2023年6月21日(水)

 先月、「井之頭五郎の中味は実は(腹黒い)スギちゃん? さらば、『孤独のグルメ』」という記事を書いた後(https://ameblo.jp/behaveyourself/entry-12805116351.html)、そう言えばドラマ版「孤独のグルメ」初の海外編は韓国ではなく台湾が舞台だったことを思い出した。

 

 そこで、もう見ないことにしたはずの「孤独のグルメ」の動画をハードディスクから探し出して来て2話連続の台湾編を改めて見直し、前回採り上げた韓国編で「輸入雑貨商」とはとても思えないようなコテコテの日本人中年オヤジぶりを晒していた井之頭五郎が、台湾では一体どんな言動をしていたかチェックしてみることにした(どうでも良いが、自分の暇さ加減には我ながら改めて呆れざるをえなかった)。

 

 まずはSeason5 第4話の「台湾宜蘭県 羅東の三星葱の肉炒めと豚肉の紅麹揚げ」から。

 

 

 台湾に出張することを聞き付けた取引先から、台湾に住む孫娘に渡して欲しいと頼まれた品物を携えて羅東という田舎町にたどり着いた井之頭五郎は、その孫娘が働いているらしい「青葱文化館」という建物に入っていくと、いきなり大きな声で以下のような質問をする(ちなみに以下の台詞をはじめ、五郎の台詞は個別に言及しない限り基本的にすべて日本語である)。

 

 「日本語のお分かりになる方はいらっしゃいますか?」

 

 これはあくまで私個人のポリシーなのだが、学生時代に初の海外旅行先として韓国に行った時以来、かつて日本の統治下にあった国々では原則日本語を使わず、英語で押し通すことにして来た(韓国初渡航前にはハングル文字を習って基本的な文法や挨拶なども覚えて行き、その後仕事で台湾や香港に出張した際も日本語は一切使わず英語だけを用いた)。

 そうした自分だけのポリシーを他人にまで求めるつもりは微塵もないものの、端から日本語しか使おうとしない井之頭五郎のこうした態度は、たとえ単なるドラマだとしても、私をひどく苛立たせるのも確かである。

 

 

 すると少しだけ日本語が話せるという職員があらわれて件の孫娘は外出していると言うと、五郎は前回の韓国編同様、今回も同じ言葉を何度も繰り返し、お決まりの「こんにちは」と「ありがとう」だけの現地語を口にするのだった。

 

 「待てます、待てます。謝謝(シェーシェー)」(参考:謝謝の発音例→https://ja.forvo.com/word/%E8%AC%9D%E8%AC%9D/#zh)

 

 その後、無事に取引先の孫娘に品物を渡し終えた五郎は、台北市内に戻って海産物を得意とする食堂に入って空腹を満たそうとする。

 ここでの最初の台詞は、超ドメスティックな中年オヤジの五郎にしては珍しく、英語(らしきもの)である。

 

 

 すなわち、

 「メニュー、プリーズ」

 (あんたは英語覚えたての小学生か?←ドラマを見てひっきりなしにツッコミを入れる私の心の声。以下同様)

 

 

 しかし相手に英語が通じないと分かった途端、デフォルトの日本語に切り替える。

 

 「あん(あの)、メニュー、ありますか?」

 

 

 お店のおばさんは日本語を解さないもののそれとなく意図を察し、入店前に五郎も眺めていた店の前の看板へと導いて行き、これがメニューだと説明する。

 そこで五郎もようやく、

 「あ、なるほど。これがメニューだったんだ」

 と(当然ながら日本語で)うそぶくのだが、そんなことは最初に見た時に分かったはずだろう、これがメニューでなくて一体何だと思ったんだ? と思わずツッコミたくなる愚鈍さ加減である(あんたの目は節穴か?)。

 

 

 そしてここから五郎は完全に日本語モードに切り替える。

 「えーっと、これと、これを」

 


 次いで下の写真のように何かを炒めるジェスチャーをしながら、

 「あの、チャーハン、チャーハン、チャーハン」と相変わらず何度も同じ言葉を繰り返す五郎。

 するとおばさんは「チャーハン」という日本語から、中国語の「炒飯」(発音例→ https://ja.forvo.com/word/%E7%82%92%E9%A3%AF/#zh)を連想したらしく、「ああ、炒飯ね」と頷いて厨房に注文を告げに行く。

