雨はみぞれに変わった。
空が、シャーベットみたいなシャリシャリという音を立てる。
季節が戸惑うみたいに、草木たちも芽吹く瞬間を躊躇っているんだろうか。
砂浜で佇んでいた鳥たちは、私という未知の不穏な存在を確かめると、一斉に飛び立った。
カモやアオサギは、警戒心が強い。
ワシやカモメやカラスのように、なかなか距離を詰めさせてはくれない。
それは、敵の目を分散させるためでもあるのだろうか。
時々、違う方向に飛び去る一羽を執拗に追いかけるカラスがいる。
仲間たちは誰もそれを助けようとはしない。
けれどもそれは、仲間達みんなでひとりであるからなのだろうか。
"私"という意識を持たない。
自分の"一部"を犠牲にすることで、群れを維持しようとしているようにも見えた。
言葉は分断を生んだのか。
私が私であることを知った時から、私は私を失うことを恐れた。
私でしかない私は、私がいなくなることで、世界が終わることを恐れる。
言葉は、世界を私の中に閉じ込めた。
言葉によって、意識が明確になるほどに。
暗闇に目を閉じれば、私が消えていった。
本当の安寧は、眠りの中にしかないような気がしていた。
それでも眩い色の世界にいつまでも、身を沈めていたいと思うのは、何故だろう。
鳥たちよ。
私に怯えるな。
悲しくて、寂しい気持ちになってしまうじゃないか。

