すぐ近くにいるくせに、たまあ、にしか実家に寄らない。
実家にはオカン(と、弟←仲悪い訳では無いが、ほぼ交流なし)がいる。
互いに元気でいればそれでいいから、頻繁に行き来しなくとも私が平気なように育ててくれたのは、オカンの(放任の)力かもしれない。
うちのオカンは、なかなかの天然キャラで、思ったことをストレートに口にするから、たまに一緒に出かけると、小心者の私はヒヤヒヤしっぱなしなのだが、あとで思い出すと、遅れて吹き出すことが結構ある。
私はオカンにはまったく気を使わないため、毒舌を吐きまくるが、オカンはまったくめげることなく、逆に自分の面白さを言語化されて、嬉しそうだ(たぶん)。
オカンは最近、仲の良い友達に誘われて、コーヒー会なるサークルに参加し始めたのだが、早速、ゴタゴタに巻き込まれているようだ。
オカンはスマホを使いこなせない。
しかし、LINEだけはやっと使い始めるようになって、しかし周りはもう、それを連絡手段の主にしているため、うちのオカンはもうそこで着いていけない。
返事が遅いやら、絵文字がないやらで、度々誤解を生むらしく、相手を不機嫌にさせることも多々、あり。
サークルの連絡手段が、グループLINEらしく、今はとりあえず仲のいい人が、個別にわざわざ連絡をくれているらしい。
その人、めんどうなんだから、グループLINEに入れば?と言うと、メンバーのあんまり仲の良くない人に、他の人とのやり取りを見られるんじゃないか?とか心配しているので、それはない!と思わず語気を強めて言ってしまった。
サークルに入ったきっかけも、代表から誘われたわけではなく、仲のいいメンバーから誘われて行ったらしく、そこでも、トラブルっぽくなった。
代表たちがオカンが入ることを聞いていない。と言って、少しギクシャクしたというのだ。
一回目に行ったときのこと。
そこの活動は、バリスタ(?)みたいな人が、何種類かのコーヒーを淹れてくれて、そのポットを回しながら、それぞれが自分のカップに注ぐらしい。
うちのオカンはその時、バリスタの隣に座っていて、最初に注いだのだが、自分ではほんの少しだけ注いだつもりが、代表が座る最後の席ではコーヒが足りなくなったらしく、「あら。ちょっと足りないわね。」と、オカンをチラ見しながら、嫌味っぽく言われたという。
オカンはたくさん注いだつもりはないけれど、どうやら事情を知らないオカンが自分のうちから持ってきたカップがすこぶるデカかったらしく、たくさん注いだと誤解されたようだ。
私はもうそこですでに面白い。
田舎のババアたちが(コラコラおまえもだろ!)、上品に小さなカップでコーヒを産地やら品種やらを確かめつつ嗜んでるのも面白いし、そこにそんなことにまったく興味のないうちのオカンが、空気を読まずデカいカップを持って、(歓迎されていないのに笑)いそいそと登場したのも面白い。
なんでよりによって、そんなどデカいカップ持ってったんだよー😭と言ったら、こないだカーブス(おばさんのジム)で、誕生日にもらったんだよ。と言うから、また堪えきれずに大笑いした。
「カーブスの粗品持ってくなよ!おめえ(←おいおい(^_^;))、これあるだろ!このいつ誰に出すのか知らんけど、ずっと使ってないこの白いちっちゃいやつ、あるだろ!」と、リビングに備え付けてある昔ながらの死んだオトンが集めていた高級なウイスキーが並ぶカップボードの中を指差した。
みんなは、サークルができた当時にわざわざ作ったのかわからないけれど、お揃いの小さいカップで飲んでて、辞めた人もいるから余ってるはずなんだけどね。それを使っていいよ。とも言われない。とオカンが肩を落とした。
もういろいろめんどくさいメンバーみたいだとは聞いてたけど、本当にそうで気を使うから、だんだん行くのが面倒になってきた。と。
私は、自分のオカンには厳しい。
「次はこの小さい上品なやつ、持ってけ。あと四回ぐらい休まず行ったら、その威張ったオバサンが、そうそう。コレがあるわ。使っていいわよ。って言ってくれる。
グループLINEは、誘われるまで触れるな。
コーヒーに興味がなくても、話はちゃんと聞け!
普段、仕事もしてないんだから、ひと月に一回ぐらい、気を使う場所に行け!ボケるど!」
そういうとオカンは、爆笑しながら、そうだね。と言った。
しかし、もう、みんな御歳70だぞ。
いまだに女子中学生みたいなやり取りなのが、どうにも面白おかしい。
オカンのそういう面倒な話はたくさんあるのだが、それでもまったくめげないところが、この人の素晴らしい、尊敬すべき部分である。
いや。周りもたぶん、こういうオカンに助けられているのだろうと想像もする。
だから、オカンはいつも、友達によく誘われて、なんだかんだ楽しそうだ。
鈍臭かったり、空気を読めなかったり、思ったことをすぐに口にしたとしても、うちのオカンの腹の中は、真っ白だ。
いや、真っ白というわけでもないが、いい意味でも悪い意味でも、正直なのだ。
自分を大きく見せることもなく、そんなに教養や知識がなくても卑屈になることは絶対にない。
私が毒舌(ほぼオカンの悪口)を吐きまくっても、それを笑い飛ばす器の大きさがある(たぶん)。
ああ。人間のお手本は、こんなに身近にいたんだな。
