キムチ | 想像と創造の毎日

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写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

  もらった白菜の中身が少し腐りかけていた。
  葉が黄色く、中身がぎゅっと詰まっている。

  腐りかけの場所を取り除いて、おひたしにすると甘くて美味しかったので、いい白菜なのだと思う。

  使い切れそうもなく、まだ半玉残っているので、キムチを漬けた。


  少ししょっぱいかな。ぐらいの塩水に一晩漬ける。

  その時点で、そのまま食べても美味しいぐらいの味付けになることが重要だ。

  ちょうどいい塩加減は、ここで決まる。


  つけダレであるヤンニョムには、塩は入れない。

  大根とネギの細切り、ニンニクとしょうがのすりおろし、ごま、液体昆布出汁、砂糖、粉唐辛子、ゴマを適当な分量、混ぜておく。

  そして、重要なのはもち粉だ。
  もち粉というものがないので、在庫の白玉粉で代用する。

  キムチのドロっとした状態は、もち粉でできている。


  ここに、さらに魚介系の旨味を足したい。
  二ヶ月前から、釣ったイワシでアンチョビを作るために塩漬けにしていたものから、汁だけを拝借する。

  本当はアミエビの塩辛が欲しいところだが、あいにく手に入らなかったため、在庫の干しエビを入れてみた。

  塩漬けした白菜をザルに上げて水を切り、ヤンニョムを一枚一枚に塗り込んでから、取り出しやすいように丸めて、タッパーに詰めていく。

  家中が、ニンニクとイワシのエキスの匂いで充満している。


  冷蔵庫で放置していたぬか床が、死んだ。
  飽きてしまい、まったく混ぜないでいたら、カビが生えてきたのである。

  健全なぬか床は、乳酸菌のおかけでカビが生えないらしいのだが、どうして混ぜることを止めると、乳酸菌が負けてしまうのだろう。

  だいたい発酵と腐敗の境目がよくわからない。

  かつお節は、かつおを燻してカビを吹き付けることで出来上がる。

  納豆は、茹でた大豆を稲わらで包み、ワラについている納豆菌が大豆を栄養にして繁殖させると出来上がる。

  人間にとって有効な働きをする細菌が繁殖している状態を発酵といい、時間が経ってそのバランスが崩れ、他の有害な細菌が増えていくと腐敗になる。

  自分で発酵食品を作るとき。
  なんだか、とてもドキドキする。

  このイワシエキスは、そもそも腐っていないのだろうか?

  白菜の漬け物と出会うことで、上手く乳酸菌だけが増殖するのだろうか?

  この間漬けた梅干しは、とても美味しかった。
  
  しかし梅干しは発酵食品ではない。
  他の有効な細菌によって、発酵するものではない。

  梅干しに含まれるクエン酸が腐敗菌を退けて、梅は梅のままだ。

  自然の中にある人の目には見えない部分で、いろんな生き物が私の身体に作用する。

  このような調理法を発見した人は、科学的な知識よりも、自分の肉体を通した体感で、自分の身体に有利な効果を体感していったということがいつもすごいと思う。

  豊かではない環境が、生きる叡智を生み出した。

  現代の科学は、過去の体感を豊かな環境でもって解剖しているんだ!

  私たちは、自覚なきその実験材料なのである。

  つくづく生き物は、見えない部分で戦い続けてきたのだと感じる。

  決して満足できない部分で、生き物は生かされる。

  そして知りたい欲望において、無自覚に残酷だ。