息子と夕飯を食べているときに、一話ずつ聖闘士星矢を見ています。
息子は私が小学生の時に流行ったアニメが好きなようで、YouTubeで主題歌をよく聴いています。
友達とカラオケに行ったときは、まず自分が最初にペガサス幻想を歌うそうです。するとみんなのテンションが一気に上がるそうです。
男の子が羨ましいと思うのはこんなときです。
愛とか夢とかをストレートに歌詞にする曲が好きじゃないはずなのに、聖闘士星矢はいいのです。
それは、男の子の愛は小さなものではなく、大きなものである証拠なのだ思いました。
バカだな!気が利かねーな!と思うけど、私はそういうバカな男が大嫌いで、大好きなのでした。
男の子は小さな頃から孤独なような気がします。
こだわりが強く、勝ち負けの世界から逃れられない。
女には理解できないプライドが打ち砕かれたときに世界が終わったかのようにひっそりと泣きます。
息子もよくケンカをしていました。理由は私からすれば他愛なかった。
そして、隣の人と比較しては誰かを貶めようとし、周囲の感情を煽りコントロールしようとする女の子を嫌いました。
感情が言葉にならない鬱積を晴らすように世界に攻撃的でした。
娘は実習三日目にして、ほぼ徹夜が続いているそうです。
みんなみたいにできない!と嘆いています。
それでもみんなみたいじゃなくていいことも知っています。
昨日よりはできたところもあるよ。そう言って、自分で自分を奮い立たせるのでした。
人を嫌う代わりに自分を嫌っていた娘は、他人と戦う代わりに自分といつも戦ってきたのです。
人は他人を憎むとき、同時に自分を憎んでいるのだと思います。
他人の不快に思う場所に実は自分の不快な場所が隠れている。
それでも他人と争うことはそんなに悪いことじゃないとも思う。
他人と争ったあとに自分の中にある悪に気づけることが大事なのでした。
排除するのではない。
自覚すること。
自分が闘うのは外の世界ではなく、自分自身なのでした。
懸垂期にぶら下がってはすぐに落ちる私に息子は言います。
落ちるのが早い!!
だって、辛いんだもん!!
辛くなきゃ、筋肉になるかよ!!
アホだな!!
六つに割れた腹筋は、筋肉が成長するから割れるんじゃない。
余分な脂肪が落とされるから、本来の腹筋の形状が顕になるのだ。
筋肉を増やして、代謝を上げるんだ!
動いただけ、余分な脂肪は燃える。
今日もひとりで黙々と懸垂期にぶら下がります。
いつか、この重い身体を自分の力で易々と持ち上げられるように。
野生動物には余分な脂肪がない。
寒さから身を守るために秋に蓄える。
自然の摂理に従順なそのしなやかな肢体。
スイーツコーナーのきらびやかな誘惑に負けず、鶏胸肉を手に取った。
簡単にエネルギーを摂取できるものは、身体を甘やかせる。
急激に上がる血糖値。
怠くて、眠くなるんだ。
考える力を奪う白い悪魔。
他人と戦うぐらいなら、自分の中にある敵と戦え!
誰かを憎むぐらいなら、自分の無知と脂肪を憎め!
私は、他人とはもう戦いたくないのです。
だから、自分と戦うのです。
人はみんな孤独な戦士なのですから。