 五郎はそのおばさんに向かって、通ずるはずのない日本語で「チャーハン、お願いしまーす」と意味もなく声をかける。
 


 

 ところでこの店では、以下の案内書きにあるように、飲み物(やお椀、箸なども)はセルフサービスで勝手に自分で持って来るシステムになっているらしい。

 

 

 そこで五郎は冷蔵庫からお茶を取り出し、奥の厨房に向かってやはり通ずるはずのない日本語で、

 「飲みまーす」とのたまう。

 (だから日本語で言っても通じやしないよ)。

 

 

 海鮮料理のお店なのに肉料理(三星葱臘肉)やチャーハンしか頼んでいないことにふと気づいた五郎は、再び表に出てメニューの書かれた看板の前に立つ(ちょうど別の女性客がお店のおばさんに注文中である)。

 

 

 そしてふたりの会話に勝手に割り込み、メニューに書かれた料理を適当に指差しながら、(当然日本語で)こうのたまう。

 「あとー、あの、これも、ください」

 

 

 さらに別の品名も指差しながら、

 「あとー、あれも食べたいです」

 (だからいくら日本語で言っても通じないって)

 

 隣の女性客はいきなり割り込まれたことも全く気にする風がなく、純粋な親切心から中国語で「それはおすすめよ」と言うのだが、それに対して五郎は再び(珍しく)英語らしいもので、

 

 

 「パードン(Pardon)?」と訊き返す。

 

 

 それからあれこれ三者間でやり取りが交わされるものの、結局互いの言葉は全く通じず、最終的には「おいしい」(好吃=ハオツー/ハオチュー。発音例→https://ja.forvo.com/word/%E5%A5%BD%E5%90%83/#zh)という魔法の言葉で誰もがなんとなく納得するに至る。

 

 

 その後、よせば良いのに五郎はメニューに書かれた肉料理を指差しながら、(当然ここも日本語と英語らしいもので)このふたりに質問をする。

 「これは何の肉ですか? えー、ビーフ? チキン?」

 (輸入雑貨商のくせに、あんたは英単語を羅列することしか出来ないのか?)

 対する女性客の答えは「ラーロウ」(臘肉/腊肉=中華風干し肉。発音例→https://ja.forvo.com/word/%E8%85%8A%E8%82%89/#zh) というものだが、当然五郎にはその意味が分からない。

 (最初から質問しても無駄だってことがどうして分からないのか。◯◯なのか?)

 

 

 そしてお得意の年寄り臭いギャグなのか何なのか分からない日本語をひとり口ずさむ五郎。

 「チンプンカンプン」

 

 ここも最終的には「おいしい」(好吃=ハオツー)という言葉でそれとなく両者が納得して会話が終わる。


 

 席に戻った五郎は台湾の観光ガイドを取り出して、

 「あ、やっぱり、そっか。ハオツーって、おいしいって意味なんだ」とひとり納得する。

 (あんたはただの一観光客か?)

 

 

 

 

 いざ料理が出て来ると、相変わらず汚らしい音を立てながら蛤(ハマグリ)のスープを啜る五郎(下の写真)。

 (もうちょっと静かに食べられないのかね)

 


 

 

 

 すっかり食事を堪能した五郎は会計を済まして店を出ながら、
 「良い店だった。中国語、勉強しようかなー」とうそぶく。

 ・・・・・・のだが、勉強するつもりなど全くないことは見え見えである(実際、その後のエピソードで中国語がうまくなっているような気配は微塵も見られない)。

 

 

 もっとも基本的な英語すらろくに使いこなせない五郎に、第二外国語の学習などを求めるのは酷過ぎるだけだろうが・・・・・・。

 

※後日追記

 その後思い出したのだが、Season4の第4話「東京都八王子市小宮町のヒレカルビとロースすき焼き風」に、イタリア料理屋を開店予定だという顧客の名刺に記されている店名「Inizio」(イニッツィオ)に井之頭五郎がすかさず反応する場面があった(発音例→https://ja.forvo.com/word/inizio/#it)。

