンボ」シリーズの「偶像のレクイエム」(Requiem for a Falling Star、1973年)。

 


 脚本家・小説間の池宮彰一郎(1923年5月16日生まれ。2007年に満83歳で死去)。

 本名の池上金男名義で工藤栄一監督の「十三人の刺客」(1963年)や「大殺陣」(1964年)の脚本を担当し、その後も舛田利雄監督の「嵐を呼ぶ男」(1966年)や「紅の流れ星」(1967年)などを手掛けた。後に小説家に転じ、代表作には市川崑監督が映画化した「四十七人の刺客」(1992年)がある。

 


 スペイン出身のピアニストであるアリシア・デ・ラローチャ・デ・ラ・カジェ(Alicia de Larrocha de la Calle、1923年5月23日生まれ。2009年に満86歳で死去)。

 エンリケ・グラナドスやイサーク・アルベニス、マヌエル・デ・ファリャなどスペイン人作曲家によるピアノ曲を広く世に知らしめ、モーツァルトやシューマン、シューベルトやラフマニノフなどのピアノ曲にも優れた演奏を残した。
 


 映画監督・俳優の鈴木清順(1923年5月24日生まれ。2017年に満93歳で死去)。

 どこまで真面目なのか分からないような奇抜な演出に加え、原色を活かした鮮烈な色彩感覚によって海外にも未だに熱狂的なファンがいる(そのため特に下記の「東京流れ者」(英題:Tokyo Drifter)や「殺しの烙印」(同:Branded to Kill)などはインターネットにもしょっちゅうアップされていて簡単に見ることが出来る)。

 (あくまで個人的な考えでの)代表作は「ツィゴイネルワイゼン」(1980年)や「陽炎座」(1981年)で、他の作品に「関東無宿」(1963年)、「肉体の門」(1964年)、「刺青一代」(1965年)、「河内カルメン」(1966年)、「東京流れ者」(1966年)、「けんかえれじい」(1966年)、「殺しの烙印」(1967年)などがある。1985年にはアニメ映画「ルパン三世 バビロンの黄金伝説」も監督している。

 その独特な風貌や雰囲気から、俳優としても少なからぬ映画やテレビドラマに出演している。

 


 日本舞踊家・女優の藤間紫(1923年5月24日生まれ。2009年に満85歳で死去)。

 本業である日本舞踊家としての活動を始め、テレビドラマや映画にも数多く出演した。正直私はそれほどよく知っているとは言えない人だが、映画作品では成瀬巳喜男監督の「秋立ちぬ」(1960年)や木下惠介監督の「惜春鳥」(1959年)などが代表作か。


 

 ドイツ出身の米国政治家・政治学者のヘンリー・キッシンジャー(Henry Kissinger、1923年5月27日生まれ。満100歳の現在も精力的に活動中)。

 ニクソン政権下で国家安全保障問題担当大統領補佐官に就き、続くフォード政権下でも国務長官を兼任した。米国交渉団代表としてベトナム戦争の和平交渉に当たり、1973年の「パリ協定」の締結により終戦への道筋をもたらした功績により、ベトナムのレ・ドゥク・ト(黎徳寿)と共にノーベル平和賞を受賞した。

 1980年には「キッシンジャー秘録」(White House Years)により、1980年度の全米図書賞(National Book Awards、歴史部門)も受賞している。

 


 ハンガリー系オーストリア人の作曲家リゲティ・ジェルジュ・シャーンドル(Ligeti György Sándor、1923年5月28日生まれ。2006年に満83歳で死去)。

 母国ハンガリーで音楽を学んだリゲティは、1956年の「ハンガリー動乱」がソ連軍による鎮圧で終結した後オーストリアに亡命し、「西側」の現代音楽家たちからの影響を受けながら実験的な現代音楽作品を作曲した。

 その作品がスタンリー・キューブリック監督の「2001年宇宙の旅」(1968年)や「シャイニング」(1980年)、「アイズ・ワイド・シャット」(1999年)などに用いられたことで、その名は広く一般にも知られるようになった。

 以下はこれらの映画で用いられた作品の一部である。

 Atmospheres

 https://www.youtube.com/watch?v=fXh07JJeA28

 Requiem

 https://www.youtube.com/watch?v=sJBZ7jeU2YI

 Lux Aeterna

 https://www.youtube.com/watch?v=vcx-4olgf10

 Lontano

 https://www.youtube.com/watch?v=HEuYnI4-cyU

 Musica Ricercata

 https://www.youtube.com/watch?v=NkKV0Ze1Z6M

 


