静かな闘い | 想像と創造の毎日

想像と創造の毎日

写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

   剥き出しの命たちが、一日が終わる寸前まで、荒野で五感を研ぎ澄ませている。



  不意に道路脇に立ち止まり、側溝を覗き込むと、彼は後ろ足をぐっと縮めた。

  辺りの空気が一瞬、静まり返ったような気がして、思わず息を飲む。

  ザッ!という音と共に、枯れ草に消えた。

  そっと近付いて、カメラを構える。

  捕えられたネズミは、痛みを感じる暇もなく息絶えただろう。

  動かなくなった餌をそっと地面に置いてから、私を振り返って彼は食事にありついた。


  他に二匹のキタキツネに会った。
  しかし、彼ほどふくよかではなく、毛並みも悪い。

   狩りが上手い個体なのだろうか。
   野生下での勝ち組を表しているかのように、彼の黄金の毛皮が、夕陽を一身に浴びて、キラキラと輝いていた。


  生きるということは、いつでも大変な出来事だ。

  文明から放り出されれば、とたんに心許ない、ちっぽけな私の命。



  夜の手前に消え去っていく、命のシルエットが好きだった。

  明日を占わない彼らの孤独が、黒く闇に染まっていく瞬間が。

  凍えるような寒さの中で、忠実に命をまっとうする彼らの姿に勇気をもらってもいた。

  ただ、美しい。