 「始まり、開始」などを意味するこのイタリア語を五郎は知っているらしく、顧客がその店名に込めた思いを想像して相手に話すのだが、井之頭五郎は英仏語のみならずイタリア語にまで精通しているのだろうか?(とてもそうは思えないのだが・・・・・・)

 ところがこのすぐ後でこの顧客の夫人が妊娠中だと知ると、五郎は得意げに「おめでとうございます」を意味するらしい「コングラッツィオーニ」という言葉を口にするのだが、顧客夫婦はどういう訳か当惑したような顔つきを浮かべて押し黙っているだけである。

 当初私は、単に五郎が思いがけずイタリア語を口にしたので夫婦が驚き当惑したのかと思って見ていたのだが、その後イタリア語で「おめでとうございます」を意味する表現を調べてみたところ、カタカナでは「コングラトゥラ(ッ)ツィオーニ」となるだろう「Congratulazioni」(発音例→https://ja.forvo.com/word/congratulazioni/#it)という言い方があることが分かった。

 もっとも私はイタリア語を全く解さないので、あるいはこの言葉を短縮して「コングラッツィオーニ」(Congrazioni?)と言うことがあるのかも知れないのだが、もし五郎が単によく知りもしないイタリア語らしきものを知ったかぶりで適当に口にしていたのだとしたら(そして夫婦がそのデタラメなイタリア語にただ唖然としていたのだとしたら)、やはり井之頭五郎の語学力なるものは相当怪しいものだと言うしかなさそうである。

 

 

 続いてSeason5 第5話の「台湾台北市永楽市場の鶏肉飯と乾麺」。

 

 

 台湾初日は日本の取引先から頼まれた用件(孫へのお土産渡し)と食事の後、宿泊先の温泉でのんびり過ごしただけの五郎は、2日目に入ってようやく仕事に取り掛かる(上の写真は仕事前に呑気に背伸びをしている五郎)。

 

 まるで伝統工芸品のアミューズメントパークとでも言うような「國立傳統藝術中心」(国立伝統芸術センター)という場所にタクシーで降り立った五郎は、アジア物産イベントを企画しているというフランスのアラン(Alain)からの依頼で、台湾工芸品のリサーチをするべくこのセンターで展示・実演されている伝統工芸品に目を向ける。

 

 

 やがてセンター内にある台湾茶器のお店に立ち寄って商品を眺めている五郎に、店員が近づいて来て「何かお探しですか?」と中国語で声をかけて来る。

 輸入雑貨商を生業(なりわい)とする五郎としては、ここで店員から様々な情報を仕入れて商売に結びつけるという流れになるかと思いきや、なんと店員から話しかけられたことに当惑して、「あー、だいじょぶです」と(当然日本語で)店員とのやり取りを自ら拒否しようとするのである。

 (おいおい、お前は一体何をしに台湾くんだりまでやって来たんだ?)

 

 奥の方でこちらをじっと伺っているのが、下で登場する若い男性である

 

 そんなことではひるまない店員は、五郎が商売上の関係者だとすかさず見て取ってか、お店のカタログを取り出して五郎に渡す。

 (むしろあんたの方からカタログなどを貰うべきところだろう。ズブの素人か?)

 そしてここで五郎は、「こんにちは」や習いたての「おいしい」(好吃=ハオチュー/ハオツー)と共に、自分の知っている数少ない中国語で、「おー、謝謝(シェーシェー)」と答えるのである。

 

 

 カタログを手に入れた五郎はすっかり上機嫌になり、「ここに来て、大正解だった」といつもながらの自画自賛に耽るのだが、自ら進んで伝統工芸品の業者や店舗と交渉することもなく、ただ物見遊山のように見物しているだけの五郎に本当に具体的な収穫があったのかどうかは極めて疑問である。

 

 

 そしてこれまたいつもながら五郎の最大関心事は食べ物で(そういう番組なのだから、これはまあ仕方ないことだが)、自画自賛の後はすぐ隣にある屋台の食べ物(リンゴ飴ならぬトマト飴)へと興味を移していくのである。

 トマト飴を頬張りながら「のど渇いたなあ」とつぶやいた五郎は、次の場面ではいきなりお茶屋に腰掛けてお茶を飲んでいる(下の写真)。

 

 

