夜半に霧が忍び込んだので
小さな息吹をヴェールが覆って
それから
つつましやかに鳥が鳴く
寒い雨粒が
生き物を包むように
小さな核を苦しく愛撫している
春よ
おまえに去来する命は
この責め苦を知っているのか
産毛の蕾に
雨の重なった小さな蕾に
震える吐息に
優しく冷たく霧が降る
北の春が狂ったように暑い
雪はいつのまにか雨になる
雪解けの季節が短いことを
知ってるみたいに花たちは
まるで示し合わせたように
一斉に花弁をだらしなくも
誇らしそうに広げて見せた
宵の月の光で作られし罠は
夜露に触れて一層甘くなる
春が狂ったように命を乞う
繋ぐために捨て去るように