こだわり | 想像と創造の毎日

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写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

  私の初代オニツカタイガーくんが、とうとうお亡くなりになった。


 もう4年ほど履いただろうか。
 足の幅が広いため、たぶん、私はこの子に合わないと思いながらも、デザインが好きなのでついついこの子ばかり履いてしまう。


  二代目のこの子は、一代目の補欠だ。
  出番はなかなかやって来ないのだが、なぜかこの子の方が軽いのである。

  一代目の引退により、三代目を選出しなければならなくなった。
  三代目は少し、冒険をしたいと思った。

  けれどもすぐに新しいものに慣れるまでに時間がかかる私には、ど派手な色使いのものは気が引ける。
  

  
  結局、黒になり、ただてさえ、黒の服ばっかり着てるのに、これじゃあ全身真っ黒になってしまう。

  クローゼットやタンスの引き出しを開ければ黒ばかりだ。
  辛うじて、スカートだけが柄物で、カラーも豊富だ。
  しかし形が全部一緒なのである。
  プリーツのロングスカートばかり。
  一時期は、ワンピースばかりだったのだが。

  こういうふうにひとつの物に拘るのは遺伝なのだろうか。

  息子も新しい服や靴を身に付けたがらない。
  靴なんて、めちゃくちゃに破れるまで履いていて、新しい靴はいつまでも新しいままだ。

  パジャマなんて、片方の袖がなくなり、裾がボロボロになって、おまえは原始人か!という風貌になるまで着続ける。

  服って、こんなになるまで、破れるものなんだなあと、ある意味、感心してしまう。

  しかしその格好で、来客時に玄関に出るのは勘弁して欲しい。

  親にひどく怒られるのだ。
  あんたは、自分の子供に新しいパジャマも買ってあげないのかい!と。

  思えば、この子は小さい頃からそうだった。
  幼稚園に行かせるまで、毎日、服のことでケンカだ。
  まだ乾いていないTシャツを着て行こうとするのである。
  それを咎めると、泣いて抵抗する。
  もう時間がないから、ドライヤーやアイロンで乾かしたりしていた。

  担任の先生には、息子さんはいつも同じ服を着てますよね。と、苦笑いされていた。

  小学生になってからは、息子は弁が立つようになり、「同じ服を着るのはエコだ!とか、見た目で人を判断する人間のためにオレは服を着ているんじゃないんだ!」
とか言われた。

  遠足の時にキャラ弁を作ったときには、帰宅してきた時に、ママ!今日のお弁当、すごいね!と言われるかとワクワクして帰宅を待ったものだが、リビングのドアを開けて開口一番、
「悪いけど、オレにこういう弁当必要ないから。
   手間が味に追いついていない。」
と言われ、大変ショックを受けた記憶がある。

  野球の部活のときも、みんなはunder armourとか、かっこいいジャケットを着たりしているのに、頑なにMIZUNOばかりを選んだ。

  安くて大助かりなのだが、なんだか釈然としなかった。

  娘と違い、息子には確かにオシャレな服を着せていなかった。
  娘には自分の趣味を押し付けたが、息子は何を着せてもサマにならないし、第一、すぐに汚したり破いたりするから、オシャレなど後回しなのである。

  しかし前の彼女にファッションセンスのことは結構言われたためか、最近は多少世間の流行りを気にするようにもなったのだが、自分の着たいものではないものは、どんなに高価でもやっぱりタンスの肥やしになっている。

  今の彼女は息子のファッションについて、特に何も言わないらしい。
  デートのときは、お願いだからそれはやめろ!というような鳥の絵がたくさんついたジャケットを着て行こうとする。

  それを買う時には、一応、名のあるアウトドアブランドだが、なんで、それ?いくら、鳥が好きだと言っても、そんなにたくさん鳥がついてるやつ選ぶか?!と何度も咎めたのだが、これは一目惚れだから。と何の迷いもなくレジに向かった。

  デートから帰宅して、彼女は鳥の絵、かわいい!って言ってたよ!とご満悦だったのだが。

  そもそも、オシャレな男が好きなら、彼女はオレを選ばないし、オレも自分の好みを押し付けようとする彼女なら好きにならない。と言って、まあ、そりゃあそうだなあと思う。

  脱いだらすごいんだから、いいじゃないか!と、朝一のシャワーのあとに自分の誇るべき身体を写した洗面台の電気をつけっぱなしにしていて、何がエコだよ…と内心、腹が立つのだが。

  しかしデートのときに、こんな南国のカラフルな鳥がたくさんついたジャケットの人が目の前に現れたら私なら衝撃を受けるが、彼女は可愛くて、オシャレなのに、一体息子のどこがいいのかと思う。

  自己肯定感が低いんだろうか。と私が呟くと、それはそうだよ!彼女は自分の可愛さをわかっていない。だけど、見た目で男を選ぶほどバカじゃいんだな。と誇らしげに言っていて、じゃあ中味で選んだのかよ。一日中、ゲームしかしていない奴のステキな中身とやらについて、具体的に教えて欲しい。と言ってまた、ケンカが勃発するのだった。

  執着と愛着の境目が難しい。
  ボロボロになっても、なかなか捨てる気にならない初代オニツカタイガーを見ながら、どうかこんなうちの息子を捨てないでくれ!コイツは、馴染んだものを捨てることが、身を切られるぐらい辛いんだ。と彼女に心で話しかけるのだった。