 しかもどういう訳か五郎はここで突然「良い香りですね(ハオシャン)」(おそらく「很香」。発音例→https://ja.forvo.com/word/%E5%BE%88%E9%A6%99/#zh)という中国語を口にするのだが、「おいしい」という言葉すら知らなかった五郎が、どうしてこんな表現を知っているのかという説明は一切なく、不自然極まりない。

 

 

 すると五郎の如何にも日本人サラリーマン然とした格好を見て取ってか、ひとりの若い男性が近寄って来て五郎に話しかける(当然ながらすべて日本語である)。←後で気づいたのだが、この若い男性、既に最初の台湾茶器のお店で五郎の姿をたまたま目にしており、その時から気になっていたらしい。

 

 若者「あ、すみません」

 五郎「ああ、いええ・・・・・・。えっ?」

 若者「日本の方ですよね」

 五郎「えええ・・・・・・」

 若者「僕も母が日本人でして・・・・・・」

 五郎「あ、そうなんですか」

 

 いきなり日本語で見知らぬ人間から話しかけられたことに警戒しているのか、ここのやり取りでの五郎の態度はやたらと素っ気なく、物言いひとつとっても冷淡にすら感じられる程である。

 

 

 五郎の素っ気ない態度にも臆することなく、男性は積極的に五郎に話しかけ続ける。

 若者「日本で輸入雑貨を扱ってらっしゃるんですか」

 五郎「えええ・・・・・・」(依然、当惑気味である)

 若者「ここ、観光地として結構有名ですけど、貿易関係の方も結構仕事で来たりもするんですよ」

 五郎「ああ、そうなんですか」(やはりかなり素っ気ない)

 若者「僕も台湾雑貨を、扱ってるもので、しょっちゅう来るんです」

 五郎「ほえええ」(全く興味なさそうである)

 若者「このあと台中や台南の方も回られるんですか」

 五郎「いや、今回は台北の方だけです」(会話を打ち切りたがっているようにも見える)

 若者「でしたら、テキカガイ(迪化街)へ行ってみると良いかも知れませんよ」

 五郎「テキカガイ?」(五郎お得意のオウム返し)

 若者「台北で一番古い問屋街なんですけどね」

 五郎「問屋街?」(これまたオウム返し)

 若者「骨董家具を扱うお店もありますし、民芸雑貨なども結構あるんですよ」

 五郎「へええ」(ようやく興味を覚え始めたようである)

 若者「それで(迪化街と書いて)テキカガイ、ディーホアジエです。もしお時間があれば」

 五郎「ありがとうございます。行ってみます」

 若者「じゃあ、僕はこれで。良いご旅行を」

 五郎「どうも失礼します」

 

 

 若者が行ってしまうと、五郎は「ディーホアジエ。良い情報を得たぞ」と、それまでの冷たく素っ気ない自分の態度などすっかり忘れてしまったかのように得意顔を浮かべると(実に現金なものである)、お茶屋の店員に「おかわりください」とお茶を頼む。

 (結局あんたは飲み食いにしか興味がないのか?)

 

 そもそも台湾工芸品のリサーチをしに出張に来たのだから、件の問屋街などにしても事前に自分で調べて出張先に含めておくべきだったのではないかと私などは思ってしまうのだが、このドラマで描かれている井之頭五郎という人物は、一応「輸入雑貨商」と称してはいても、実際には物見遊山の観光客と何ら変わりがなく、出張前に自分で何かを調べているなどとはとても思えないのである。

 

 

 若者から紹介された「迪化街」を(一応)訪れた五郎は、いつもながらすぐに空腹を覚え、近くにある永楽市場という市場で食事していくことにする。

 

 そして下の食堂を見つけた五郎は、当然ここでも日本語デフォルトでメニューを指差しながら注文をする(上の写真)。

 「えっと、この、雞肉飯をください」

 

 

 そして隣の客が食べているものを指差しながら、

 「ああ、それと、あれ」

 

 

 

 無事に上の2品を食べ終えて会計を済ませた五郎は、習いたての「おいしい」という中国語を駆使(?)して店員に礼を述べる。

 

 

 「ああ、おいしかったです。ハオツー(好吃)」

 

 

 さらに飲食店をハシゴするべく次の食堂(上の写真)に入った五郎は、ここでもやはり日本語デフォルトで押し通す。

 

 

 「すみません」

 

 

 メニューを指差して「乾麺」と「下水湯」を注文。

 

