ワクワクさせる存在 | 想像と創造の毎日

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写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

  どうやら先日の登山で、私は息子よりも彼女の方の登山熱に火を着けたらしい。


  あれからギアのことはもちろん、道内の山の種類に至るまで、質問攻めである。


  初めて山に一緒に登った子たちは、もう二度と登らないと言うか、また登りたいと言って道具を揃え始めるか、どちらかであった。

  彼女はどうやら後者らしい。


  私はまだまだ中級者にも至らない初心者レベルだ。熟練者に教えを乞うたこともなく、ほぼ独学である。


  なのでアドバイスできることはほとんどないのだが、去年、彼女が、息子と二人で着のみ着のまま、何の下調べもせずに富良野岳に登ろうとして、途中で迷って、下山者からこの先は天候が悪いと言われて引き返したという話を聞いて肝を冷やした。

  息子は、その前にまだ雪渓の残る春の黒岳を半袖、スニーカーで元警察官の友人と二人で登って、雪渓を踏み抜いて滑落しそうになったと言ってその時私に散々叱られたから、その話をわざとしなかったのだろう。


  私も最初は初めての山をたいして下調べもせずに登って、迷いそうになったり、Googleマップを信用し過ぎて、変な林道に連れてかれて登山口を間違えたりしていたから、人のことは言えないのだが、だからこそ、心配なのだ。


  この辺の山はそんなにコースがないから迷うことはほぼないだろうが、それでも人気のない山は、登山開きの日ですら、遭難者が出ている。

  そして何より怖いのは、羆だ。

  もうこればっかりは、どんなに気をつけても運しかない。


  幌尻岳って登ったことあります?この辺で一番難しい山みたいだから、登ってみたいんです。と言われて、いやいやいや。まだダメ!と必死に止めた。

  斜里岳も確かに難しい方なのだが、たぶんあれでもまだまだ整備されている方だろう。

  山の難しさというのは、一言では説明できない。

  同じ山でもルートが違うだけで、難易度が変化する。しかも短時間で登れるルートほど、難易度が増す場合も多い。



  一番詳しそうな山のガイド本を買い集めた。

  地図を読むということがどれだけ大切なのか、こないだの十勝岳登山で思い知ったからだ。

  大雪山系、十勝岳連峰は、登山者が多くバリエーション豊かなルートや、登山道の整えられたコースが多いのだが、その分、分岐も多くて迷いそうだ。


 知床側の山々は、登山道がついている山は少ないため、迷うことはほぼないが、その分、階段やハシゴなどはなく、最低限の草刈りなどしか行われていないため、野性味溢れる景色を堪能できるが、難しさもある気がする。


  テン泊する気はないので、登れる山は限られるが、日帰りだと九時間ほどで往復できる山が自分には限度だろう。


  歩行時間が長くなるほど、帰りに残しておける体力を算段するのが難しい。まだまだ体力も筋力も柔軟性も技術も自分には足りないのだと登る度に思い知る。


  自分は大丈夫でも、誰かを連れていくときは特に気を遣う。

  だから最近はむやみに人を誘わないのだが、体型などでどの人がどれくらい登れるのかはだいたい分かってきた気もする。


  彼女は、若い女の子の中でも体力、筋力、気力ともに秀でている方だろう。

  特に下半身が素晴らしい。

  彼女は、自分は足が太いと気にしているが、背筋、腹筋の締まり具合、そして下半身の安定感は抜群である。


  息子は最近の女が細過ぎるだけだ。

  あのぐらいの体型が、健康的でいい。何しろ、体幹が強い。と言っていて、私は深く同意する。


  一緒に遊んでいて、楽しい子だ。

  ワクワクさせてくれる子だ。

  特に小心な息子にとっては、勇気をくれる存在なのだろう。

  なるほど。好きになる理由がとてもとてもわかるぜ。と納得しつつ、その分向こう見ずなところがすこぶる心配でもある。