運転手という仕事は、運転手だけでなく乗客や周囲の交通の安全を確保して業務にあたる必要があります。


そのため、自己管理だけでなく資格者が毎日「点呼」を行うことで運行の安全を確保します。



と、難しそうに書きましたが、つまり「安全に運行するために毎日点呼するぞ」ってことです。



これは法令に定められていて、郵便局の配達運転手に対する点呼が正しく行われていなかったことがニュースになりました。

郵便局配達員への不適切点呼 調査の7割で確認 国交省が監査へ(NHKニュース:2025年4月23日 20時20分)


じゃあ点呼で実際に何してるの?という話になります。


なので点呼について、うちのバス会社ではこんなことしてるよってのを紹介しますね。



点呼の目的ですが、

1,健康に起因する事故の防止

2,飲酒運転の防止

3,同様の事故の防止

4,運転手との日々のコミュニケーションの確保

5,運行情報の共有

などです。


そして、この点呼を出庫前(営業所から出発する直前)と入庫後(営業所に帰ってきた直後)に実施します。


ということで、一つずつ具体的に何をしているか見ていきましょう。




1,健康に起因する事故の防止

自分の顔色は自分では分からないものです。

第三者である点呼実施者から、運転手の身体的異常を早期に見つけることで事故の防止に努めます。

要するに

「お前、クマ出来てるぞ?ちゃんと寝れてないのか?」

「実は深夜に熱が出てそれで寝れてなくて、今はだいぶ下がったんですけど…」

「今日は余裕があるから帰って休みなさい」

てなことで、眠気や発熱のせいで運転に集中できないという事故の原因を取り除くことができるんです。



2,飲酒運転の防止

アルコールチェッカーを用いて、呼気のアルコール濃度をチェックします。

飲酒運転の検挙基準は0.15mg/Lですが、うちの会社では0.01mg/Lでも残っていた場合は就業出来ないどころか懲戒処分です。

なので簡易チェッカーを買って、自宅出発前に必ず確認しています。 

 そこまで高価なものですので皆さまも飲酒運転をしないためにぜひ使ってみては…?

(次の日の朝にお酒が残っていてもアウトですよ!)




3,同様の事故の防止

うちの会社だけでなく、他社の事故情報なども共有し、この場面でこういうことから事故が起こった。

こういうヒヤリハットがあった。

ということを共有し意識付けることで、同様の事故を防止します。



4,運転手とのコミュニケーションの確保

バスの運転は一人で行っていますが、様々な人の協力があって安全に運行をしています。

協力にはコミュニケーションが不可欠。

点呼のときに「笑顔笑顔!」というような声がかかることもありますので、そのときはニコーーーッっとして点呼を受けます。



5,運行情報の共有

入庫したときは、どこで工事をしていて渋滞してる〜とか、車イスのお客様がどこからどこまで乗った〜とかの共有をします。

逆に出庫するときは、その情報を聞いて予め準備をします。

渋滞情報なんかは事前にわかっていればアナウンスをしてお客様に知らせられますのでクレームに繋がりにくいですし、車イスのお客様の共有なんかはバス停への停め方に関わってきますので、意外と大事なんです!

車イスのお客様がいる

スロープが必要

歩道とバスの距離や角度を、スロープが使えるように合わせる必要がある

ってことを事前にわかっていれば、すごく停めやすいんですよ!



ということで、点呼のお話でした。



点呼は最低でも一人あたり毎日4回(出勤時、昼休憩入庫、昼休憩出庫、退勤時)実施します。


郵便局の件で少し話題になった点呼について、こんなことやってるんだ〜と興味を持ってもらえると幸いです。


では、また。