やさしい時間 | 想像と創造の毎日

想像と創造の毎日

写真は注釈がない限り、
自分で撮影しております。

真夜中に何度も目覚めるのです。
身体を最小限の動きに留めることで、
昼間の雑音のような情報を
無意識という眠りが懸命に
整理しているのです。

今まで様々なストレスを
ニコチンの力を借りて、
解消していたものですから
突然の供給停止に
脳は暴走し、
必死に抵抗してらっしゃる。

βエンドルフィンを生成し、
不安を和らげる作用。
今まで鈍感になっていたツケが
全て回ってきたかのように
孤独と焦燥に毎晩襲われる。

意識が脳の真ん中にないのです。
自分というものが定まらない
不安定さの中で、
夜は永遠みたいに長い。

最初はどうにかしようと
無駄に動いてみたり、
無理矢理何かを考えて、
落ち着こうとしていました。

だけど、不安も孤独も焦燥も
そのままにして怖いままでいる。
どうにもならない。
だけど、それでいい。
身体を夜の暗闇に任せて、
定まらない意識を投げ出すように
タバコのことだけをしつこく考える。

私は忘れない。
タバコの吸った時の落ち着きのことを。
吸いたくなったら、
その煙がもたらした深い安堵を
鮮明に思い出すのです。
あの頃は良かった。
タバコのある日常は、
なんて退廃的で、自堕落だったのだろう。
それは柔らかな地獄のようでした。


暗闇の森の中に
いくつもの小さな光に照らされて、
ログハウスが並んでいる。

ろうそく、和紙、木、皮、
鉄、ガラスなどで造られた
小さな雑貨たち。
決して高価で派手ではないけれど、
日常の隙間の中で
そこにあるものを使って
遊んでいる人達の風景が
思い浮かぶ。

やさしい時間。

店先に飾られたポストカードに
そんな言葉を見つけた。



日常の中に心が
小さく沸き立つ瞬間がある。

雨上がりの虹や、
鏡のような水面に映る景色。
鳥たちが一斉に飛び立ち、
キツネが心を許すように佇む。

私の外側にある
ささやかな心を揺らす出来事。
それを見つける作業が
私のやさしい時間だった。

ろうそくの灯りをいつまでも
眺めていた。
森の匂いが湿度を帯びて濃くなる。
透明な傘には雨のリズム。
落ち葉を集めて作られたハートに
誰もが微笑んで立ち止まっていた。