キミが一緒にいるかいないかとでは、
世界を見る目が随分と違う。
私の持つ記憶媒体は捉えた被写体を
心が都合良く編集してしまう。
それを誰かに伝えようとするときは
絵を書けばいいのかもしれないけど、
私の右腕はどうにも
その記憶媒体を忠実には再現できない。
だから言葉というものを
使って説明しようとするけれど、
それは使えば使うほど、
真実から遠ざかってしまうようにも
思えた。
キミを手に入れたとき。
私はこう思ったんだ。
キミは私の三つめの目で
二つめの脳。
私の目よりももっと遠くを
もっと細部を
キミは見せてくれる。
そしてキミの脳は、
私の価値観で着色した記憶媒体よりも、
もっと正確にもっと鮮やかに
世界を再現できるのだ。
キミがいると世界は美しく、
とても残酷にも見えた。
そしてキミの記憶媒体に
私の記憶を刻みつけるために
私の目はレンズそのものになる。
時々、わからなくなるんだ。
キミの目なのか、
私の目なのか。
だってキミがいないときも
私の目は、
まるでキミの無機質な
シャッター音のように
世界を切り取る冷たい音を脳に
響かせる。
目の前の出来事に
揺らされそうになる感情を
思考で抑えこもうとする。
まるで、シャッターボタンを押す前の
親指AFを
震えないようにと
息を止めるみたいに。
質量2000gのキミが
いつも肩に重くのしかかり、
私が見た世界を
誰かに見せたい欲望で
何もかもを捨てて
好奇心だけで生きていきたい
衝動に駆られる。
