林を抜けて、柔らかな身体を揺らして、エゾリスくんが雪原を駆け抜けてくる。
小鳥たちは一斉に飛び立ち、ざわめきはじめた。
今日は、脂身を木から離したから、簡単には喰われまい。
窓越しに見える私を警戒しているのか、木の幹の影から、じっと様子を窺う。
エゾリスくんの身体は、私が想像していたよりも、しなやかな動きで、頭もずっと賢かった。
針金に手をかけて、ぐるんぐるんと網を回し、幹の方にたぐり寄せる。
脚をかける枝がない代わりに、彼には長く大きなしっぽがあった。
しっぽはまるで、腕や脚のような機能で、しったりと幹を捕まえて、身体を支えた。
たちまち脂身がなくなっていくことに呆然とする小鳥たちである。(☝️はヒガラ)
しかし、そんな中、果敢に攻撃を仕掛けたのは、シマエナガたちだった。
身体はすこぶる小さいが、カラの仲間たちよりも、もっと大勢で行動するシマエナガたちは、その数にものを言わせるようにして、いっせいにエゾリスに向かって行ったのだ。
思わずびっくりして、脂身から離れる。
それでも、しばらくしてから、また脂身を食べ始めたから、私は窓をトントンと叩いた。
エゾリスくんは、さすがに諦めて、また近くの林に帰って行った。
いろんなお客様が、やってくるようになった。
ゴジュウカラは、他の鳥たちは尾羽が短い。
だから、飛んで移動するよりも、木の幹を這うようにして、歩き回る。
ヒヨドリは、脂身を啄みたいのだけど、くちばしが届かず、かといって、ぶら下がることもできずに、口惜しそうに去って行った。
カケスは、小鳥たちの賑わいを遠巻きに眺めるばかりだ。
モヒカンみたいな頭頂部の模様を持つコガラは、四六時中、この場所から離れない。
いつの間にか、鳴き声を聞き分けられるようになっている自分に驚いた。
少し前までは、小さな鳥は、スズメか、シジュウカラしかわからなかったのに。
どの鳥が、どんなふうに囀り、どんなふうに飛ぶのかを知っていくのが、ただ面白い。
これから、海には流氷がやってくる。
それまでまだまだ冷え込むだろう。
君たちはいくつものを冬をその野生の力で乗り越えて、短い命を謙虚にでも、逞しく繋いで来たのだね。
春には、きっといなくなる。
こんなところにしがみつかなくても、山や森にはたくさんの餌がある。
雪の毛布に守られた新しい命達が一斉に芽生える。
愛おしさが湧き上がってきて、今という時間のかけがえのなさに気付くんだ。











