• 名前                     ニドキング(U){超}
  • 収録パック            サン&ムーンシリーズ 拡張パック「タッグボルト」 
  • 購入価格                50円
  • イラストレーター    川洋

今回は川洋氏の描かれたニドキングのポケモンカードを鑑賞します。
川洋氏は厚塗りを得意とするイラストレーターさんです。氏の描く人物は、大きな目や表情に特徴がありますが、ポケモンのイラストではそれが目立つことはほとんどありません。

 

 

イラストの世界観

まず、ニドキングとはどんなポケモンか、ポケモン図鑑の説明をまとめると以下になります

 

  • 尻尾の攻撃が強力
  • オスのニドリーノが進化してニドキングになる


進化前のニドリーノは以下のようなポケモンです。

 

 
  • 気性が荒い
  • 角には猛毒がある


毒を持つのは力の弱い動物の特徴です。気性が荒いのも、警戒心の強い小動物によくある性質です。
この生態系の下に位置していそうなポケモンが進化すると、尻尾で敵を粉砕する強力なニドキングになるのは面白いことです

本イラストは、怪獣のようなニドキングの重量感と力強さがよく表現されています

イラストの構図

水平な大地の安定感と画面を埋め尽くす巨体は、ニドキングの重さを感じさせます。ですが、このイラストの一番の注目点は「左を見ている」ことだと私は考えます。

演劇では、役者が舞台の左右どちらに立つかに意味があります。
映画やアニメでは、俳優やキャラクターが左右のどちらを見ているかに意味があります。

舞台の右手に立ち左を見ているのは立場の強い者、力や権威のある者、相手の挑戦を受けて立つ者です。
そして舞台の左手に立ち右を見ているのは、成長途上の者、何かに挑む者です。

 

 

演劇や映画ではない静止したイラストでも、この演出方法が応用されていることがあります。
このイラストのニドキングは手を広げ、左を見ています。これは上記の演出と同じ効果を発揮し、相手の挑戦を受けて立つ力強さを表現できています。

 

 

ここで、同じパックのニドキングの進化前の姿であるニドリーノのポケモンカードも見てみましょう

 


右を見て、飛び跳ねており、これは何かに挑む側であることを演出しています。
挑戦者であったニドリーノが進化して、挑戦を受ける側のニドキングになるという連作になっているわけです。

イラストの配色

輪郭に黒い線ではなく色のある太い線(カラートレス)を用いており、厚塗りによる陰影が濃く、明度が低くなっていることで、重々しい雰囲気が漂っています