嫉妬 | 想像と創造の毎日

想像と創造の毎日

写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

  息子が彼女と彼女の友人が一緒に写る写真を見ながら、
「ブスが!引き立て役にしかなってねえのに!」と言っている。

  どれどれ。と見ると、確かに息子の彼女はこの中で一番可愛いのだが、別に他の子だって、そこまでブスではない。

  私はそれを聞きながら、あまり毎日しつこいし、他人の娘さんのことをブスという自分の息子の性格の悪さに腹が立ってきたので、
「自分のコンプレックスを他人に投影して、憂さ晴らししてんじゃねえよ。例えおまえがブスだと思っても、奴らは彼女の友達だろうが!」
と言ってしまった。
 
  息子は一瞬、うっ。と傷付いた顔をしたから、私はまたやってしまった。思った。

  こういうことを彼女には言わず、私にだけは善悪関係なく、正直な心の内を打ち明けているのに、私ときたらその気持ちを受け止めようともしないで。と。

  しかし息子は静かにこう言った。
「そうじゃないんだ。顔も確かに彼女よりは可愛くないけど、俺は奴らの性格がブスなのがムカつくんだ。」

  その言葉を聞いて、私は、はっ!となった。
 
「おまえの彼女さ。ちょっとおまえの姉ちゃんに似てるよな。」

  そう言ってみると息子は、
「あそこまで天然じゃないし、姉ちゃんよりいろんなことできるけど、そうなんだよ。」
と、ため息をついた。

  思い返せば息子は昔から、男子同士のいざこざよりも、女子のいざこざによく腹を立てていた。

  何年も片思いしていた女のコがいて、その子は成績がクラスで一番なだけでなく、器量もよく、性格も真っ直ぐで、正義感が強いがそれを押し付けることなく、いつも朗らかな笑顔を絶やさない、私から見てもとても魅力的な女のコだった。

  しかしその子は、その非の打ち所のない性格ゆえに、周りの子達から嫉妬され、陰口を叩かれ続けていたのだ。

  息子の彼女は、やさしく、人当たりが良いが、何処か人との距離が遠いところがある。
  なのに、息子には心を開いているように私には見えた。

「彼女は一見、友達と仲良くやってる。
    でも、俺にはわかる。
    具体的には上手く言えないけど、アイツら、彼女のこと利用するんだ。」

「でも、彼女はいじめられてるわけじゃなく、外されてるわけでもなく、楽しくやってるんじゃないの?」

「そうだけど、俺にはわかるんだよ。
   けど、嫌味とか陰口みたいのとかに彼女は気付いてない。
   それが、俺はなおさらムカつくんだよ!」


  ああ。と私はすべてを察した。
  きっと、うちの娘と同じなのかもしれない。と。

  うちの娘は、人から嫉妬されるような優れた才能のようなものは持ち合わせていないのだが、その素直さゆえに、周りの大人たちからことあるごとに目をかけられてきたような気がする。

  そのためなのかはわからないが、ある時、児童館の先生に言われたことがあって、本人は気付いていないようだけど、友達からちょくちょく、嫌なことを言われているんです。と。

  いつだったかふと、娘に当時のことを聞いてみると、よく覚えてないけど、女のコの友達のことはあんまり好きじゃなかった。と言っていた。

  クリスマスのデートのあとで、息子が珍しく私にプレゼントを買ってくれたからどうした?と聞いたら、彼女がお父さんとおばあちゃんに買うって言うから、俺もそうした。と言った。

  彼女はうちに来る度に、おばあちゃんからだと言って、昔ながらの缶入りのお菓子なんかを持ってきてくれる。

  彼女のおばあちゃんは、付き合い初めの頃、うちにお世話になってありがとうございます。と、わざわざ電話をくれたこともあった。

  彼女はおばあちゃんに育てられたからなのか、今どき珍しくひねくれたところのない、本当に素直で、ひたむきなお嬢さんだ。
  そして、言葉少なく、とてもシャイである。

  息子は、彼女は、あんなに可愛いのに自分が可愛いことに気付いていない。そればかりか、自分をブスだと本気で思ってる。人の悪口も言わないけどそれは、姉ちゃんと同じく、あんまり人に深入りしないからのような気がする。と言った。

  これは、その辺の女子が嫉妬するのも当たり前だなあと私は独り言つ。

  私ですら、可愛いくて、ついついあれこれ世話を焼きたくなるくらいなのだ。

  可愛い上に、性格も良く、頭も良くて、スポーツもできる。

  「唯一の欠点は、彼氏がかっこよくないことだな。」

  そういうと息子は、
「じゃあそこだけは、嫉妬されなくて良かった。」
と、私を睨みつけながら言った。