春もさくらも
ポップコーンみたいに
一瞬ではじけるって
思ってた
固く閉じていた蕾を
毎日注意深く見ている
茶色の膜を少しづつ
膨らみが押し上げて
その隙間から
濃いピンク色が顔を出す
花びらはじつに
ゆっくりゆっくりと
開いた
それは一日の気温が高まる速度に
自分を合わせているみたいだった
じっくりと
立ち止まれないから
季節は速足だ
ゆっくりと眺め続けないから
風景は通り過ぎるだけ
そうなっている自分と
そうしなくてはいけない自分
その隔たりの大きさで
世界は歪んでいくけど
鼓動が刻むリズムに
耳をすませば
それらは
波で
風で
月の満ち欠け
自分は
人の意志では
作られていないから


