前回までの記事で、小学校では実際にアクティブラーニングか、それに近い活動が既にされているという話をしました。
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【アクティブラーニング②】意味を理解するとわかる、小学校でやるべきこと
【アクティブラーニング③】 ( ← いまここ)
【今日のテーマ】
アクティブラーニングの良さの裏側になる課題にせまる
アクティブラーニングが全教科で導入されるという意味
前回の記事を読んでいただいた方は、アクティブラーニングが新たな教科でもなく、特定の教科で取り入れるものでもないことは知っていただけたかと思います。
アクティブラーニングは、全教科で導入していくものです。
さて、全教科と言われると、小学校ではまずは国語・算数・理科・社会が思い浮かびます。そして、既にアクティブラーニングに近いとされている総合的な学習の時間・生活科。
しかし、もちろん、これだけではありません。
他にも、図工・音楽・家庭科・体育、そして特別の教科となる道徳。こられの教科でもアクティブラーニングを取り入れた授業が求められます。
図工なら、制作過程で互いの作品や作り方について意見交換したり、鑑賞授業で感じたことや気づいたことを発表しあったりすることでしょうか。
音楽だと、同じく鑑賞授業であったり、グループごとに分けて歌や合奏をし、グループ内やグループ同士で意見交換するという感じでしょうか。
家庭科は、身近なことを扱う内容が多いので、取り入れやすそうですね。
体育の場合、お互いの動きや技についてアドバイスし合ったり、球技などでチーム内で話し合って高め合ったり、という感じでしょうか。
※体育は既に思考の部分を高めていく取り組みが盛んに行われていますが、アクティブラーニングの導入によってさらに加速されることが予想されます。しかし、思考の部分を重視しすぎるあまり、肝心の運動の部分がおろそかになってしまわないか心配です。45分のうち、話し合ったりする時間ばかりが増えて、運動する時間(運動量)が減ってしまうという本末転倒な状態になりかねません。
道徳は、、、少し議論が必要でしょうね。これは道徳の教科化にも絡んでくるので複雑です。参考までに↓↓↓
小学校では、担任だけでなく、図工専科、家庭科専科、音楽専科の先生も、アクティブラーニングについては注視していかなくてはなりません。
アクティブラーニングについて、勘違いしてはならないこと
いろいろな記事を見ていると、次の言葉が目立ちます。
「教員が一方的に教えるのではなく」
講義形式じゃなく、子ども達が議論や発表を通じて積極的に学習する方法を考えようということです。
しかし、気を付けなくてはならないことがあります。それは、
教えるべきことは、きちんと教えなくてはならない。
ということです。
「教員が一方的に教えるのではなく」という言葉の意味は、「1つの授業を通して、先生だけが話して子どもが受け身になっているだけの授業ではなく」という意味です。
発表するにも、話し合いをするのにも、十分な経験や知識が必要です。
例えば、「ソマリアの内戦について、話し合いなさい」と突然言われても、無理ですよね。おそらく、あなたがそんなこと言われたら、時間をもらって、本やインターネットで調べますよね。
子ども達も同じです。なんでもかんでも、話し合わせたり発表させたりすればいいというものではありません。知識や経験を十分な状態にしたうえで 過去の経験や友達の考えと比べながら思考が深まっていくのです。土台は必要です。
したがって、先生がきちんと知識や情報を与える時間はしっかりと確保しなければなりません。
つまりは、バランスです。
知識や情報を得る時間(インプット)
自分の考えを発表する時間(アウトプット)
自分の考えを友達の考えを混ぜ合わせる時間(ミックス)
45分間で、この3つをバランスよく設定することが大切ということです。
アクティブラーニングの導入は、決して、先生が説明して教える時間が悪いと言っているわけではありません。
アクティブラーニングの課題とは
アクティブラーニングの導入自体、というか、その考え方は個人的には大いに賛成ですが、実際に現場では課題がいくつも出てくるはずです。
現時点で予想される課題や問題点をあげます。
●その方法論が画一的でないため、判断に迷う
⇒アクティブラーニングは1つの学習方法ですが、教科・学習課題・児童や学校の実態・学習環境によってその形は様々。
⇒その授業がアクティブラーニングを導入していると言えるのか、断言はしづらい。
●子どもの思考を見取る方法と評価
⇒思考の変容を見取る方法として、よく行われているのが児童観察・ノートやワークシートの記述の確認。
⇒思考のほんの一部分だけを見て、評価できるのかという問題。
例) 頭で考えるのは得意だが、書いて表現することが苦手な児童。
⇒新たな気づきや発見は一瞬で起こるもので、そこを見取るのは難しい。
⇒方法論よりも評価の仕方について、研究の主題がおかれることが多くなるでしょう。
●時間の確保ができるのか。
⇒これまで以上に、アクティブラーニングを導入していくというのなら、必然的に時間は多くかかる。(現在のところ、どの程度の導入していくかについては未定)
⇒ただでさえ、年間の時間数に余裕がない中、どう確保していくのか。
⇒プログラム学習、外国語活動(高学年は教科)によって、ただでさえ年間の授業時間数は増える。
⇒高学年はすでに時間割がいっぱいいっぱいという現実。
●キャリア教育と同様、形骸化されないか。
⇒今、どのくらいの小学校でキャリア教育を意識した取り組みが行われているのか。
⇒アクティブラーニング導入前後に、各学校の現在の取り組みが確認されるだけで、実質的な授業改善や見直しのチャンスがされない恐れ。
●アクティブラーニング導入に必要な学級状態
⇒話し合い、議論のためには、良い学級の雰囲気が必要。
⇒互いを尊重し合えない、認め合えない雰囲気では、逆にマイナスの学習効果になる。
●現場任せの取り組みにならないか
⇒文部科学省が決め、各教育委員会が各学校に実施を促す。
⇒結局、実施・研究・調査など、全て「各学校の取り組み」という魔法の言葉で丸投げされるのではないか。
⇒一部の人が実施に熱心で知識・経験を蓄え、末端の若手教員には伝わらない恐れ。
●若手教員にアクティブラーニングを強いることで起こる弊害
⇒教える(伝える・説明する)技術がまだ不十分、学級経営も安定しない若手教員に、アクティブラーニングを過度に求めるのは危険。
⇒学校全体、学年でのフォローを充実すべき。
例) 交換授業(実力のある先生の力を借りる・学ぶ)
これまでの記事でも述べてきましたが、小学校においては、アクティブラーニングはそれほど特別な学習方法ではありません。
しかし、この学習方法は、これからの時代を生きる子ども達にとって、非常に有効であることは間違いありません。
一過性のものとならないよう願うばかりです。
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