調べれば調べるほど、わからない。
温度も時間も、みんな言ってることが全然違うのだ。
そんな中でも低温発酵というやり方を発見したので、やってみる。
種おこしにやるべきか、それとも一次発酵でその方法をやるのか、それもよくわからないから、とりあえずカイロアルミバックに四時間入れて、あとは寒い玄関に半日置いた。
夏の果物は、夏の気温で、冬の果物は冬の気温が良いんじゃないか、という人がいて、確かにそれはそうかもしれない、と思う。
じゃあ柿は?
秋だから、どっちかというと寒いところでゆっくり発酵させた方がいいかもしれない。
自家製酵母は、ドライイーストよりも酵母の数がめちゃくちゃ少ないらしい。
だからそもそも、発酵するのに時間がかかる。
せっかちで飽き性の私が、ただただ見守るという作業はなかなかに辛い。
昨日の夕方に一日目の種おこしをして、朝になってみたら、全然泡も立ってないし、膨らんでもいないから、がっかりした。
だけど、なんとなく、まだ死んでない。
夜だからちょっと寒過ぎただけだ、と思い直し、昼はスプーンでグルグルと掻き混ぜてみた。
死んでいるならドロドロとしているはずだ(知らんけど)。
でも、混ぜているスプーンには抵抗力があって、グイグイと引っ張られる感じがする。
生きてる!
きっとまだ、生きてる!
空気中に漂い、我こそは!とこの中に侵入しようとする雑菌を押しのけて、柿酵母は、ここが俺たちの増殖する場所だぞ!と必死に頑張っているに違いない。
しばらくするとどうでしょう!
生地の中から、ブクブクと生地を押し上げるような泡が湧き出しているではありませんか!
低温発酵では、場合によっては二倍になるまでに24時間以上かかることもあるという。
そしてゆっくり時間をかけるほど、風味の良い種になるらしいが、その間に雑菌が優勢になると腐敗する場合もあるらしい。
あまり温度をコロコロ変えると、違う菌が優勢になることもあるというし、もうこれは、他人のレシピよりも、自分の勘を頼るしかない。
あまり膨らまなければ、ピザ生地やナンとかにすればいいのだし。
頑張って!
声に出さずとも、おのずとその言葉は心に出る。
映画"あん"を見て、単純は私はそうだ、そうだ。と納得する。
ハンセン病患者のため、一生を療養所で過ごすしかなかった徳江さん(樹木希林)は、50年間あんを作り続けてきた。
小豆がどこからやってきたのか、どんな風に吹かれたのか、そういうことに思いを馳せながら、まるで自身が許されなかった子育てを"あん"に向けるように愛情を持って作り続ける。
愛は、待つこと、押し付けないこと。
言葉にならないその声に耳を傾け、見守ること。
そして、信じること。




