• 名前       ヤドン(C){水}
  • 収録パック    スカーレット&バイオレット 拡張パック「バイオレットex」
  • 購入価格         50円
  • イラストレーター さとうなるみ

 

今回はさとうなるみ氏の描かれたヤドンのポケモンカードを鑑賞します。

さとうなるみ氏は透明水彩による柔らかい雰囲気の絵を得意とするイラストレーターさんです。

 

 

 

イラストの世界観

 

まず、ヤドンとはどんなポケモンか、ポケモン図鑑の説明をまとめると以下になります

 

  • 動きが遅い        
  • 間抜けな性格        
  • 痛覚が鈍い(叩かれても5秒間は気がつかない)        
  • 思考が読めない        
  • 尻尾で餌を釣る         

浅い水辺をのんびりと歩く姿は、イメージ通りのヤドンそのものです。
そして、そのとぼけた顔は、何を考えているのか全く分かりません

ですが、よく見ると、このヤドンのいる水路には石畳が敷かれています。

先日に紹介したAR版のヤドンと同様に、このヤドンは大自然の中にいるのではなく、人の手の入った場所に入り込んでいるのでしょう。

 

 
ポケモンカードのイラストを描く難しさについて
 
ポケモンカードのイラストレーターさんは大変だと私はいつも思っています。
何故なら、ポケカはキャンバスがとても小さいからです。

ARやレアリティの高い特殊なカードは、全面にイラストを描けますが、一般のカードは上側の長方形の中にイラストを収めなくてはいけません

そんな狭いキャンバスの上でポケモンが目立つように大きく描くと、背景や他の要素を入れる隙間が無くなります。
ポケカはポケモンの生態や生活を紹介するのが目的の1つなので、どんな場所で暮らしているかが分かるような背景、どんな暮らしをしているかが分かる小物も描きたい場合があります。
そういうイラストにしたい場合、ポケモンが場所を占有して、それらを描くスペースがなくなってしまうのは困るわけです。
 
だからといってポケモンを小さく描くと、主役であるポケモンが目立たなくなってしまいます。ポケモンと背景の大きさのバランスを取るのはとても難しいことだろうと思います。  
  
(もちろんexカードのように、ポケモンだけが大きく描かれたカードも沢山あります。それらのカードはポケモンのカッコよさや強さを特に強調して表現したいわけです。上記の話は、飽くまでもポケモンの生態や暮らしを表現したい場合の話です。)   
 
イラストの構図
 
前置きが長くなりましたが、ここでこのカードの構図を見てみます。    
ヤドンがカードの大半を占める程に大きく描かれており、背景を描くスペースがあまりありません。    
ですが、このイラストはヤドンが歩いている大きな水路を容易にイメージできます。何故なら、このイラストには動きがあるからです。  
  
    
 
画面の左下と右上に青丸で示した石が配置されていることで、自然と左上から右下へと流れる斜めの構図ができあがっています。それによりヤドンが左上から歩いて来て、右下へ向かっている動きが想像できます。    
水路は狭いキャンパスに少しだけしか描かれていませんが、描かれていない部分にも、ヤドンがのんびり歩いている長い水路があることをイメージできます。
見えていない部分を鑑賞者に想像させる工夫がされているわけです    
 
   
 
また、このヤドンの視線にも面白い点があります。    
普通、人や動物は移動している方向に視線を向けるものです。    
ですが上図のように、このヤドンの視線の向きと移動方向は一致していません。何も考えずにボーと移動しているヤドンらしさが表現されています。
 
 
試しに上図のように移動方向と視線方向を一致させると、知性を感じるようになりますが、少しばかりヤドンらしさが失われることが分かります。
 
イラストの配色

イラストは透明水彩の技法で描かれています。
透明水彩は下地が透けて見えるのが特徴で、このイラストも紙の質感がヤドンの肌の柔らかさを上手く表現しています。