 映画監督の井上梅次(いのうえ・うめつぐ、1923年5月31日生まれ。2010年に満86歳で死去)。

 夫人は女優の月丘夢路。

 (この人についても余り詳しくないのだが・・・・・・)監督作には「火の鳥」(1956年)、「鷲と鷹(1957年)、「嵐を呼ぶ男」(1957年)、「黒蜥蜴」(1962年)、「閉店時間」(1962年)などがある。

 むしろ一般的には、テレビドラマの「江戸川乱歩の美女」シリーズ(天知茂主演)や「必殺」シリーズの演出で知られているに違いない。

 


 「極真カラテ」で知られる空手家の大山倍達(おおやま・ますたつ。1923年6月4日生まれ。1994年に満71歳で死去)。

 韓国生まれ(本名は崔倍達/최배달=チェ・ベダル)。梶原一騎原作、つのだじろう/影丸譲也作画による漫画「空手バカ一代」でその半生が採り上げられたことで広く一般にも知られるようになった。

 


 俳優の木村功(1923年6月22日生まれ。1981年に満58歳で死去)。

 数多くの映画やテレビドラマに出演したが、中でも「七人の侍」(1954年)を始めとする黒澤明監督作品で知られる(「野良犬」(1949年)、「生きる」(1952年)、「蜘蛛巣城」(1957年)、「天国と地獄」(1963年))。

 他にも山本薩夫監督の「真空地帯」(1952年)、市川崑監督の「プーサン」(1953年)、家城巳代治監督の「雲ながるる果てに」(1953年)、今井正監督の「米」(1957年)や「あれが港の灯だ」(1961年)、成瀬巳喜男監督の「杏っ子」(1958年)や「鰯雲」(1958年)、内田吐夢監督の「宮本武蔵」5部作(本位田又八役)、増村保造監督の「雁の寺」(1962年)、大庭秀雄監督の「雪国」(1965年)、吉田喜重監督の「情炎」(1967年)、「樹氷のよろめき」(1968年)、「告白的女優論」(1971年)、寺山修司監督の「田園に死す」(1974年)などの出演作がある。深作欣二監督の「黒蜥蜴」(1968年)では探偵・明智小五郎を演じている。
 


 フランスの小説家・映画監督のジョゼ・ジョヴァンニ(José Giovanni、1923年6月22日生まれ。2004年に満80歳で死去)。

 小説家としての作品には、ジャック・ベッケル監督が1960年に映画化した「穴」(1957年)、「墓場なき野郎ども」(1958年、Classe tous Risques)、「生き残った者の掟」(1960年、Les Aventuriers。1967年公開の映画「冒険者たち」と「生き残った者の掟」両作の原作)、「オー!」(1964年。1968年に映画化)、「ル・ジタン」(Histoire de fou、1959年。1975年に作者自ら映画化)、「父よ」(1995年、Il avait dans le cœur des jardins introuvables。2001年に「Mon père, il m'a sauvé la vie」のタイトルで作者自ら映画化)などがある。

 映画監督としては「ラ・スクムーン」(1972年)や「暗黒街のふたり」(1973年、Deux hommes dans la ville)、「ブーメランのように」(1976年)、「掘った奪った逃げた」(1979年、Les Egouts du paradis)などがある。
 


 フランスの詩人・批評家であるイヴ・ボヌフォワ(Yves Bonnefoy、1923年6月24日生まれ。2016年に満93歳で死去)。

 現代フランスを代表する詩人の一人で、ストルガ詩の夕べ「金冠賞」やフランツ・カフカ賞などを受賞し、一時はノーベル文学賞の最有力候補とも目されていた(結局受賞しないまま死去)。日本語には複数の詩集と共に、アルチュール・ランボーやステファヌ・マラルメなどの詩人に関する評論集も翻訳されている。

 

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 ついでに今年歿後100年を迎えた人々について。

 


 小説家の有島武郎(1878年生まれ。1923年6月9日に満45歳で死去)。

 近代日本文学の代表作のひとつ「或る女」を始め、小説「カインの末裔」や「生れ出づる悩み」、童話「一房の葡萄」、随筆「小さき者へ」や「惜しみなく愛は奪ふ」などで知られる。

 雑誌記者で人妻の波多野秋子と軽井沢の別荘で心中。実弟に画家の有島生馬や作家の里見弴がおり、長男は俳優の森雅之。

 

 

 フランスの作家ピエール・ロティ(Pierre Loti。1850年1月14日生まれで、1923年6月10日に満73歳で死去)。

 代表作にブルターニュ地方の漁師を題材とした小説「氷島の漁夫」(Pêcheur d'Islande)があり、海軍士官として滞在したことのある日本を舞台にした小説「お菊さん」(Madame Chrysanthème)や見聞録「秋の日本」などにより、かつては日本でもその名がよく知られ、芥川龍之介や三島由紀夫はロティの作品に示唆されて小説や戯曲をものしている。