春はざわめきながらやってくる
真っ白な無にも思える季節の
止まった世界の下に
どろどろとした無秩序が
何かを生み出したいと
熱のエネルギーが降り注ぐ
その瞬間に待ち構えている
奪い合っているのは
死骸だった
時を止めた生命は
混沌としたただの物体になることを
人間という生き物だけが
拒絶しているのだった
心という見えないものを
言葉という不確実さで物質化しながら
現実にかろうじて折り合いを付けている
奪い合わないことは美しい
性の活動が静まる冬に
カモたちは自らが
オスであること
メスであることを
忘れることができた
私たちは季節のうつろいを
失ったのだろうか
永遠に生きる欲望を
追いかけ続けて
冬をなくした
風景を彩るあの鮮やかな色が
ただ懐かしい


