体重が増えてくることは
私の場合、精神が安定しているわけではなく、
生活リズムが狂い、
何かが疎かになっていることだと認識する。
真っ先に脂肪がつくのは、お腹。
くびれが曖昧になり、
かろうじて見えていた腹直筋の
縦の筋がなくなる。
なんだかいつもお腹が苦しい。
お腹がすいていると本当に感じる前に
何かを口にいれてしまう習慣が
知らずついているのだろう。
たった一枚のビスケットだとしても、
それが非常食になることを考えれば、
相当なカロリーなのだ。
お腹の中に隙間ができた気がすると
無意識に冷蔵庫や食品庫を開ける。
手軽に食べられるお菓子や
喉を素早く潤せる甘い炭酸飲料を
無意識に手に取る。
空腹時の買い物は危険だ。
食欲旺盛な息子のための食糧を
備蓄するという体で、
本当に必要じゃないものまで、
カゴに放り込んでしまう。
2kg増えただけで、
身体は自分のものじゃなくなる気がした。
動きが鈍くなって、疲れやすくなる。
最近、筋トレに目覚めた夫が
プロテインをシェイクしながら呟く。
やべー。腕の筋肉がバンプしてる!!
夫の付け焼き刃の
筋トレ用語がウザい。
暇ができれば自分の身体を
全身鏡に移して、ボディービルダーのような
ポーズを取ることにも腹が立つ。
とにかく昔からナルシストなのだ。
鏡の向こうの自分が
愛おしくて堪らないのだろう。
おまえは、鏡と結婚しろ!とその度に
憎まれ口を叩く。
しかし、何もやることがなくて、
ダラダラゴロゴロされているよりも
数倍マシだと思った。
どうせなら。
私もそのにわか知識にあやかろう。
いやいや。
単に私が一年前に飽きた趣味に夫が
はまっただけなのだ。
ジムに行く。
よくわからない名前の器具を腕や足で上げ下げ。
ランニングマシーンで傾斜を付けて歩いたり、
走ったり。
人って、バカだな…
豊かになって、便利になって、
その代償のように余分な贅肉を
身体につける。
野生動物には、肥満の個体など
存在しないだろう。
足の裏が走行ベルトに着地するたびに、
胸の揺れと共に
お腹の肉までもが揺れる気がするのが
なんとも情けない。
文明のツケをこんなところで
払っているのだ。
トレーニングって、
非効率的で、
誰の役にも立たなくて、
誰の楽しみにもならなくて、
なんて究極な自己満足!
とてつもなく、バカバカしい作業!!
耳につけたイヤホンから
Dubstepの機械的なリズムが流れる。
夫が敬愛するフィジークの選手だかの
YouTubeに流れる音楽だそうだ。
汗が額、背中、胸、脇、を濡らして、
気持ちが悪いのに、気持ちがいい。
周囲の無言の中の息遣いの音が、
体温で熱された空気の温度をもっと上げる。
上腕二頭筋がビクビクと波打つ。
広背筋についた脂肪が震える。
それより。大腿四頭筋を鍛えろ!と
アホな夫がチャチャを入れる。
筋トレは一日にしてならず!
でも、やりすぎはだめだ。
飽きない程度に習慣にしろ!
あー、もう。
殴ってやりたい…。
鶏胸肉とブロッコリーを帰り道に
買い込む。
コーラをカゴに入れる手を戻される。
糖分はまだ必要ない。
ま、まだとは??
話が長くなりそうだから、
敢えて疑問には触れない。
身体を引き締めたいのなら、
有酸素運動は必要じゃない。
歩くよりも、走るよりも、
スクワットをしてる方がいい。
テレビを見ながら、
スマホをいじりながら、
ドライヤーをかけながら、
スクワットをする。
黒柳徹子さんは、
80歳過ぎにして、
大腿骨の骨折から一週間ぐらいで退院し、
仕事にそれから間もなく復帰したという。
このお年ならば、大腿骨の骨折での入院は
手術を含め、1ヶ月は要するだろうし、
その後のリハビリの期間を考慮すれば、
怪我から1~2週間後の仕事への復帰は
驚異的なのだそうだ。
それは、彼女が50回のスクワットを
毎日欠かさなかったからだと
テレビでこの前やってた。
これは。
地球の重力と過ぎ行く時間との
孤独なる闘いなのだ。
自分の内面と向き合っているばかりでは
生きてる実感が沸かない。
身体という入れ物があればこその
人生という我が事象。
自分の入れ物のメンテナンスも
遊びのひとつになり得ることを
私は忘れてた。
まあ要は、ただの暇つぶし。