 

 下が乾麺(汁なし麺)。

 

 

 下の写真が(日本語的感覚からすると)一風変わった名前の「下水湯」。砂肝を用いたスープらしい。

 

 

 乾麺と下水湯を食べ終えた五郎のところに、お店のおばさんが(ひらがなだけで書かれたちょっと怪しい)日本語の説明がついたメニューを持ってきて、中国語で「他にも色々あるわよ」と追加注文を勧めてくる。

 

 

 

 五郎は日本語で「先に出してくださいよ!」とツッコむのだが、日本語の分からないおばさんにはおそらく意味が全く通じていない(のに、何故かニヤニヤ笑っている)。
 


 そして最後に五郎は食後の甘味を求めて、すぐ近くにある豆腐を用いたデザート店へと吸い込まれていく。

 当然ここでも五郎は日本語しか使わない(使えない?)。

 

 

 「これ」

 

 

 「これと、これ」

 

 

 「ここはいっぱいなので隣へどうぞ」と言う店員の言葉が理解できない五郎は、もはや日本語を話すことすら放棄し、ジェスチャーだけで意思疎通を図ろうとする(のだが、果たして正しいコミュニケーションが成り立っているのか疑問でしかない)。

 

 

 

 そしてここでもやはり自分の知る数少ない中国語「シェーシェー(謝謝)」を口にすると、店員は反対に日本語で「ありがとうございます」と返してくれる。

 最後に(五郎が知っている)もうひとつの言葉「再見(ツァイチェン)」(発音例→https://ja.forvo.com/word/%E5%86%8D%E8%A6%8B/#zh)を用いて、隣にある喫茶室(食事室?)へ。

 

 

 喫茶室の奥には、台湾版のドラマ「孤独のグルメ」で主役の「伍郎」を演じているウィンストン・チャオ(趙文瑄。下の写真左)が腰掛けていて、ひとりでデザートを食べている。ふたりは無言のまま挨拶を交わすが、ウィンストン・チャオは去り際に中国語で五郎に一方的に語りかける(五郎はその意味を当然理解できない)。

 

 

 というのが、ドラマ版初の海外出張編である台湾編における井之頭五郎のなんとも情けない行状である。

 

 前回の記事で私は、井之頭五郎の中身は実は(「迷宮グルメ異郷の駅前食堂」の)「スギちゃん」なのではないかと書いたのだが、台湾および韓国における五郎の言動を見ていると、そんなことを言うのはむしろスギちゃんに対して失礼なのではないかと思える程、五郎のコミュニケーション能力(そして語学力)は極めて低いと言わざるをえないことが分かる。

 

 

 基本的に日本語デフォルトで、たまに英語を使う場合も基本的な単語を羅列することしか出来ない五郎に対し、文法など知ったこっちゃないと言って良いようなブロークンな英語ではあるものの、スギちゃんは一応文章らしきものを口にするし、積極的に相手とコミュニケーションを取ろうという努力を欠かすことがない。

 対する五郎は(何を根拠としているか分からない)プライドが邪魔しているのか、あるいは根っからの人間嫌いなのか(私も人間嫌いなので、よく分かると言えば言えるのだが)、他者と自分との間に明確な境界線を引き、周囲の世界や人間を斜(はす)に眺めては、ひとり自己の内面世界でのみ自足しているように思えてならない。要は前回の記事でも書いたように、未だ精神的に全く成熟しえていない「中二病」そのものなのである。

 

 

 果たしてそれがドラマ製作にあたってあらかじめ設定された五郎のオタク的人物造型なのか、あるいは(これまた前回記したように)原作者である久住昌之という人の「人となり」を反映した結果なのかは分からないものの、こんなツッコミ記事を書いていることからも分かるように彼らに劣らない「中二病」であることに加え、世の中を斜に眺めているという点においても決して人後に落ちない私という中年オヤジの目から見ても(さらにハゲオヤジ同士の近親憎悪も手伝って?)、ツッコミどころに事欠かない人物であることは間違いない。

 

 しかし前回も書いたように、こんなくだらないことに人生の貴重な時間を浪費していては勿体ない&情けないことこの上ないので、金輪際このドラマは見ないことにして、もう少しマシなことに時間を費やしたいと思っている。いやはや。